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令和9年度の修繕の補助は、
まず県の調査が済んだかを確かめます

来年度こそ補助を使って、屋上の防水を直し、非常用の発電機を備えたい。そう考えて調べ始めても、制度の名前や様式の話ばかりで、今の時期に何をすればよいかは見えにくいものです。介護施設の修繕の補助は、工事をする年度の前の年から手続きが始まります。この記事では、令和9年度の補助に向けて、2026年10月の今から翌年3月までに施設がそろえる見積と書類を、月ごとに整理しました。

構成:介護施設 修繕の窓口監修:鈴木貴行(介護施設営繕・修繕専門家)更新:読む時間:約22分

この記事が答える質問来年度(令和9年度)の介護施設の修繕の補助、今から何を準備する?介護施設の修繕の補助金は、2026年度はどうなっている?

令和9年度(2027年度)の介護施設の修繕の補助は、2026年の夏〜秋に県が行った翌年度分の調査から、手続きが始まっています。この調査(所要額調査・希望調査など)に名乗り出ていないと使えないことが多く、9月中旬に締め切った県もあります。10月の今は、まず市区町村か県の担当に、調査が済んだか、追加の受付があるかを聞きます。並行して、同じ条件で取った工事の概算見積、修繕の計画、日付入りの劣化の写真、施設の基本情報の4つをそろえます。2026年度は補助の基準単価の上限が7.7%相当引き上げられたので、見積は今の単価で取り直します。内示や交付の決定の前には、着工も工事の契約もしません。

この記事の結論

  1. 令和9年度の補助は、2026年の夏〜秋の県の調査から始まっている
  2. 10月の今は、調査が済んだか・追加の受付があるかを担当に聞く
  3. そろえるのは、概算見積・修繕の計画・劣化の写真・施設の基本情報の4つ
  4. 2026年度は基準単価の上限が7.7%相当上がった。見積は今の単価で取り直す
  5. 内示や交付の決定の前に、着工も工事の契約もしない

令和9年度の補助は、2026年の夏〜秋の調査から始まります

介護施設の修繕に使える補助の多くは、工事をする年度の前の年に手続きが始まります。県は、国から補助の財源を受けるために、翌年度に工事をしたい施設と、その金額を前もって集めます。これが「所要額調査」「活用希望調査」「実施希望調査」などと呼ばれる調査です。呼び方は県や制度で違いますが、中身はどれも「来年度、どの施設が、いくらの工事をしたいか」の聞き取りです。

令和9年度(2027年度)の分は、2026年の夏から秋にかけて行われました。京都府では、交付金の令和9年度分の実施希望調査で、市町村が府に答える期限が2026年9月11日でした。広島市が案内した広島県の基金の令和9年度分の活用希望調査は、締切が9月16日でした。この案内には「本調査への回答がない場合は、原則として令和9年度の補助金の交付対象外として取り扱います」と書かれています。調査に名乗り出ていないと、翌年度の補助は使えないことが多いのです。

補助を使う工事の、前の年から始まる流れ
時期県や市区町村で起きること施設がすること
工事の前の年の夏〜秋翌年度分の調査(所要額・希望の調査)名乗り出て、工事の中身と概算の金額を出す
前の年の秋〜冬国の予算づくり。補正予算が組まれる年もある見積・写真・計画を固め、法人の予算に入れる
工事の年度の春ごろ(県で違う)協議の受付と審査、内示協議の書類(図面・写真・見積)を出す
内示・交付の決定のあと交付の決定決まりに沿って業者を選び、契約して着工する
工事のあと完了の確かめ完了の報告と、写真・書類を出す
令和9年度の補助は、2026年の調査から動いている。10月の今は2つ目の段にいる。令和9年度の補助に向けた流れ1. 2026年夏〜秋翌年度分の調査2. 2026年秋〜冬(今)見積と書類を固める3. 2027年春ごろ協議と内示4. 内示・交付の決定のあと業者を決めて着工
図1 令和9年度の補助は、2026年の調査から動いている。10月の今は2つ目の段にいる。

調査で出す金額は、概算でかまわないことがあります。ただ、ここで出した金額が、県が国に求める額のもとになります。あとで工事の金額が大きく増えると、配分された額に収まらず、自己負担が増えたり、工事の範囲を削ったりすることになります。調査に出す金額も、今の単価で取った見積をもとにするのが安全です。

