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設備の管理は6つの役割に分け、
職種と時間帯で受け持ちます

修理の話が事務長や営繕の担当に次々と集まり、介護の職員は「伝えたのに直らない」と感じている。そんな施設では、設備の管理を誰が受け持つかが、はっきり決まっていないことがよくあります。役割を細かく分け、職種ごと・時間帯ごとに受け持ちを決めると、1人に集まっていた仕事がほどけます。この記事では、6つの役割の分け方、職種と時間帯の表の作り方、外に出せる役割を書きます。

構成:介護施設 修繕の窓口監修:鈴木貴行(介護施設営繕・修繕専門家)更新:読む時間:約19分

この記事が答える質問介護施設の営繕にかかる職員の負担を減らしたい。設備の管理は、誰が何を受け持てばよい?

介護施設の営繕にかかる職員の負担を減らすには、設備の管理を6つの役割に分けます。気づく・伝える・判断する・手配する・立ち会う・記録する、の6つです。そのうえで、職種ごと・時間帯ごとに受け持ちを決めて1枚の表にします。介護職と看護職は気づくと伝えるまで、リーダーは話の取りまとめと急ぐかどうかの一次の判断を受け持ちます。事務は手配と記録、施設長と事務長はお金のかかる判断です。夜勤は、気づく・伝える・その場で使うのを止める、までにし、手配は朝に回します。手配と記録は、外に出せる役割です。

この記事の結論

  1. 設備の管理は、気づく・伝える・判断する・手配する・立ち会う・記録するの6つに分ける
  2. 介護職と看護職は、気づくと伝えるまでを受け持つ
  3. リーダーは取りまとめと一次の判断、事務は手配と記録、施設長と事務長はお金のかかる判断
  4. 夜勤は、気づく・伝える・使うのを止める、まで。手配は朝に回す
  5. 手配と記録は外に出せる。表は詰所と事務所に貼り、3か月ごとに見直す

設備の管理は、6つの役割に分けられます

介護施設の営繕にかかる職員の負担を減らすとき、最初にするのは、設備の管理を役割に分けることです。1件の修理には、不具合に気づく人、それを伝える人、急ぐかどうかと費用を決める人がいます。業者に頼む人、業者の作業に立ち会う人、記録する人もいます。

この6つを1人で抱えると、その人の負担が重くなります。反対に、誰の役割か決まっていないと、話が途中で止まります。介護の職員が気づいて伝えたのに直らない、という声は、6つのどこかに受け持つ人がいないときに生まれます。

設備の管理の6つの役割
役割中身負担が出るところ
気づく居室や浴室、共用部で、不具合や「いつもと違う」に気づく回数は多いが、1回は短い
伝える気づいたことを、決まった先に、決まった形で伝える伝える先が決まっていないと、何人にも話す
判断する急ぐか、使うのを止めるか、いくらかけるかを決める回数は少ないが、1回が重い
手配する業者に連絡し、見積と日程を決める電話と折り返しで、時間が細切れになる
立ち会う業者を案内し、作業中の入居者の方に気を配る介護の手が空く時間と、業者の着く時間が合わない
記録する直した日、中身、費用、業者を残す後回しにされやすく、あとで探す手間になる
6つの役割を職種で分けると、1人に集まっていた仕事がほどける。役割を決めていない施設と、決めた施設決めていない役割で分けた気づいた人がそれぞれ事務長に伝える事務長が6つを抱える気づく・伝えるは全員取りまとめはリーダー手配と記録は事務
図1 6つの役割を職種で分けると、1人に集まっていた仕事がほどける。

6つのうち、気づくと伝えるは、施設の中の人にしかできない役割です。判断のうち、お金のかかることを決めるのも施設に残ります。手配と記録は、施設の中でも外でも受け持てる役割です。この違いが、職種ごとの受け持ちを決める手がかりになります。

職種ごとに、受け持つ役割を決めます

6つの役割を、職種ごとに受け持ちます。目安は、介護職と看護職は気づくと伝えるまで、リーダーは伝えられた話の取りまとめと、急ぐかどうかの一次の判断です。事務は手配と記録、施設長と事務長はお金のかかる判断を受け持ちます。印は、主に受け持つ「◎」、手伝う「○」、受け持たない「−」の3つで足ります。

職種ごとの役割の受け持ち(例)
職種気づく伝える判断する手配する立ち会う記録する
介護職◎◎−−○−
看護職◎◎○(医療に使う機器)−○−
リーダー(ユニット・フロア)◎◎(取りまとめ)○(急ぐか・止めるか)−◎○
事務○○−◎○◎
営繕の担当(いる施設)◎−○(直し方)◎◎◎
施設長・事務長○−◎(お金のかかる判断)○−○

