必要です。介護施設の改修工事でも、建材を壊す・削る・はがす工事は、金額の大小にかかわらず石綿(アスベスト)の事前調査が要ります。2023年10月からは、建築物石綿含有建材調査者などの資格者が調べます。請負金額が税込100万円以上の改修工事は、結果を国の報告システムで報告します。調べて報告するのは元請業者で、施設は図面や工事の記録を渡して協力します。2006年9月より前に着工した建物は分析に回る建材が出やすく、日数と費用が増えます。大規模修繕は着工の1年半〜2年前から、調査、計画、予算と補助、頼み方、発注、工事、記録の順に進め、石綿の調査は設計の段階で済ませます。
この記事の結論
- 建材を壊す・削る・はがす改修は、金額にかかわらず石綿の事前調査が要る
- 2023年10月から建物の調査は資格者が行い、税込100万円以上の改修は結果を報告する
- 調べて報告するのは元請業者。施設は図面と記録を渡し、費用と工期に配慮する
- 2006年9月より前に着工した建物は、分析に回る建材が出やすく、日数が延びる
- 大規模修繕は着工の1年半〜2年前から、7つの段階を時系列で進める
改修の前の石綿の事前調査は、介護施設でも要ります
介護施設の改修工事でも、石綿(アスベスト)の事前調査は要ります。建物の一部を壊す、削る、はがすといった工事では、工事の前に石綿が使われていないかを調べることが法令で決まっています。建物の用途や、工事の金額の大小は関係ありません。外壁の塗り替えで古い塗膜を削る、居室の床を張り替える、設備の更新で天井を開ける、といった大規模修繕の工事は、ほとんどが当てはまります。
| 工事の例 | 事前調査 | 結果の報告 |
|---|---|---|
| 外壁の塗り替えと補修 | 要る | 請負金額が税込100万円以上なら要る |
| 屋上や屋根の防水の改修 | 要る | 請負金額が税込100万円以上なら要る |
| 居室や廊下の床の張り替え | 要る | 請負金額が税込100万円以上なら要る |
| 設備の更新で、天井や壁を開ける | 要る | 請負金額が税込100万円以上なら要る |
| 増築などで、建物の一部を解体する | 要る | 解体する部分の床面積が80㎡以上なら要る |
| 建材を壊さない作業(電球の交換など) | 要らないものがある | 要らない |
結果の報告は、調査とは別の決まりです。改修工事は請負金額が税込100万円以上、解体工事は解体する部分の床面積が80㎡以上のときに、国の報告システムで工事の前に報告します。調査そのものは、報告が要らない小さな工事でも省けません。どの作業が調査の対象から外れるかは、工事の業者に確かめます。
2006年9月1日以降に着工した建物は、設計図書などで着工の日を確かめれば、目視などの調査を省けます。それより前に着工した建物は、石綿を含む建材が使われている可能性があります。築20年を超える介護施設は、こちらに当たります。築18〜19年の建物でも、着工が2006年9月より前なら同じです。書面と目視で調べ、分からない建材は分析に回すか、石綿が含まれているものとみなして対策をとります。
調べるのは元請業者で、施設は図面と記録を渡します
石綿の事前調査を行い、結果を報告するのは、工事を請け負う元請業者です。2023年10月からは、建物の事前調査は、一般建築物石綿含有建材調査者や特定建築物石綿含有建材調査者などの資格を持つ人が行うことになりました。施設は工事の発注者として、図面や過去の工事の記録を渡し、調査と対策に要る費用と工期に配慮します。
| 担い手 | すること | 時期 |
|---|---|---|
| 施設(発注者) | 図面・過去の工事の記録・以前の調査の結果を渡す。調査と対策の費用と工期に配慮する | 見積を頼むとき |
| 元請業者 | 資格者に調べさせ、結果を書面で施設に説明する。調査の記録を3年残す | 工事の前 |
| 資格者(調査者) | 書面と目視で調べ、分からない建材は試料を取る | 設計か工事の前 |
| 分析の機関 | 取った試料に石綿が含まれるかを調べる | 分析を頼んでから結果まで |
| 元請業者(報告と掲示) | 対象の工事は報告システムで報告し、結果の概要を現場に掲示する | 工事を始める前 |
