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長期修繕計画

理事会が見るのは見積ではなく、
傷み・30年の総額・資金・先送りの4つです

大規模修繕の議案を理事会に出した。見積書をそろえたのに「なぜ今なのか」「もっと安くならないのか」と聞かれ、継続審議になってしまった。そんな経験をお持ちの事務長や施設長は少なくありません。理事長と理事が知りたいのは、工事の値段だけではなく、傷み・長い目で見た費用・お金・先送りの影響の4つです。この記事では、その4つの資料の作り方と、理事会での説明の順番を示します。

構成:介護施設 修繕の窓口監修:鈴木貴行(介護施設営繕・修繕専門家)更新:読む時間:約17分

この記事が答える質問大規模修繕を理事会で説明するとき、どんな資料を用意すればよい?

大規模修繕を理事会で説明する資料は、見積書だけでは足りません。決める理事長と理事が見ているのは、建物の傷みの調査(写真と劣化の度合い)、30年の総額の比較(今直す案と先送りする案を、30年でかかる費用の合計で並べる)、資金の計画(積立金・補助・借入れの組み合わせと、年度ごとの出入り)、先送りした場合の影響(雨漏りや設備の停止と、入居者の方の暮らしへの影響)の4つです。説明は、決めてほしいこと、傷み、先送りの影響、30年の総額、資金の順にすると、理事の質問に先回りでき、1回の理事会で決まりやすくなります。

この記事の結論

  1. 理事会の資料は、見積書に4つの資料を添えてつくる
  2. 4つは、傷みの調査・30年の総額の比較・資金の計画・先送りした場合の影響
  3. 30年の総額は、案ごとに工事費・やり直し・止まった日の費用を足して比べる
  4. 説明は、決めてほしいこと→傷み→先送りの影響→30年の総額→資金の順
  5. 議案には、範囲・予算の上限・業者の選び方・財源・時期の5つを書く

理事会で決め手になるのは、見積ではなく4つの資料です

大規模修繕を理事会で説明するときは、見積書に4つの資料を添えます。建物の傷みの調査、30年の総額の比較、資金の計画、先送りした場合の影響です。見積書は「いくらか」には答えますが、「なぜ今か」「長い目で見て得か」「お金は足りるか」「やらないとどうなるか」には答えません。理事長と理事が決めるときに迷うのは、この4つの問いです。

理事会に出す4つの資料
資料答える問い中身つくる人
1. 建物の傷みの調査どこが、どこまで傷んでいるか部位ごとの写真と劣化の度合い、法定点検の指摘事務長(調査は設計事務所や調査会社)
2. 30年の総額の比較長い目で見て、どの案がよいか案ごとの工事費・やり直し・止まった日の費用の30年分の合計事務長(単価は設計事務所や施工会社)
3. 資金の計画お金は足りるか積立金・補助・借入れの組み合わせと、年度ごとの出入り事務長と会計の担当
4. 先送りした場合の影響今やらないと何が起きるか雨漏り・設備の停止・安全の心配と、その費用事務長と施設長
見積書に、4つの問いに答える資料を添える。理事会の4つの資料と、答える問い1. 傷みの調査どこまで傷んだか2. 30年の総額の比較どの案がよいか3. 資金の計画お金は足りるか4. 先送りの影響やらないと何が起きるか
図1 見積書に、4つの問いに答える資料を添える。

4つの資料は、それぞれA4で1枚に収めます。細かい数字や見積書の原本は別紙にして、理事会の当日は1枚ずつ順に見せます。資料が厚いと、理事の目が細かい数字に向き、決めるべきことが見えにくくなるからです。

理事長が迷うのは、「なぜ今か」と「この金額でよいか」です

理事長は、法人の財産を大きく動かす決定に責任を負います。社会福祉法では、重要な財産の処分や譲受け、多額の借財などは理事会で決める事項で、理事長ひとりに任せることはできません。大規模修繕の契約や、そのための借入れ、積立金の取り崩しは、法人の定款と経理規程で決めた金額の線を超えると、理事会の議題になります。