調査に名乗り出たあとも、春の協議までに書類を固める仕事が残っています。名乗り出ていなかった施設も、追加の受付や翌年の調査に向けて、同じ材料を使います。どちらの施設にとっても、10月から3月までの半年が準備の時期です。

10月の今は、調査の状況を聞き、4つの材料をそろえます

2026年10月の今、施設がすることは2つです。1つ目は、市区町村か県の担当に、令和9年度分の調査がもう締め切られたか、追加の受付があるかを聞くこと。2つ目は、どの答えが返ってきても使える4つの材料を、今のうちにそろえることです。担当に電話やメールで聞くときは、次の4点をまとめて聞くと、1回で済みます。

  1. 調査の状況令和9年度分の調査は済んだか。追加の受付や、二次の募集の予定はあるか
  2. 使えそうな制度工事の中身(例:屋上防水と非常用発電機)が、どの制度のどのメニューに当たりそうか
  3. 協議で出す書類見積・図面・写真の形と、様式がどこに置かれているか
  4. 次の調査の時期令和10年度分の調査が、例年いつごろ案内されるか
今秋そろえる4つの材料
材料中身どこから集めるか
工事の概算見積同じ条件で2〜3社。補助の対象と対象外を分けた内訳工事の業者。条件は施設が1枚にまとめて渡す
修繕の計画いつ、どこを、いくらで直すか。今回の工事の位置づけ長期修繕計画、5年の計画、点検の報告書
劣化の写真日付入り。全体と近くの写真、傷みの大きさが分かるもの施設で撮る。点検の報告書の写真も使える
施設の基本情報定員・築年・延床面積・構造・階数・所有の形など確認済証・検査済証、登記、指定の書類
どの制度でも、どの時期の募集でも使う4つの材料。今秋そろえる4つの材料1. 概算見積同じ条件で2〜3社2. 修繕の計画今回の工事の位置づけ3. 劣化の写真日付入り・番号つき4. 施設の基本情報定員・築年・面積
図2 どの制度でも、どの時期の募集でも使う4つの材料。

この4つは、調査が済んでいても済んでいなくても無駄になりません。名乗り出た施設は、春の協議で同じ材料をくわしくして出します。兵庫県の令和8年度分の一次協議では、平面図・位置図・写真など現況と改修の場所が分かるものと、見積書を添えるよう求めていました。間に合わなかった施設は、追加の受付や翌年の調査に、そのまま使えます。

修繕の計画は、立派な冊子でなくてかまいません。今回の工事が、建物のどこを、何年ぶりに直すもので、しないとどうなるかが分かれば足ります。30年・5年・単年の3つの長さで計画を持つ作り方は長期修繕計画は、30年・5年・単年の3つで持ちますにあります。

相談・見積は無料|お断り可・理由は不要

使う制度の見当は、工事の中身と定員でつけます

介護施設の修繕に使える国の制度をもとにした補助は、大きく3つの系統に分かれます。どれに当たるかで、窓口も、調査の時期も変わります。最初に見当をつけておくと、担当に聞くときに話が早く進みます。このほか、県や市区町村が独自に設ける補助や、省エネの設備の補助もあり、募集の時期はそれぞれ違います。

介護施設の修繕に使える、主な補助の3つの系統
系統主な対象の例気をつけること
地域医療介護総合確保基金(介護施設等の整備)大規模修繕・耐震化、ユニット化や多床室のプライバシーを守る改修、看取りの環境などメニューと対象の施設は、県の要綱で決まる
地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金(防災・減災)非常用自家発電・給水設備、水害対策、条件つきの大規模修繕など大規模修繕は、防災の工事と一体などの条件がつく
介護テクノロジーの導入支援見守り機器、通信の環境(Wi-Fi)など施設整備の補助と、窓口や時期が別のことがある

2026年度(令和8年度)の国の資料では、防災・減災の交付金の対象として、4つの事業が挙げられています。非常用自家発電設備・給水設備の整備、水害対策の強化、大規模修繕等、スプリンクラー設備等の整備です。このうち大規模修繕等の対象は、定員30人以上の施設の修繕のうち2つです。社会福祉連携推進法人などの施設の修繕と、国土強靱化の対策(非常用自家発電や水害対策など)と一体で行う修繕です。屋上防水だけ、外壁だけの工事では、この交付金の対象にならないことがあります。