施設の側でそろえる材料が多いほど、調査は早く進みます。竣工図や仕上げの表、以前の改修の仕様書、建物の着工の日が分かる書類(確認済証など)を探しておきます。以前に石綿の調査をしたことがあれば、その報告書も渡します。調査の日には、写真の撮影や、天井の点検口を開けることを許しておきます。
法令で調査の責任を負うのは元請業者です。ただ、大規模修繕では、設計の段階で施設の側から資格者に調査を頼み、その結果を仕様書と見積の条件に入れておく進め方もあります。そうしておくと、着工の直前に石綿が見つかって工期と費用が変わる、ということを防げます。先に行った調査の結果をどう使うかは元請業者が確かめて決めるので、契約の前に話し合っておきます。
相談・見積は無料|お断り可・理由は不要
設備が止まったら、
写真1枚から相談できます。
増える費用と日数は、分析に回る建材の数で決まります
石綿の事前調査で増える費用と日数は、分析に回る建材がいくつあるかで大きく変わります。書面と目視だけで判断できれば、頼んでから報告まで数日から2週間ほどが目安です。分析に回す建材があると、結果が出るまでにさらに1〜3週間ほどかかります。建物の大きさと調べる範囲で変わるので、日数と費用は調査を頼む前に見積で確かめます。
| 段階 | 日数の目安 | 費用の出方 |
|---|---|---|
| 書面調査 | 図面がそろっていれば数日 | 建物の大きさと、図面の量で変わる |
| 目視調査 | 1日〜数日(部屋と部位の数による) | 調べる部屋と部位の数で変わる |
| 分析調査 | 結果まで1〜3週間ほど(急ぎは割増のことがある) | 1検体ごとに数万円ほど。検体の数で増える |
| 石綿が見つかったときの対策 | 建材の種類で、数日〜数週間 | 建材の種類・量・場所で大きく変わる |
書面と目視で判断できない建材は、分析して確かめるか、石綿が含まれているものとみなして対策をとるかを選べます。みなす場合は分析の日数がかからない代わりに、除去や囲い込みの対策の費用がかかります。対象の建材の量が多いときは、分析して確かめたほうが、総額は抑えやすくなります。
吹付けの石綿や、配管の保温材・断熱材、鉄骨の耐火被覆に石綿が見つかることもあります。この場合は、除去の作業を始める14日前までに、自治体や労働基準監督署への届出が要ります。自治体への届出には発注者(施設)が出すものもあるので、どちらが何を出すかを元請業者と確かめます。作業の場所を囲い、粉じんを外に出さない設備も要るので、工期は数週間延びることがあります。
大規模修繕で触れる建材に、石綿が含まれていることがあります
2006年9月より前に着工した介護施設では、大規模修繕で手を入れる部位の多くに、石綿を含む建材が使われていることがあります。どの建材に含まれるかは、製品と作られた時期で違います。次の表は「調べる候補」で、含まれているかどうかは調査で決まります。
| 工事 | 石綿を含むことがある建材 | 介護施設で気をつけること |
|---|---|---|
| 外壁の改修 | 仕上塗材・下地調整材 | 下地を削る日は、窓を閉める時間と区画を決める |
| 屋根・軒の改修 | スレートの屋根材・軒天の板 | 足場の上の作業。建物のまわりの通路を閉じる |
| 床の張り替え | ビニル床タイル・床の接着剤 | 入居者の方が暮らす階は、部屋ごとに区切る |
| 天井の張り替え | 天井のボード・吸音板 | 天井を開ける範囲を、1日に終わる広さにする |
| 給湯や暖房の更新 | 配管やボイラーの保温材 | 機械室の作業でも、換気で粉じんが広がらないよう囲う |
| 鉄骨の建物の改修 | 柱やはりの耐火被覆 | 見つかると届出と囲いで、工期が数週間延びる |
外壁の改修では、塗り替えの前の洗浄や、下地を削る作業で、古い仕上塗材の粉じんが出ます。仕上塗材に石綿が含まれていると、湿らせながら作業する、囲うなどの対策が要ります。入居者の方の居室の窓の外で行う工事なので、窓を閉めてもらう時間帯と、換気の止め方も先に決めておきます。
石綿のほかにも、改修の前に確かめることがあります。受変電設備の古い変圧器やコンデンサーには、低濃度のPCBが入っていることがあります。外して保管しているものの処分の期限は2027年3月31日で、使っている機器の扱いは2027年4月から変わります。1977年3月以前に作られた業務用の照明の安定器には、高濃度のPCBが使われたものがあり、見つかったらすぐに自治体に連絡します。照明や電気の設備を更新する工事を含むときは、あわせて調べます。調べ方と処分までの段取りは低濃度PCBは、期限の前に建てた年と銘板から調べますにまとめています。