介護職と看護職に手配まで任せないのは、介護の手を止めないためです。業者への電話は、折り返しを待つ時間も含めて手が取られます。介護職の役割を「気づいて、決まった形で伝える」までにすると、1件にかかる時間は数分で済みます。

事務に手配と記録を集めるのは、電話と書類の仕事が、事務の仕事の流れに合うからです。営繕の担当がいる施設では、手配と立ち会いは営繕の担当が受け持ちます。事務は、記録と請求書の照らし合わせを受け持つ、と分けます。

施設長や事務長は、伝えるの役割を受け持ちません。職員から直接話を受けないことで、話がリーダーと事務を通って整理されてから届きます。判断の役割だけを持つと、営繕を兼ねている負担も軽くなります。兼務の限界のサインと、何から手放すかは兼務の限界は判断に表れます。手配と記録から手放しますにまとめています。

相談・見積は無料|お断り可・理由は不要

職種ごとに、気づける場所が違います

気づく役割は全員が受け持ちますが、職種ごとに目に入る場所が違います。介護職は居室・トイレ・浴室、看護職は医務室と医療に使う機器をよく見ています。調理の職員は厨房の機器、清掃の職員は床や排水、送迎の運転手は車両と玄関まわりです。表に職種ごとの「見る場所」を書いておくと、気づく目が重ならず、抜けも減ります。

職種ごとに気づきやすい場所と不具合
職種見ている場所気づきやすい不具合
介護職居室、トイレ、浴室、食堂水漏れ、ドアの閉まり、手すりのぐらつき、ナースコール
看護職医務室、処置をする場所薬を入れる冷蔵庫の温度、医療に使う機器のコンセントまわり
調理の職員(委託を含む)厨房、食品庫冷凍冷蔵庫の温度、換気扇、ガス機器、排水の詰まり
清掃の職員(委託を含む)廊下、共用のトイレ、窓床の浮きやはがれ、排水のにおい、照明の切れ
送迎の運転手車両、駐車場、玄関まわり門扉や自動ドアの動き、外の照明、段差
事務玄関、事務所、電話とネットの機器自動ドア、電話、インターホン、受付の照明
見る場所を職種で分けると、気づく目が重ならず、抜けも減る。職種ごとの「見る場所」介護職居室・トイレ・浴室看護職医務室・薬の冷蔵庫調理の職員厨房・食品庫清掃の職員床・排水・窓送迎の運転手車両・駐車場・玄関事務玄関・電話・事務所
図2 見る場所を職種で分けると、気づく目が重ならず、抜けも減る。

委託している調理や清掃の会社の人は、誰に伝えればよいかを知らないことがよくあります。委託先の責任者に、伝える先と伝え方を書いた表を渡しておくと、厨房や共用部の不具合も同じ流れに乗ります。

見る場所を決めるのは、責任を押しつけるためではありません。「ここは誰かが見ているはず」と全員が思う場所をなくすためです。非常口の前や屋外の階段、倉庫のように、どの職種の通り道にもならない場所は、リーダーの見回りの順路に入れておきます。

時間帯で、受け持つ役割が変わります

同じ職種でも、時間帯で受け持つ役割が変わります。平日の日中は事務と施設長がいるので、手配と判断はその日のうちに進みます。夕方から朝までと休日は、事務も施設長もいないことが多く、夜勤の職員とリーダーが受け持てる役割は限られます。

時間帯ごとの役割の受け持ち(例)
時間帯気づく・伝える判断する手配する記録する
平日の日中全職員。リーダーが取りまとめるリーダーが急ぐかを決め、お金のかかる判断は施設長・事務長事務(営繕の担当)事務
夕方(事務が帰ったあと)全職員。リーダーが取りまとめるリーダーが、急ぐか・使うのを止めるかを決める急ぐものだけ、決めた連絡先へ翌朝、事務が書く
夜勤夜勤の職員。夜勤の記録に書く使うのを止めるかまで急ぐものだけ、決めた連絡先へ翌朝、事務が書く
休日出勤の職員。当番のリーダーが取りまとめる当番のリーダーが急ぐかを決める急ぐものだけ、休日に来られる業者へ休み明けに事務が書く
事務と施設長がいない時間帯は、受け持つ役割を絞る。時間帯で変わる役割平日の日中6つの役割をその日のうちに回す夕方取りまとめと、急ぐかの判断まで夜勤気づく・伝える・使うのを止めるまで休日急ぐものだけ手配し、残りは休み明け
図3 事務と施設長がいない時間帯は、受け持つ役割を絞る。