この交付金は、定員30人以上の施設を県など、29人以下の施設を市区町村が受け持つ形です。政令市や中核市では、市が窓口になることもあります。どこに聞けばよいかの見分け方は大阪で修繕をまとめて頼む前に、改修の相談先が府か市かを確かめますにまとめています。

定員で、最初に聞く窓口の見当がつく。迷ったら市区町村の介護保険の担当に聞く。最初に聞く窓口の見当施設の定員は30人以上か30人以上県など(政令市・中核市は市も)29人以下市区町村(地域密着型の施設)
図3 定員で、最初に聞く窓口の見当がつく。迷ったら市区町村の介護保険の担当に聞く。

基金のほうは、県ごとにメニューと対象の施設が決まります。広島県の令和9年度分の調査には、「大規模修繕・耐震化整備事業」「ユニット化改修支援事業」「介護テクノロジー導入支援事業」などが並んでいました。基金の仕組みと、工事の1年半前から動く理由は基金で大規模修繕の補助を受けるには、まず創設の条件を確かめますにあります。

見守り機器や通信の工事は、介護テクノロジーの導入支援が使えることがあります。建物側の配線の工事と同じ時期に考える理由はWi-Fiの工事は機器と一緒に申請し、天井を開ける時期に合わせますに書いています。停電や断水への備えを、発電機・給水設備・太陽光などでどう組み合わせるかは停電への備えは、何を何時間動かすかから決めますが参考になります。

概算見積は、同じ条件で2〜3社から取ります

調査や協議に出す見積は、1社だけだと金額が妥当かを示しにくく、あとで単価を問われたときに答えられません。工事の範囲と仕様を1枚の依頼書にまとめ、同じ条件で2〜3社に頼みます。条件がそろっていないと、安い見積が「範囲が狭いだけ」ということが起きます。条件のそろえ方は見積の比較表は、条件書で6つをそろえてから作りますにまとめています。

概算見積の依頼書に書くこと
項目書き方の例
工事の場所と範囲屋上の防水(約600㎡)、非常用発電機の新設(屋外)
今の状態防水は前回の改修から18年。最上階の2か所で雨のしみ
求める仕様工法の候補、発電機で動かしたい設備と時間
工事の時期令和9年度の夏から秋。契約は内示のあと
入居者の方がいる中での条件工事の時間帯、音・においへの配慮、職員と入居者の方の動線
内訳の分け方補助の対象になりそうな工事と、そうでない工事を分けて書く

2026年度は、建設のコストの上昇を受けて、交付金の補助の基準単価の上限が7.7%相当引き上げられました。基金の配分の基礎になる単価も、同じように見直されています。2〜3年前の見積をそのまま使うと、今の工事費より低い金額で答えることになり、自己負担が思ったより膨らみます。見積の日付が1年以上前なら、取り直すか、同じ会社に今の単価で出し直してもらいます。

入居者の方が暮らしている中の工事では、仮設・養生・時間帯の割増が総額の2割〜4割になることがあります。概算の段階でこの分が抜けていると、あとで金額が大きく変わります。この分の中身と確かめ方は仮設・養生・割増の割合は、施設が渡す条件で変わりますにあります。

ここで頼む見積は、あくまで調査や協議のための概算です。補助を使う工事では、本番の業者を入札や見積合わせで選ぶ決まりがつき、概算見積をくれた会社にそのまま頼めるとは限りません。頼むときに、そのことを先に伝えておくと、行き違いが起きません。補助を使う工事の業者の選び方は補助を使う工事では、相見積か入札かを交付の条件で確かめますにあります。

同じ条件の見積を何社もそろえる時間がないときは、窓口に依頼すると、1回の依頼で最大3社の見積をそろえられます。相談と見積は無料で、お断りもできます。

劣化の写真と基本情報は、1つのフォルダに入れておきます

劣化の写真は、工事が要る理由を、現地を見ていない人に伝える材料です。県の担当も、法人の理事も、写真で傷みの大きさを判断します。日付の分からない写真や、どこを撮ったか分からない写真は、説明に使えません。1か所につき3枚を撮り、図面に番号を書くと、見る人が迷いません。