大規模修繕は、着工の1年半〜2年前から7つの段階で進めます
介護施設の大規模修繕は、着工の1年半〜2年前から、調査、計画、予算と補助、頼み方を決める、発注、工事、記録の7つの段階で進めます。2年前から動くのは、法人の予算と補助がどちらも年度の単位で動き、設計と石綿の調査、見積合わせにも、それぞれ数か月かかるからです。着工の時期を先に置き、そこから逆算して段階ごとの期限を決めます。
| 時期の目安 | 段階 | 施設がすること |
|---|---|---|
| 24〜18か月前 | 1. 調査 | 劣化の調査を頼み、法定点検の結果、修繕の履歴、図面をそろえる |
| 18〜12か月前 | 2. 計画 | 工事の範囲と優先順位、概算の費用、着工の時期を決める |
| 15〜9か月前 | 3. 予算と補助 | 法人の予算と積立金を確かめ、補助を使うなら都道府県の調査に名乗り出る |
| 12〜4か月前 | 4. 頼み方を決める | 発注の方式を決めて設計を進める。設計の段階で石綿の事前調査を済ませる |
| 4〜1か月前 | 5. 発注 | 見積合わせや入札で施工会社を決め、理事会などの承認を経て契約する |
| 着工〜完了 | 6. 工事 | 石綿の報告と掲示を確かめて着工し、週ごとの打合せで進み具合を見る |
| 完了後1〜3か月 | 7. 記録 | 図面・保証書・石綿の調査の記録を受け取り、修繕の履歴と計画を直す |
期限がいちばん動かしにくいのは、3の補助です。補助は交付の決定より前に契約や着工をすると対象から外れるので、補助を使う工事は、交付の決定の時期で着工の日が決まります。申請から完了の報告までの流れと月数は補助を使う工事は、交付決定の通知が届くまで契約しませんにまとめています。理事会に出す資料の作り方は理事会が見るのは見積ではなく、傷み・30年の総額・資金・先送りの4つですで説明しています。
2年前と聞くと長く感じますが、7つの段階のうち施設の手が多くかかるのは、1の調査の材料集めと、5の発注の前後です。そのほかの時期は、設計者や業者からの確かめごとに答える形で進みます。
最初の調査では、劣化と法定点検と履歴をそろえます
最初の段階の調査では、建物の傷みを調べるだけでなく、法定点検の報告書と修繕の履歴、図面をそろえます。この4つがそろうと、どこを、いつ、どこまで直すかを計画にできます。調査は着工の2年前ごろに始めると、計画と予算に間に合います。
| そろえるもの | 中身 | ありかの例 |
|---|---|---|
| 劣化の調査の結果 | 外壁・屋上・設備の傷みの場所と度合い、写真 | 設計事務所や調査会社に頼んでつくる |
| 法定点検の報告書 | 建物の定期報告、消防設備の点検、昇降機の検査の指摘 | 施設で保管している書類、点検の会社 |
| 修繕の履歴 | いつ、どこを、いくらで直したか | 過去の請求書と稟議の書類 |
| 図面と仕上げの表 | 竣工図、設備の図面、使われた建材 | 施設の保管庫、建てたときの設計事務所 |
| 着工の日が分かる書類 | 確認済証や工事の契約書 | 法人本部の書類 |
劣化の調査を、施工会社に無料で頼める場合もあります。手軽ですが、調査をした会社の工事の提案につながりやすい点は知っておきます。工事の範囲を決める調査は、工事を請け負わない設計事務所などに頼むか、2社の見方を比べると、範囲の偏りを防げます。
法定点検で指摘を受けている所は、大規模修繕で一緒に直すと二度手間を防げます。建物の定期報告の種類と、受け忘れやすい検査は12条点検は4つに分かれ、防火設備の検査は別に受けますにまとめています。
予算と補助は、工事の前の年から動かします
予算と補助は、どちらも年度で動くため、工事の前の年から準備します。法人の予算は前の年の秋から冬に組み、補助は前の年の夏から秋に都道府県が行う調査に名乗り出ておかないと、使えないことが多いからです。調査の時期は都道府県で違うので、所管の窓口に確かめます。
| 時期 | 法人の予算 | 補助 |
|---|---|---|
| 前の年の夏〜秋 | 計画と概算の費用で、翌年度の予算の枠を相談する | 都道府県の翌年度分の調査に、概算の見積をつけて名乗り出る |