夜勤の職員の役割は、気づく、伝える、その場で使うのを止める、の3つまでにします。水が止まらないときに止水栓を閉める、焦げたにおいのする機器のプラグを抜く、といった手当ては夜勤の職員の役割です。業者を探して呼ぶことまで求めると、少ない人数で入居者の方を見ている時間が削られます。夜間の電話を誰が受け、何を朝まで待つかの決め方は夜間の設備トラブル、電話は誰の携帯に鳴っていますかにまとめています。

休日は、当番のリーダーが、連絡先の一覧を見て1回で連絡できるようにしておきます。休日に来てもらえる業者を平日のうちに決めておく方法は土日祝に修理を頼める業者は、平日のうちに決めておきますにあります。

役割を1枚の表にして、詰所と事務所に貼ります

職種と時間帯の受け持ちが決まったら、1枚の表にして貼ります。表は、介護の詰所、事務所、委託の会社の控室など、不具合に気づく人の目に入る場所に貼ります。1枚に収まらない表は読まれないので、細かい決まりは別の紙にします。

今の流れをたどってから表にすると、現場に合った受け持ちになる。役割の表の作り方1. 最近の修理を3件たどる(誰が気づき、誰が頼んだか)2. 6つの役割に分ける3. 職種の行に印を入れる4. 時間帯の列と連絡先を足す5. 貼って、3か月ごとに見直す
図4 今の流れをたどってから表にすると、現場に合った受け持ちになる。

最初に最近の修理を3件たどるのは、紙の上の理想ではなく、今の本当の流れから始めるためです。たどると、「夜勤の職員が事務長の携帯に直接かけていた」「委託の清掃の人が誰にも伝えていなかった」といった抜けが見つかります。

1枚の表に入れる項目
項目書く中身
職種と役割の印職種ごとに、6つの役割の◎・○・−
時間帯の決まり夜勤と休日に受け持つ役割と、朝に回す役割
伝える先名前ではなく役で書く(2階のリーダー、夜勤のリーダーなど)
急ぐものの例水が止まらない、入浴できない、ナースコールが鳴らない
触らないものコンセントや配線、消防用設備、ガス機器の中
見直す月3か月ごとの見直しの月

伝える先を名前ではなく役で書くのは、異動や退職があっても、表を書き直さずに済むようにするためです。職員からの報告を受ける施設の中の窓口の作り方と、報告の様式は修繕の窓口は、外と中の両方を一本にして効果が出ますにまとめています。

判断の役割は、急ぐかどうかとお金で2段に分けます

判断の役割は、1人に集めすぎても、全員に散らしても困ります。1人に集めると、その人が休んだ日に止まります。全員に散らすと、職員が業者に直接頼んで、費用が見えなくなります。そこで、判断を2段に分けます。

判断の2段の分け方
段決めること受け持つ人決める早さ
1段目急ぐか、その場で使うのを止めるかリーダー(夜勤はリーダーか夜勤の職員)その場で
2段目直すか替えるか、いくらかけるか、どの業者に頼むか施設長・事務長(金額の線の内側は事務)その日から数日
使うのを止めるかはその場で、お金のかかる判断は2段目に回す。その判断は、何段目かお金がかかる判断かかからない1段目:リーダーがその場で決めるかかる2段目:施設長・事務長(線の内側は事務)
図5 使うのを止めるかはその場で、お金のかかる判断は2段目に回す。

1段目の「使うのを止める」は、お金のかからない判断なので、リーダーがその場で決めてかまいません。浴室の床が浮いているなら浴室を使わない、手すりがぐらつくなら貼り紙をして使わない、という判断です。

2段目は、金額の線を決めておきます。線の内側は事務が進め、外側は施設長や事務長が決めます。職員が業者に直接頼むのは、急ぐ場面で、決めた連絡先に1回連絡するところまでにします。お金の話は2段目の人に回す、と表に書いておくと、請求書で初めて修理を知ることが減ります。

外に出せる役割は、手配と記録です

6つの役割のうち、外に出しやすいのは手配と記録です。立ち会いも、鍵の開け閉めと入居者の方への声かけを施設に残せば、一部を外に出せます。外に出すと、職種ごとに減る仕事が変わります。