理事会でよく出る質問と、答えになる資料
よく出る質問答えになる資料準備しておく答えの形
なぜ今年なのか1. 傷みの調査、4. 先送りの影響来年に延ばすと増える費用と、暮らしへの影響
もっと安くならないのか見積の比較表、2. 30年の総額同じ条件で比べた社数と、金額の差の理由
部分的に直すだけではだめか2. 30年の総額部分補修の案を並べた30年の合計
お金は足りるのか3. 資金の計画取り崩す積立金と、残る額
建て替えたほうがよいのではないか2. 30年の総額(建て替えの案)築年数と耐震、設備の基準からの判断
入居者の方への影響はどうか工程表と居ながら工事の段取り居室を移る方の人数と期間

質問の多くは、1回目の理事会で出てきます。答えを持たずに臨んで継続審議になると、次の理事会までの数か月、着工がずれます。補助を使う工事では、ずれた分だけ申請の年度がずれることもあります。前もって、この表の質問に答える資料をそろえておきます。

相談・見積は無料|お断り可・理由は不要

資料1:建物の傷みは、写真と度合いの表で見せます

建物の傷みの調査は、理事が見てすぐに分かる形にします。専門の報告書をそのまま出すのではなく、部位ごとに写真を1〜2枚選び、劣化の度合いを4つの段階で示します。度合いの横には、その段階でどうするかを1行で書きます。

傷みの度合いの示し方(例)
度合い見た目の例理事会での伝え方
A 問題なし色あせ程度今回は工事しない
B 軽い傷み細いひび、目地の硬化次の計画で直す
C 進んだ傷み防水のふくれ、外壁の浮き今回の工事で直す
D 急ぐ傷み雨漏り、外壁のはがれ今年度中に直す。安全の手当てを先にする

写真は、毎年同じ場所から撮っておくと、傷みの進み方を見せられます。5年分を並べると、言葉で説明するよりも早く伝わります。建物の平面図に度合いの記号を置いた1枚を添えると、どこに傷みが集まっているかが一目で分かります。

法定点検で指摘を受けている所は、指摘の文をそのまま添えます。建物の定期報告の指摘は、直さないと次の報告でも同じ指摘が続きます。定期報告の種類と中身は12条点検は4つに分かれ、防火設備の検査は別に受けますにまとめています。

資料2:30年の総額の比較は、案ごとに30年でかかる額を並べます

30年の総額の比較は、今回の工事の金額だけでなく、30年のあいだにかかる費用の合計を、案ごとに並べた資料です。今直す案は今年の支出が大きく、先送りする案は今年の支出が小さくなります。ところが30年で足すと、先送りの案のほうが高くなることがよくあります。この差を数字で見せるのが、この資料の役目です。

今年の金額ではなく、30年の合計で比べる。今直す案と、先送りする案先送りする案今直す案今年の支出は小さい傷みが進み工事が増える止まった日の費用が出る今年の支出は大きい次の工事まで間があくやり直しが出にくい比べる案は2〜3つ。1案だけでは比べられない
図2 今年の金額ではなく、30年の合計で比べる。

案は2つか3つにします。今直す案と、部分的に直して先送りする案を基本にして、築年数が進んだ建物では建て替えの案を加えます。1つの案だけを出すと、理事は「ほかの方法はないのか」を考え始め、議論が振り出しに戻ります。

建て替えの案を並べるかどうかは、築年数だけでは決まりません。耐震の基準、今の設備の基準に合わせられるか、配管を更新できるかで決まります。建て替えの時期の考え方は建て替えの時期は、築年数より耐震・設備の基準・配管で決まりますにまとめています。

30年の総額は、5つの手順で作ります

30年の総額の比較は、5つの手順で作ります。数字の多くは、長期修繕計画と、設計事務所や施工会社の見積から持ってこられます。下の表は、屋上防水を例にした形です。金額は説明のための目安です。