| 前の年の冬 | 予算の案に、工事費と予備の費用を入れる | 対象の工事と補助の上限を確かめ、申請の書類を準備する |
| 年度のはじめ | 予算が決まり、設計と発注の準備に入る | 申請を出し、交付の決定を待つ |
| 交付の決定のあと | 契約と着工 | 交付の決定より前には、契約も着工もしない |
令和9年度(2027年度)に補助を使って工事をしたい場合は、都道府県の調査の時期が来ているか、すでに過ぎていないかを今すぐ確かめます。今からそろえる見積と書類は令和9年度の修繕の補助は、まず県の調査が済んだかを確かめますにまとめています。
予算の大きさは、工事の範囲と建物の大きさで決まります。費用の相場は、公開されている㎡あたりの単価で桁をつかめます。相場のつかみ方と修繕費を抑える方法は大規模修繕の費用は㎡単価で桁をつかみ、量・単価・時期の3つで抑えますで説明しています。
頼み方は3通りあり、設計に入る前に決めます
大規模修繕の頼み方は、設計と施工を分ける、施工会社に設計も任せる、発注を支える専門家を付ける、の3通りです。どれにするかで、誰が建物を調べ、誰が仕様書をつくるかが変わるので、設計に入る前、着工のおよそ1年前までに決めます。
- 設計と施工を分ける(設計監理方式)設計事務所などが調査と設計、工事の監理を担い、工事は別の施工会社に頼みます。
- 施工会社に設計も任せる(責任施工方式)1社が調査から設計、工事までをまとめて請け負います。
- 発注を支える専門家を付ける(CM方式)施設の側に立つ専門家が、発注のやり方と、工程・費用の管理を支えます。
選ぶときは、工事が何種類あるか、法人の決まりで見積合わせや入札が要るか、施設に工事に立ち会う人と時間があるか、の3つを先に答えておきます。工事の種類が多く、見積合わせが要る施設ほど、全社に同じ仕様書を渡せる「設計と施工を分ける」形が合います。
社会福祉法人の工事の請負では、法人の経理規程と国の通知で見積合わせの社数が決まります。令和8年4月から、2社の見積で足りるのは400万円以下の工事で、それを超えると3社以上です。大規模修繕は、ほとんどがこの線を超えます。社数の決まりと金額ごとの頼み方は社会福祉法人の相見積は、400万円を境に2社と3社に分かれますに、2つの方式の違いと選び方は設計監理か責任施工かは、工事の大きさと施設の人手で選びますにまとめています。
居ながら工事の段取りは、着工の2か月前までに決めます
介護施設の大規模修繕の多くは、入居者の方が暮らしたまま進める「居ながら工事」です。工事の音やにおい、粉じん、居室の移動が、暮らしに直接ひびきます。着工の2か月前までに、工事をしない時間帯と、居室を移る方と移り先を決めておきます。石綿の対策が要る工事では、作業の区画と期間もこの段階で決めます。
| 決めること | 決める相手 | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 工事をしない時間帯(食事・入浴・お昼寝) | 施工会社・介護の責任者 | 着工の1か月前 |
| 居室を移る方と移り先 | 介護の責任者・ご家族 | 着工の2か月前 |
| 石綿の対策をする区画と期間 | 元請業者 | 着工の1か月前 |
| 避難の経路と、工事中の防火の決まり | 施工会社・防火管理者 | 着工の前 |
| ご家族へのお知らせ | 施設長 | 着工の1か月前 |
工程表は、工事の順番と施設の生活の予定を重ねてつくります。工程表の組み方と、入居者の方の移動の回し方、予定と実際の差が出る所は居ながら工事の工程表は、工事と暮らしの予定を重ねて作りますにまとめています。
モデルケース:外壁と屋上の改修を2年前から準備した老健
モデルケース:定員96名の介護老人保健施設
着工のあとに、石綿のことで工事が止まらなかった
変わったこと(結果)
外壁と屋上の改修を決めてから21か月で着工し、予定どおり4か月で終えました。設計の段階で行った石綿の事前調査で、外壁の一部の仕上塗材に石綿が見つかりました。対策の費用と2週間分の工期を最初の見積と工程表に入れられたので、着工のあとに工事が止まった日はありませんでした。補助の申請と理事会の承認も、それぞれの期限の1か月以上前に終えています。
背景と、困っていたこと