手配と記録を外に出したとき、職種ごとに減る仕事
職種減る仕事残る仕事
事務業者を探す電話、日程の調整、記録の清書外への連絡と、請求書の確かめ
リーダー業者からの問い合わせへの返事、現場の案内の段取り取りまとめと、1段目の判断
施設長・事務長見積の取り寄せと読み比べ2段目の判断と、費用の承認
営繕の担当分野の外の業者探し、記録のまとめ見回り、小さな修理、立ち会い

こういうサービスは初めてだったので正直どうかなと思っていたのですが、修繕したい場所と状況を伝えるだけで相談できたので、思っていたより簡単でした。

ご利用者の声 東京都内・介護施設/施設管理・営繕担当

取材にもとづき掲載しています(施設名は非公開)。内容はご本人の申告によるもので、個人の感想です。

外に出しても、気づくと伝える、お金のかかることを決めるのは施設に残ります。外にどこまで任せられ、何が施設に残るかは営繕を丸ごと外注しても、施設に残る仕事がありますで書いています。

当窓口では、フォームとLINEで24時間ご相談を受け、1回のご依頼で最大3社の見積をそろえます。ただ、気づく役割と伝える役割は、外からは受け持てません。役割の表づくりは、施設の中で進めます。

気づく目を増やしても、職員の負担は増やしません

気づく目を増やそうとして、職員に長い点検表を配る施設があります。けれども、介護の合間に何十もの項目を埋めるのは続きません。気づく役割は、ふだんの仕事のついでに見る形にします。

ふだんの仕事のついでに見る場所
ふだんの仕事ついでに見る場所見るもの
居室の掃除やシーツの交換ベッドまわり、窓、ドア窓の鍵、ドアの閉まり、コンセントまわりの焦げ
トイレの介助便器、手すり、床水が止まらない、手すりのぐらつき、床の水
入浴の介助浴槽、シャワー、床湯の温度の変化、排水の流れ、床の浮き
配膳と下膳食堂の床、照明つまずく段差、照明の切れ
夜勤の巡回廊下、非常口、詰所誘導灯の消え、非常口の前の物、空調の音

伝える形も短くします。施設の中の窓口で決めた短い様式にそろえ、書く欄を増やしません。欄が多いと、気づいても伝えるのをためらう人が出ます。

職員に、触ってよいものと触らないものも伝えておきます。電球の交換や、取扱説明書に沿ったブレーカーの操作は、職員がしてよい作業です。コンセントやスイッチの交換は、電気工事士の資格が要る作業です。電気の作業の線引きは電気設備の修理を頼む先は、受電の形と作業の中身で決まりますにまとめています。

消防用設備の点検の日も、立ち会いの役割が要ります。機器点検は6か月ごとにあるので、点検の日の立ち会いを誰が受け持つかも、表に書いておきます。

新しく入った職員には、入職の日に3つを伝えます

役割の表を作っても、新しく入った職員や派遣の職員が知らなければ、その人のところで話が止まります。入職の日の説明に、設備のことを3つだけ足します。

  1. 伝える先不具合に気づいたら、誰に、どの様式で伝えるか。夜勤のときはどうするか。
  2. 触ってよいもの・触らないもの電球やブレーカーの決まった操作はよい。コンセントや配線、消防用設備は触らない。
  3. 止める場所止水栓と分電盤の場所と、閉める・切る前に誰に伝えるか。

止水栓と分電盤の場所は、写真を撮って表の裏に貼っておくと、夜勤のときに探さずに済みます。停電やブレーカーが落ちたときに、上げてはいけないブレーカーがあることも伝えておきます。くわしくは介護施設が停電。上げてはいけないブレーカーがありますにあります。

派遣の職員や短い時間で働く職員には、表の全部ではなく「伝える先」の1行だけでも伝えます。全員が同じ1行を知っていれば、気づいた不具合が途中で止まりにくくなります。

説明は、入職の日に5分あれば足ります。説明した日を記録しておくと、3か月ごとの見直しのときに、伝わっていない職員がいないかも確かめられます。

モデルケース:10のユニットから修理の話がばらばらに届いていた特養

モデルケース:定員100名のユニット型特別養護老人ホーム(10ユニット)

事務長に直接届く修理の話が、1日5〜6回から1〜2回に

変わったこと(結果)

役割の表を作って3か月たつと、職員が事務長のところへ直接修理の話を持ってくる回数が、1日5〜6回から1〜2回になりました。同じ不具合が2つのユニットから別々に届く二重の連絡は、月に8件ほどあったのが1〜2件になりました。夜勤の職員が修理のことで事務長の携帯にかけたのは、3か月で2回でした。どちらも、表に書いた急ぐものの例に当たる場面でした。