1か所につき3枚と、図面の番号で、現地を見ない人にも伝わる。劣化の写真の撮り方1全体と、場所が分かる写真2傷みに近づいた写真3メジャーを当てた写真4平面図に、撮った場所の番号
図4 1か所につき3枚と、図面の番号で、現地を見ない人にも伝わる。

同じ場所は、毎年同じ向きから撮っておくと、傷みが進んでいることを示せます。雨のしみ、ひび、さび、ふくらみなど、季節や天気で見え方が変わるものは、雨のあとにも撮ります。点検の報告書についている写真も、日付と場所が分かれば使えます。屋上や高い場所は職員が無理に上がらず、点検や見積の現地調査のときに業者に撮ってもらいます。

施設の基本情報シートの項目
項目確かめる書類
施設の種類と定員指定の通知、運営規程
建てた年(築年)確認済証・検査済証、登記
延床面積・構造・階数確認済証、竣工図、登記
建物の所有の形登記(自己所有か、借りているか)
これまでの大きな修繕工事の契約書、修繕の記録
立地の区域(水害対策のとき)市区町村のハザードマップ

基本情報は、1枚のシートにまとめておくと、調査・協議・理事会のどれにも使い回せます。調査の様式に、補助の対象の面積を確かめるシートがついていることもあり、書類ごとに面積や定員の数字が違うと問い合わせが来ます。登記と竣工図で面積が違うときは、どちらの数字かを書き添えます。

写真・基本情報・見積・計画の4つは、紙と電子の両方で1つのフォルダにまとめます。フォルダの置き場所は、事務長だけでなく事務の職員も知っている状態にしておくと、担当が替わっても次の人が続きから始められます。

翌年3月までの準備を、月ごとに並べます

10月から翌年3月までの半年で、4つの材料を固め、法人の予算に自己負担分を入れます。県の日程は県ごとに違うので、表の月は施設の側の目安です。県から案内が来たら、その日程に合わせて前後させます。

令和9年度の補助に向けた、月ごとの準備(2026年10月〜2027年3月)
月施設がすること確かめること
10月担当に調査の状況を聞く。依頼書を作り、概算見積を頼む調査が済んだか。追加の受付の予定
11月見積を受け取り、条件をそろえて比べる。写真を撮る補助の対象と対象外の分け方
12月修繕の計画に今回の工事を書き込む。基本情報シートを作る国の補正予算と、追加の募集の案内
1月自己負担分を、翌年度の予算の案に入れる協議の様式と締切
2月理事会や本部に説明する資料を作る業者の選び方(入札か見積合わせか)
3月翌年度の予算で自己負担分を決める。着工はしない協議の結果と内示の時期

12月の欄に国の補正予算を入れているのは、補正予算で補助の財源が足されることがあるからです。国の資料では、防災・減災の交付金の令和8年度の当初予算は12億円でした。いっぽう、令和7年度の補正予算では83億円(国土強靱化分62億円、大規模修繕等分21億円)が組まれています。当初予算より補正予算のほうがずっと大きい年もあるので、年度の途中の案内にも目を配ります。

1月から3月は、法人の中の段取りが中心です。社会福祉法人なら、翌年度の予算は理事会で決めます。自己負担分が予算に入っていないと、内示が出ても工事を始められません。修繕の予算をいつから組み始めるかは修繕の予算は、前の年の秋から3つの区分で組みますにまとめています。

月ごとの準備は、事務長が1人で抱えないように、担当を分けておきます。たとえば、見積と依頼書は事務長、写真は営繕の担当かリーダーの職員、基本情報シートは事務の職員、という分け方です。月の初めに10分ほど、進み具合を確かめる時間を取ると、締切の直前に慌てずに済みます。

令和9年度分の調査に間に合わなかったときの、3つの道

10月に担当に聞いて、令和9年度分の調査がもう締め切られていたと分かることもあります。そのときに取れる道は、大きく3つです。今秋そろえる4つの材料は、どの道でもそのまま使えます。