この施設は鉄筋コンクリート造の4階建てで、築33年です。屋上の防水は18年前に直したきりで、前の冬には4階の居室2か所で雨のしみが出ました。営繕を兼ねる事務長は、何から始め、いつまでに何を決めればよいのかが分からず、半年ほど動けずにいました。着工のあとに石綿が見つかると工事が止まることがある、と聞き、調査をいつ頼めばよいのかも迷っていました。
決めたこと
事務長は、着工を2年後の秋に置き、7つの段階の期限を1枚の表にしました。劣化の調査と石綿の事前調査は、設計を頼んだ設計事務所を通して資格者に頼み、設計の段階で済ませることにしました。外壁の仕上塗材は対象の面積が広かったので、みなすのではなく分析を選びました。補助は、都道府県の調査に概算の見積をつけて名乗り出ました。
進めてみて分かったこと
図面が一部しか残っておらず、書面の調査に2週間かかりました。分析は12検体で、結果が出るまで10日でした。調査の費用はかかりましたが、着工の直前に工期と費用を組み直す打合せは、一度も要りませんでした。
このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。
相談・見積は無料|同じ条件で最大3社
このお問い合わせ1本で、
最大3社の見積がそろいます。
工事のあとに残す記録が、次の修繕の出発点になります
工事が終わったら、図面と保証書、石綿の調査の記録を受け取り、修繕の履歴と計画を直します。元請業者が石綿の調査の記録を残す期間は3年ですが、施設は写しを建物を使う間ずっと残しておくと、次の改修で、調べた所と結果を引き継げます。前の調査の結果を次の工事でどう使うかは、そのときの元請業者が判断します。
| 書類 | 使い道 | 残す期間の目安 |
|---|---|---|
| 完成図と仕様書 | 次の修繕の範囲と数量を出す | 建物を使う間 |
| 保証書と保証の一覧 | 不具合が出たときに、保証の範囲で直してもらう | 保証が切れるまで(期限を台帳に書く) |
| 石綿の事前調査の記録の写し | 次の改修で、調べた所と結果を引き継ぐ | 建物を使う間 |
| 工事の途中の写真 | 下地など、隠れた部分の施工を確かめる | 建物を使う間 |
| 費用の内訳 | 次の計画の単価の元にする | 次の大規模修繕まで |
保証は、防水や外壁、設備ごとに年数が違います。どの保証がいつ切れるかを一覧にして、切れる前に点検を頼むと、保証の範囲で直せる不具合を見逃しません。保証の種類と管理のしかたは工事の保証は、3つに分けて部位ごとに控えますにまとめています。
次の大規模修繕に向けて、平常時にしておくこと
着工の2年前までにそろえておくもの
- 建物の着工の日が分かる書類(確認済証など)を探しておく
- 竣工図と過去の工事の記録を1か所にまとめる
- 以前の石綿の調査の報告書があれば、写しをそろえる
- 修繕の計画に、次の大規模修繕の着工の年を書き入れる
- 着工の2年前の時期を、法人の年間の予定に入れておく
30年・5年・単年の修繕の計画の持ち方は長期修繕計画は、30年・5年・単年の3つで持ちますにまとめています。
大規模修繕に向けて、工事ごとの概算の見積をそろえたいときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。フォームとLINEは24時間受け付けています(お電話の受付はありません)。1回のご依頼で最大3社の見積をそろえられ、相談と見積は無料で、お断りもできます。建物全体の設計と監理は設計事務所の仕事なので、そこは窓口では代われません。
よくある質問
金額の小さい改修工事でも、石綿の事前調査は要りますか
要ります。建材を壊す・削る・はがす工事は、金額にかかわらず事前調査の対象です。結果の報告が要るのは、改修工事なら請負金額が税込100万円以上のときです。
石綿の事前調査は、誰が行うのですか
工事を請け負う元請業者が、資格を持つ人に調べさせます。2023年10月からは、建物の事前調査は建築物石綿含有建材調査者などの資格者が行います。施設は、図面や過去の工事の記録を渡して協力します。
事前調査の結果を国に報告するのは、どんな工事ですか
改修工事は請負金額が税込100万円以上、解体工事は解体する部分の床面積が80㎡以上のときです。元請業者が、工事の前に国の報告システムで報告します。
2006年9月以降に着工した施設でも、石綿の調査は要りますか
要りますが、簡単に済みます。2006年9月1日以降に着工した建物は、設計図書などで着工の日を確かめれば、目視などの調査を省けます。確認済証や工事の契約書を探しておきます。