工事の年を置いてから、費用を足していく。30年の総額の比較の作り方1. 案を2〜3つに分ける2. 案ごとに工事の年を置く3. 工事費とやり直しの費用を入れる4. 止まった日の費用を足す5. 30年分を合計して並べる
図3 工事の年を置いてから、費用を足していく。
30年の総額の比較(屋上防水の例・目安)
時期A 今年度に改修B 部分補修で5年先送り
今年度改修 1,800万円部分補修 300万円
1〜5年目なし雨漏りの復旧2回 計200万円
5年目なし改修 2,300万円(下地の補修が増える)
20年目2回目の改修 1,800万円なし
25年目なし2回目の改修 1,800万円
止まった日の影響(金額の外)なし居室の移動 延べ20日、職員の手間 約60時間
30年の合計(金額)3,600万円4,600万円

4の止まった日の費用は、見落としやすい行です。雨漏りの日の居室の移動、設備が止まった日の代わりの手配、仮設の機器の借り賃など、工事費の外で出ていく費用を入れます。金額にしにくいものは、日数と人数で書きます。

物価の上がり分は、比べるときはいったん外し、今の値段でそろえます。そのうえで、先送りした工事が物価でいくら上がるかを、別の行で幅として示します。工事の年と単価は、30年の修繕の計画から持ってきます。計画の持ち方は長期修繕計画は、30年・5年・単年の3つで持ちますにまとめています。公開されている㎡あたりの単価で桁を確かめる方法は大規模修繕の費用は㎡単価で桁をつかみ、量・単価・時期の3つで抑えますにあります。

資料3:資金の計画は、財源の組み合わせと年度ごとの出入りで示します

資金の計画は、工事のお金をどこから出すかと、年度ごとにいつ出ていくかを示す資料です。財源は、修繕のための積立金の取り崩し、補助、借入れ、その年度の収支の4つの組み合わせです。工事の代金は、契約の時と完了の時など、分けて払うことが多いので、払う時期も並べます。

資金の計画に書く財源
財源書くこと理事会で聞かれやすいこと
積立金の取り崩し取り崩す額と、取り崩したあとに残る額次の大きな工事の分は残るか
補助申請する制度、見込みの額、交付の決定の時期採択されなかったらどうするか
借入れ借りる額、期間、毎年の返済の額毎年の収支で返せるか
その年度の収支修繕費として出せる額ほかの支出を削るのか

補助は、交付の決定が出るまで額が決まりません。補助が出た場合と出なかった場合の2通りの資金の計画を用意し、出なかった場合に工事の範囲を減らすのか、借入れで補うのかまで書いておきます。補助を使う工事は、交付の決定より前に契約や着工ができないので、理事会の決議の時期も合わせます。補助の申請から完了までの流れは補助を使う工事は、交付決定の通知が届くまで契約しませんにまとめています。

借入れは、社会福祉法で理事会が決める事項に挙げられている「多額の借財」に当たることがあります。積立金の取り崩しも、法人の決まりで理事会の議決が要ることが多いので、資金の計画に書いた財源は、そのまま議案の決議の事項に入れます。

資料4:先送りした場合の影響は、暮らしと費用の両方で書きます

先送りした場合の影響は、入居者の方の暮らしへの影響と、費用への影響の両方で書きます。費用だけだと「来年でも同じだろう」と受け取られやすく、暮らしだけだと「大げさだ」と受け取られやすいからです。部位ごとに、何が起きるかを具体的に書きます。

先送りした場合の影響の書き方
部位入居者の方の暮らしへの影響費用への影響
屋上防水雨漏りで居室を移る。天井のしみとにおい内装と電気の復旧。下地の補修が増える
外壁はがれ落ちる心配で、通路や庭を閉じる落ちた所の補修と、全面の調査の前倒し
給湯・空調入浴を清拭に替える日や、暑い・寒い部屋が出る仮設の機器の借り賃と、急ぎの交換の割増
エレベーター2階以上の方の食事や受診の移動が難しくなる止まった日の人手と、部品がない場合の全体の更新
暮らしと安全への影響の有無で、先送りできるかが分かれる。今直すか、先送りするか先送りの間に、暮らしか安全に影響が出るか出る今年度に直す案を出す影響の日数と費用を書く出ない先送りの案も選べる毎年の点検で見直す
図4 暮らしと安全への影響の有無で、先送りできるかが分かれる。