調査に間に合わなかったときの3つの道
道中身向いている工事
追加の受付を待つ二次の募集や、補正予算による追加の募集が出たときに名乗り出る急がないが、補助を使いたい工事
令和10年度分に回す2027年の夏〜秋の調査に名乗り出る。それまでに材料を固める2〜3年先でも傷みが広がらない工事
補助を使わずに進める急ぐ部分だけを自己資金で先に直し、残りを補助に回す雨漏りなど、待つと傷みが広がる工事

追加の受付は、毎年あるとは限りません。あるかどうか、いつごろかは、担当に聞いて記録しておきます。追加があれば連絡がほしいと伝え、担当の名前と連絡先を控えておくと、案内を見落としにくくなります。

補助を使わずに進める道も、正直に比べておきます。補助を待つ1〜2年の間に雨漏りが広がり、内装や電気の配線まで直すことになれば、補助で浮くはずだった額を超えることがあります。待つと傷みが広がる工事は、応急の修理だけ先にして、本格的な工事を補助に回すという分け方もあります。どちらにするかは、しない場合にかかる費用と並べて決めます。

令和10年度分に回すときは、1年の余裕を使って、修繕の計画と写真を厚くしておきます。同じ場所を半年おきに撮った写真があると、傷みが進んでいることを示しやすくなります。

内示や交付の決定の前に、着工も契約もしません

補助を使う工事で取り返しがつかないのは、内示や交付の決定の前に工事を始めてしまうことです。多くの補助は、交付の決定(県によっては内示)の前に始めた工事を対象にしません。兵庫県の令和8年度分の募集では、「内示以前に着手(工事契約の締結も含む)したものは補助の対象になりません」と書かれていました。契約を結ぶだけでも、着手とみなされることがあるのです。

内示の前にしてよいことと、待つこと
区分例
進めてよいこと現地の調査、概算見積、劣化の写真、計画づくり
県に確かめること設計の契約、劣化や地盤のくわしい調査の契約
内示まで待つこと工事の契約、発注、資材の手配、解体や撤去

設計の費用も補助の対象になる制度では、設計の契約の時期にも決まりがあることがあります。どこまで始めてよいかは担当に聞き、聞いた日付と相手の名前を記録しておきます。業者から「早く契約すれば資材を押さえられる」と勧められても、内示の前には応じません。

待つ間に傷みが進んで、応急の修理が要ることもあります。そのときは、補助で直す範囲と分けて、応急の修理の範囲・金額・写真を記録し、担当にも伝えておきます。申請から完了までの流れと、それぞれにかかる月数は補助を使う工事は、交付決定の通知が届くまで契約しませんにまとめています。

自己負担分は、補助の上限と対象外の工事から見積もります

補助は工事費の全部を出すものではありません。補助の割合と上限は制度と県で違い、上限を超えた分や、補助の対象にならない工事は法人が払います。2026年度に上限が上がったとはいえ、工事費の上がり方が上限の上がり方を上回れば、自己負担は増えます。

同じ工事費でも、上限と対象外の工事で、法人の負担が変わる。工事費の、補助で出る分と法人が払う分補助で出る分法人が払う分対象の工事のうち補助の割合の分(基準単価の上限まで)補助の割合の残り上限を超えた分対象外の工事法人が払う分を、翌年度の予算に入れておく
図5 同じ工事費でも、上限と対象外の工事で、法人の負担が変わる。

自己負担を見積もるときは、概算見積の内訳を、補助の対象になりそうな工事と、ならない工事に分けます。対象の分に補助の割合と上限を当てはめ、残りと対象外の分を足したものが、法人が払う額です。割合と上限は、募集の要項か担当に確かめます。

分からないうちは、補助が少なめに出る場合と多めに出る場合の2通りで予算を考えておくと、内示の額を見てから慌てずに済みます。工事をいくつかの部分に分けられるなら、補助が少なかったときに先に延ばす部分も決めておきます。

理事会や本部への説明では、補助を使う場合と使わない場合、今年する場合と先に延ばす場合を並べると、判断が早くなります。理事会で使う資料の組み立て方は理事会が見るのは見積ではなく、傷み・30年の総額・資金・先送りの4つですにあります。

モデルケース:屋上防水と非常用発電機を一緒に計画した特養

モデルケース:定員80名の特別養護老人ホーム(従来型・築26年)