石綿の事前調査で、工期はどのくらい延びますか
書面と目視で判断できれば、頼んでから数日〜2週間ほどが目安です。分析に回す建材があると、結果まで1〜3週間ほど延びます。吹付けの石綿や保温材が見つかると、届出と対策で数週間延びることがあります。
石綿の分析には、どのくらいの費用がかかりますか
1検体ごとに数万円ほどが目安で、検体の数が増えるほど費用も増えます。急ぎの分析は割増になることがあります。調べる範囲と検体の数を、調査を頼む前に見積で確かめます。
石綿の調査のために、施設で用意しておくものはありますか
竣工図、仕上げの表、過去の改修の仕様書、着工の日が分かる書類、以前の石綿の調査の報告書です。材料がそろっているほど、書面の調査が早く終わります。
石綿が見つかったら、大規模修繕は中止になりますか
中止にはなりません。石綿を含む建材は、湿らせる、囲うなどの対策をとって工事を進めます。対策の費用と日数が増えるので、設計の段階で見つけておくと、最初の計画に入れられます。
介護施設の大規模修繕は、何年前から準備を始めればよいですか
着工の1年半〜2年前からが目安です。法人の予算と補助が年度で動き、設計と石綿の調査、見積合わせにもそれぞれ数か月かかります。着工の時期を先に置いて、逆算で段階ごとの期限を決めます。
補助金を使って大規模修繕をするときは、いつから動けばよいですか
工事の前の年の夏から秋が目安です。都道府県が翌年度分の調査を行う時期に名乗り出ておかないと、使えないことが多いからです。交付の決定より前に契約や着工をすると、補助の対象から外れます。
大規模修繕の頼み方は、いつまでに決めればよいですか
設計に入る前、着工のおよそ1年前までに決めます。頼み方で、誰が建物を調べ、誰が仕様書をつくるかが変わるからです。
大規模修繕が終わったあと、施設で残しておく書類は何ですか
完成図と仕様書、保証書と保証の一覧、石綿の事前調査の記録の写し、工事の途中の写真、費用の内訳です。次の修繕の範囲と単価を決める元になります。
あわせて読みたい記事
- 設計監理か責任施工かは、工事の大きさと施設の人手で選びます大規模修繕の設計監理方式は設計と施工を分け、責任施工方式は1社に調査から工事まで任せます。費用・透明性・手間・品質の確かめ方の4つで違いを比べ、介護施設の条件でどちらが向くか、設計と施工の不適切な結びつきへの注意、仕様書に書くこと、発注を支える専門家(CM方式)までを示します。
- 理事会が見るのは見積ではなく、傷み・30年の総額・資金・先送りの4つです介護施設の大規模修繕を理事会で説明するときの資料をまとめました。決める理事長と理事が見ているのは、建物の傷みの調査・30年の総額の比較・資金の計画・先送りした場合の影響の4つです。それぞれの作り方と、30年の総額の比べ方、理事会での説明の順番、議案の書き方を示します。
- 大規模修繕の費用は㎡単価で桁をつかみ、量・単価・時期の3つで抑えます介護施設の大規模修繕の費用相場を、公開されている㎡単価(社会福祉法人の施設の累積の実績、公共施設の試算の単価)で桁をつかむ方法と、自分の施設の総額の出し方を示します。修繕費を抑える方法は、工事の量・単価・時期の3つの層で考え、防水の下地・電気・防災は削らないことも書きました。
- 居ながら工事の工程表は、工事と暮らしの予定を重ねて作ります入居者が暮らしたまま進める介護施設の大規模修繕(居ながら工事)の工程表の組み方です。工事と暮らしの予定の重ね方、居室を区画ごとに回して移動を2回で済ませる方法、移り先の確保、3階建て・定員80名の特養の例、予定とずれやすい所、ご家族への伝え方をまとめました。
- 補助を使う工事は、交付決定の通知が届くまで契約しません補助金は、交付決定前に契約や着工をした工事を対象にしないのが原則です。その理由と、やむを得ない場合の事前着手の届、介護施設の大規模修繕で補助を使うときの申請から完了の報告までの流れと月数(前の年の調査から1年半ほど)、入札と工事中・完了の報告をまとめました。
- 長期修繕計画は、30年・5年・単年の3つで持ちます介護施設の長期修繕計画の作り方を、30年・5年・単年の3つの長さで持つ形で整理しました。台帳に周期と単価を当てて年ごとの表にする4段の手順、30年の計画が外れる理由とそれでも作る理由、3つの計画のつなぎ方、計画を支える修繕の履歴の残し方までをまとめています。