特殊浴槽や給湯が止まった日は、入浴を清拭に替えることができます。それでも、止まる日が増えれば暮らしの質は下がり、職員の手間も増えます。止まった日数と、その日に増えた職員の手間の時間を過去の記録から書き出しておくと、影響が数字で伝わります。

理事会での説明は、決めてほしいことから話します

理事会での説明は、決めてほしいこと、建物の傷み、先送りした場合の影響、30年の総額の比較、資金の計画、業者の選び方と日程、の順にします。最初に決めてほしいことを示すと、理事はそのあとの説明を、決めるための材料として聞けます。傷みと先送りの影響を先に見せると、「なぜ今か」の質問に先回りできます。

決めてほしいことを先に示し、問いに答える順に並べる。理事会での説明の順番1. 決めてほしいこと(範囲・上限額・時期)2. 建物の傷み3. 先送りした場合の影響4. 30年の総額の比較5. 資金の計画6. 業者の選び方と日程
図5 決めてほしいことを先に示し、問いに答える順に並べる。
20分の説明の時間の配り方(例)
順番時間の目安見せるもの
1. 決めてほしいこと2分議案の1枚目
2. 建物の傷み4分写真と度合いの表、平面図
3. 先送りした場合の影響3分影響の表
4. 30年の総額の比較5分案ごとの合計の表
5. 資金の計画3分財源の表と、年度ごとの出入り
6. 業者の選び方と日程3分見積の比べ方と、工程の概要

資料は、理事会の1週間前までに理事に送ります。理事長には、その前に一度、資料を見ながら説明しておきます。専門の言葉は、「打診」なら「たたいて浮きを調べる」のように、言い換えて話します。

議案には、決めてもらう5つのことを書きます

議案には、理事会で決めてもらうことを5つに分けて書きます。工事の範囲、予算の上限、業者の選び方、財源、時期です。この5つが書かれていないと、理事会で賛成を得ても、どこまで決めたのかがはっきりせず、契約の前にもう一度諮ることになります。

議案に書く5つのこと(書き方の例)
決めること書き方の例
工事の範囲屋上防水と外壁の改修(別紙の仕様書のとおり)
予算の上限工事費〇〇円以内(予備の費用を含む)
業者の選び方同じ仕様書による3社以上の見積合わせ、または入札
財源修繕のための積立金から〇〇円、残りはその年度の収支から
時期〇年〇月に契約、〇月に着工、〇月に完了

予算の上限の中で業者を決めて契約することを理事長に任せる形にしておくと、見積合わせのたびに理事会を開かずに済みます。上限を超える場合や、範囲を大きく変える場合は、もう一度理事会に諮ると書いておきます。

施工会社の候補に、理事と関わりのある会社が入っていることもあります。決議に特別の利害関係がある理事は議決に加われないので、候補が決まった段階で確かめておきます。法人の中の稟議の書き方は修繕の稟議書は、承認者の4つの問いに答えて書きますに、見積合わせの社数の決まりは社会福祉法人の相見積は、400万円を境に2社と3社に分かれますにまとめています。

モデルケース:2回続けて継続審議になった特養の議案

モデルケース:定員70名の特別養護老人ホーム

3回目の理事会で、30分の審議で決まった

変わったこと(結果)

2回続けて継続審議になっていた屋上防水と外壁の改修の議案が、4つの資料をそろえた3回目の理事会で、質疑を含めて30分で決まりました。理事からの質問は前回の11問から4問に減り、そのうち3問は、配った資料の中で答えられました。決まった翌月には、見積合わせに入れました。

背景と、困っていたこと

この特養は従来型で、築29年です。法人は、特養と通所の事業所を1つずつ運営しています。事務長は、3社の見積書と比較表を理事会に出しました。けれども、なぜ今年なのか、部分的に直せば足りるのではないか、積立金を使い切ってよいのか、という質問に答えきれませんでした。資料を増やすと、かえって分かりにくくなるのではないか、という迷いもありました。