春の協議で、書類の差し戻しが一度もなかった

変わったこと(結果)

翌年度の補助に向けて、10月から3月までに4つの材料をそろえたことで、春の協議では県からの差し戻しが一度もありませんでした。前に補助を使った6年前は、写真の撮り直しや見積の出し直しで4回の差し戻しがあり、事務長が書類に追われた期間は約2か月でした。今回は、事務長と事務の主任の2人で、延べ6日ほどの作業で済みました。

背景と、困っていたこと

この特養では、屋上の防水が前回の改修から20年近くたち、雨の多い時期に最上階の廊下の天井にしみが出ていました。停電のときに使える非常用の発電機もなく、法人は防災・減災の交付金を使って、屋上の防水と発電機の整備を一緒に行うことを考えていました。9月の調査には法人本部が名乗り出ていましたが、出した金額は2年前に1社から取った見積がもとで、工事の範囲もあいまいでした。事務長は、今から見積を取り直すと調査の金額と違ってしまうことをためらっていました。

決めたこと

事務長は10月に県の担当に連絡し、協議のときに今の単価の見積へ差し替える手順を確かめました。これが決め手になり、工事の範囲と仕様を1枚の依頼書にまとめて、3社に同じ条件で概算見積を頼みました。内訳は、補助の対象と対象外に分けてもらいました。写真は雨の翌日に36枚撮り、平面図に番号をふりました。自己負担分は、補助が少なめと多めの2通りで1月の予算の案に入れ、3月の理事会で決めました。

進めてみて分かったこと

見積は2年前より1割あまり上がっていました。調査のときの金額のまま進めていたら、内示の額との差を、年度の途中で理事会に諮り直すことになっていたはずです。番号をふった平面図は、協議だけでなく、工事の業者への説明にもそのまま使えました。

このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。

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つまずきやすいところと、先回りの方法

補助の準備でつまずきやすいところは、毎年よく似ています。どれも、知っていれば先に手を打てます。

補助の準備で、つまずきやすいところ
つまずき起きること先回りの方法
見積が古い単価のまま内示の額では足りず、自己負担が増える1年以上前の見積は、今の単価で出し直してもらう
見積の条件が社ごとに違う安い見積の理由を説明できない1枚の依頼書で、同じ条件で頼む
写真に日付や場所がない撮り直しになり、協議の締切に遅れる日付入りで撮り、平面図に番号をふる
担当が替わり、調査の時期を知らない翌年度分の調査を見落とす調査の時期と担当の名前を、引き継ぎの書類に書く
内示の前に契約した補助の対象から外れる契約は内示や交付の決定のあと、と法人の中で決めておく
補助の対象と対象外が混ざっている協議で内訳を出し直すことになる概算見積の段階で、内訳を分けてもらう

担当の交代は、施設長や事務長の異動が重なる4月に起きやすく、翌年度分の調査が夏に来たときに、誰も前の年の流れを知らないということが起きます。調査の案内がどの経路で届くか(県から直接か、市区町村からか、法人本部からか)も、引き継ぎの書類に書いておきます。

もう1つ起きやすいのが、調査に名乗り出たことを法人の中で共有していないことです。本部が名乗り出たのに施設が知らず、春の協議の直前に写真や見積を急いでそろえる、ということが起きます。名乗り出たら、施設長・事務長・本部の担当の3者で、誰が何を用意するかを決めておきます。

毎年の補助に備えて、平常時にしておくこと

補助に備えて、ふだんからしておくこと

  • 県と市区町村の補助の案内のページを、春と夏の年2回は見る
  • 翌年度分の調査の時期と担当の名前を、引き継ぎの書類に書く
  • 傷みやすい場所の写真を、毎年同じ向きから撮る
  • 修繕の計画に、補助を使いたい工事の年を書いておく
  • 概算見積は、1年ごとに今の単価で取り直す

補助の制度の全体と、締切の見方は補助金にまとめています。

補助の調査や協議に出す見積を、同じ条件でそろえたいときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。24時間受け付けています。工事の場所と今の状態、補助を使いたい年度をお送りいただければ、最大3社に同じ条件で概算見積を頼めます。補助の申請の手続きそのものは、県や市区町村の担当と、法人の中で進めていただくことになります。

よくある質問

令和9年度の介護施設の修繕の補助は、今からでも間に合いますか

県と制度によります。2026年は、令和9年度分の調査を9月中旬に締め切った県があります。まず市区町村か県の担当に、調査が済んだか、追加の受付があるかを聞きます。

令和9年度分の調査に答えなかった施設は、補助を受けられませんか

調査に答えないと、原則として翌年度の補助の対象外とする県があります。追加の受付や補正予算による募集がないかを担当に聞き、なければ令和10年度分の調査に備えます。

所要額調査と希望調査は、別のものですか

呼び方は県や制度で違いますが、どれも翌年度に工事をしたい施設と金額を前もって集める調査です。案内の名前より、対象の年度と締切を見て判断します。

補助の調査に出す見積は、正式な見積書でなければいけませんか

調査の段階では概算でよいこともありますが、補助の対象の経費が分かる見積書を求める調査もあります。同じ条件で2〜3社から取り、対象と対象外を分けてもらうと、春の協議でも使えます。

2年前に取った修繕の見積を、補助の申請に使ってもよいですか

今の単価で取り直すほうが安全です。2026年度は建設のコストの上昇を受けて、補助の基準単価の上限が7.7%相当引き上げられました。古い見積のままだと、自己負担を少なく見積もってしまいます。

補助の内示の前に、業者と工事の契約を結んでもよいですか

結ばないのが原則です。内示の前の工事の契約も「着手」とみなし、補助の対象から外す県があります。契約は、内示や交付の決定のあとにします。

くわしく:補助を使う工事は、交付決定の通知が届くまで契約しません

定員29人以下のグループホームは、補助の相談をどこにしますか

市区町村の介護保険の担当が最初の窓口です。防災・減災の交付金は、29人以下の施設を市区町村が受け持ちます。政令市や中核市では、市が窓口になる施設もあります。

くわしく:大阪で修繕をまとめて頼む前に、改修の相談先が府か市かを確かめます

屋上防水だけの工事で、防災・減災の交付金は使えますか

使えないことがあります。2026年度の国の資料では、この交付金の大規模修繕は、非常用自家発電や水害対策と一体で行う修繕などが対象です。基金の大規模修繕のメニューが使えないかも、県に確かめます。

くわしく:基金で大規模修繕の補助を受けるには、まず創設の条件を確かめます

概算見積をくれた会社に、補助の工事をそのまま頼めますか

頼めるとは限りません。補助を使う工事では、入札や見積合わせなど業者の選び方に決まりがつきます。概算見積を頼むときに、そのことを業者にも伝えておきます。

くわしく:補助を使う工事では、相見積か入札かを交付の条件で確かめます

補助の自己負担分は、いつ法人の予算に入れればよいですか

翌年度の予算を決める理事会や本部の決裁の前に入れます。補助の額が決まる前なので、補助が少なめと多めの2通りで考えておくと、内示のあとに慌てずに済みます。

補助が決まるまで、雨漏りしている場所はどうしておけばよいですか

広がる傷みは、応急の修理を自己資金で先にします。補助で直す範囲と分けて、応急の修理の範囲・金額・写真を記録し、県の担当にも伝えておきます。

介護施設の補助金の募集は、どこで知ることができますか

県の高齢者福祉や介護保険の課のページ、市区町村の介護保険の担当からの案内、福祉医療機構の掲示板などに出ます。案内が届く経路を担当に聞き、引き継ぎの書類に書いておきます。

くわしく:補助金

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監修者

鈴木貴行|介護施設営繕・修繕専門家

  • 30年以上営繕・設備管理の経験
  • 1,000施設超関わった介護・高齢者施設
  • 3,000件超修繕・設備改善の案件

介護施設の営繕・設備管理に30年以上携わり、1,000施設を超える介護・高齢者施設の現場に関わってきました。介護施設の修繕の補助に向けて、工事の前の年に施設がそろえる見積と書類の段取りを監修しています。

経験した施設
特別養護老人ホーム有料老人ホームグループホームデイサービスサービス付き高齢者向け住宅
専門分野
給排水空調電気・照明トイレ・浴室床・壁扉・建具ナースコール

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    相談と見積は無料です。見積の後にお断りいただいても構いません。お電話での受付は行っていません。

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