決めたこと

事務長は、4つの資料をA4で1枚ずつ作りました。30年の総額では、今直す案と、部分補修で先送りする案を並べ、先送りの案が30年で約1,000万円高くなることを示しました。資金の計画は、補助が出た場合と出なかった場合の2通りを用意しました。説明の順番も、見積の説明から始めるのをやめ、決めてほしいことから話す形に変えました。

進めてみて分かったこと

過去5年分の屋上の写真を、同じ場所から撮ったものだけ並べたところ、言葉の説明より早く傷みの進み方が伝わりました。30年の総額の工事の年と単価は設計事務所に出してもらい、止まった日の費用の行は、事務長が施設の記録から埋めました。

このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。

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資料は、設計者と会計の担当に手伝ってもらって作ります

4つの資料は、事務長がひとりで作る必要はありません。傷みと数量、単価は設計事務所や調査会社に、資金は会計の担当や顧問の税理士に、暮らしへの影響は施設長と介護の責任者に手伝ってもらいます。事務長は、それぞれの数字を集めて、理事に伝わる順番に並べる役を担います。

資料ごとの、手伝ってもらう相手と時期
資料手伝ってもらう相手頼む時期の目安
1. 傷みの調査設計事務所・調査会社理事会の3か月前
2. 30年の総額の比較設計事務所(工事の年と単価)理事会の2か月前
3. 資金の計画会計の担当・顧問の税理士理事会の1か月前
4. 先送りした場合の影響施設長・介護の責任者理事会の1か月前
見積の比較表施工会社(同じ仕様書で)理事会の1か月前

施工会社が、無料で建物の診断をしてくれることもあります。手軽ですが、その会社の工事の提案が前提になりやすい点は知っておきます。30年の総額の比較に使う数字は、工事を請け負わない設計事務所などからも取っておくと、理事に説明しやすくなります。設計と施工を分ける頼み方は設計監理か責任施工かは、工事の大きさと施設の人手で選びますで説明しています。

工事の費用が修繕費になるか、資産の額に加える支出になるかで、その年度の収支の見え方が変わります。会計の担当には見積の内訳を早めに渡して、区分の見通しを聞いておきます。見積の書き方と会計の区分の関係は修繕費か資本的支出かは、見積の分け方で判断しやすくなりますにまとめています。

理事会に備えて、平常時にしておくこと

理事会の前の年から続けておくこと

  • 毎年同じ場所から、建物の写真を撮っておく
  • 修繕の履歴と費用を、年度ごとに1枚にまとめる
  • 30年の修繕の計画を、年に1回理事会に報告する
  • 積立金の残高と、次の大きな工事の年を並べておく
  • 工事の前の年の秋に、理事長と時期を相談する

大規模修繕を、いつ・何から始めるかの進め方は大規模修繕は着工の2年前に動き出し、石綿の調査は設計の段階で済ませますにまとめています。

理事会に出す見積を、同じ条件でそろえたいときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。1回のご依頼で最大3社の見積をそろえられ、相談と見積は無料で、お断りもできます。理事会の資料そのものは法人の中で作るものなので、窓口がお手伝いできるのは、見積をそろえるところまでです。

よくある質問

大規模修繕の理事会資料は、何枚くらいにまとめればよいですか

4つの資料をA4で1枚ずつ、議案を含めて5〜6枚が目安です。見積書の原本や細かい数字は別紙にします。資料が厚いと、理事の目が細かい数字に向き、決めることが見えにくくなります。

理事会には、見積書だけを出せば足りますか

足りません。見積書は「いくらか」には答えますが、「なぜ今か」「お金は足りるか」「やらないとどうなるか」には答えません。傷みの調査、30年の総額の比較、資金の計画、先送りした場合の影響の4つを添えます。

30年の総額の比較とは、どんな資料ですか

今直す案と先送りする案などを、30年のあいだにかかる費用の合計で並べた資料です。工事費だけでなく、先送りで増えるやり直しや、設備が止まった日の費用も入れます。

くわしく:長期修繕計画は、30年・5年・単年の3つで持ちます

30年の総額を出すとき、物価の上がり分はどう扱えばよいですか

比べるときはいったん外し、今の値段でそろえます。そのうえで、先送りした工事が物価でいくら上がるかを、別の行で幅として示します。

補助金の交付が決まる前に、理事会で工事を決めてもよいですか

決めてかまいませんが、補助が出た場合と出なかった場合の2通りの資金の計画を出します。交付の決定より前には契約も着工もできないので、契約の時期は交付の決定のあとに置きます。

くわしく:補助を使う工事は、交付決定の通知が届くまで契約しません

理事会で部分的に直せば足りると言われたら、どう答えますか

部分補修の案も、30年の総額で並べて答えます。部分補修で先送りすると、今年の支出は小さくても、下地の傷みや雨漏りの復旧で、30年では高くなることがよくあります。

大規模修繕の契約は、理事長の判断だけで決められますか

法人の定款と経理規程の金額の線で決まります。社会福祉法では、重要な財産の処分や譲受け、多額の借財は理事会で決める事項です。線を超える工事や借入れは、理事会の議決を経ます。

施工会社の候補に、理事が関わる会社が入っていても問題ありませんか

候補に入ること自体はありえますが、決議に特別の利害関係がある理事は議決に加われません。候補が決まった段階で関係を確かめ、議事録に残します。

先送りした場合の影響は、どうやって金額にしますか

雨漏りの復旧、設備が止まった日の代わりの手配、仮設の機器の借り賃、職員の手間など、工事費の外で出る費用を足します。金額にしにくいものは、日数と人数で書きます。

理事会の資料づくりは、誰に手伝ってもらえばよいですか

傷みと単価は設計事務所や調査会社に、資金は会計の担当や顧問の税理士に、暮らしへの影響は施設長と介護の責任者に頼みます。事務長は数字を集め、伝わる順番に並べます。

くわしく:設計監理か責任施工かは、工事の大きさと施設の人手で選びます

理事会で継続審議になったら、次に何を直せばよいですか

出た質問を、4つの資料のどれで答えるかに分けます。答える資料がなかった質問の分だけ、資料を足します。説明の順番を、決めてほしいことから始める形に変えるのも効きます。

くわしく:修繕の稟議書は、承認者の4つの問いに答えて書きます

株式会社が運営するホームでも、同じ資料は使えますか

使えます。決める場が取締役会や経営会議に変わるだけで、見られる点は、傷み、長い目で見た費用、資金、先送りの影響の4つで同じです。

くわしく:大規模修繕は着工の2年前に動き出し、石綿の調査は設計の段階で済ませます

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修繕の計画の立て方は長期修繕計画、頼み先の一覧は設備別の頼み先、ご相談の流れはご相談の流れにまとめています。

監修者

鈴木貴行|介護施設営繕・修繕専門家

  • 30年以上営繕・設備管理の経験
  • 1,000施設超関わった介護・高齢者施設
  • 3,000件超修繕・設備改善の案件

介護施設の営繕・設備管理に30年以上携わり、1,000施設を超える介護・高齢者施設の現場に関わってきました。介護施設の大規模修繕を理事会で決めてもらうための4つの資料の作り方と、説明の順番、議案の書き方を監修しています。

経験した施設
特別養護老人ホーム有料老人ホームグループホームデイサービスサービス付き高齢者向け住宅
専門分野
給排水空調電気・照明トイレ・浴室床・壁扉・建具ナースコール
  • 社会福祉法 第45条の13(理事会の職務及び権限等)
  • 社会福祉法 第45条の14(理事会の決議)
  • 厚生労働省「社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて」(令和8年4月1日適用の改正)

制度や基準、費用の目安は変わることがあります。手続きや工事の前に、最新の資料と、現地を確かめた見積でご確認ください。

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