背景と、困っていたこと

このホームでは、介護の職員が気づいた不具合を、それぞれが内線や立ち話で事務長に伝えていました。10のユニットからばらばらに話が届くので、同じ廊下の照明の話が3回届くこともありました。夜勤の職員は、朝まで待つか事務長の携帯にかけるかを、その場で迷っていました。委託の清掃の職員は誰に伝えればよいか分からず、共用のトイレの水漏れが翌日まで伝わらなかったこともあります。

決めたこと

ホームは、最近の修理を3件たどってから、6つの役割と職種の表を作りました。介護職は、気づいてユニットの不具合の欄に1行書くまでです。ユニットのリーダーは毎日14時に欄を見て事務に回し、急ぐか、使うのを止めるかを決めます。事務の2人が手配と記録を受け持ち、5万円以上の修理は事務長が決めます。夜勤は、気づく・夜勤の記録に書く・使うのを止める、までとしました。表は、10のユニットの詰所と事務所、委託の会社の控室に貼りました。

進めてみて分かったこと

最初の月、薬を入れる冷蔵庫の温度が上がっていたことに、2回、気づくのが遅れました。看護職の行に「薬の冷蔵庫の温度」を足すと、次の月からは朝の確かめで気づけるようになりました。迷ったのは、リーダーの仕事が増えるのではないかという点です。取りまとめを1日1回の14時と決め、急ぐものだけその場で受けることにして、リーダーの負担を抑えました。

このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。

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表を作ったあとに起きやすいことと、防ぎ方

役割の表を貼ったあとも、流れが止まることはあります。多くは、表を作ったときに考えていなかった人や時間帯から出てきます。よく起きることと、防ぎ方を先に知っておくと、見直しが早く済みます。

役割の表を作ったあとに起きやすいこと
起きやすいこと原因防ぎ方
リーダーに話が集まりすぎる取りまとめと判断の両方を、いつでも受けている取りまとめは1日1回の時刻を決め、急ぐものだけその場で受ける
介護職が「伝えたのに直らない」と言う直ったかどうかが返ってこない直った修理を、週に1回、一覧にして詰所に返す
夜勤の職員が業者を呼んでしまう急ぐものの線があいまい急ぐものの例を表に3つ書き、それ以外は朝に回すと書く
表が古くなる勤務の形や委託先が変わっても直していない3か月ごとの見直しの月を、表に書いておく
委託の職員が伝えない委託先に表が届いていない委託先の責任者に表を渡し、伝える先を1つにする

3か月ごとの見直しでは、その間に「流れが止まった修理」を1件ずつたどり、6つのどの役割で止まったかを見ます。止まった役割の行を直すだけで、表は現場に合っていきます。

役割を分けたあとに、誰が何時間を営繕に使っているかを測ると、分けた効果が数字で見えます。事務長の時間が減った分、事務の職員の時間がどれだけ増えたかも分かります。測り方は営繕担当者が足りないときは、増やす前に時間を測りますにまとめています。

平常時にしておくこと

平常時にしておくこと

  • 最近の修理を3件たどり、誰が気づいて誰が頼んだかを書き出す
  • 職種ごとの役割の印を入れた表を、詰所と事務所に貼る
  • 夜勤と休日に受け持つ役割と、朝に回す役割を決める
  • 急ぐものの例と、触らないものを表に書く
  • 委託の調理や清掃の会社にも、表を渡す
  • 3か月ごとに、止まった修理をたどって表を直す

営繕の担当者の仕事を、毎日・毎週・毎月・毎年の周期で並べた全体は営繕の仕事は4つの周期で回り、修繕は安全から順に直しますにあります。

役割を分けても手配と記録の手が足りない、外に出す先を探したい、というときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。今の役割の表や、よく出る修理の一覧をお送りいただければ、外に出しやすい役割と頼み先の候補をお返しします。

よくある質問

介護施設の営繕にかかる職員の負担を減らすには、何から始めればよいですか

設備の管理を、気づく・伝える・判断する・手配する・立ち会う・記録するの6つの役割に分けることから始めます。そのうえで、職種ごと・時間帯ごとに誰が受け持つかを1枚の表にすると、1人に集まっていた仕事がほどけます。

介護職の職員は、設備のことで何を受け持てばよいですか

気づくことと、決まった先に伝えることまでで足ります。業者への電話や日程の調整まで任せると、折り返しを待つ間も介護の手が止まります。伝える形を短くすると、1件にかかる時間は数分で済みます。

看護職の職員にも、設備の役割はありますか

あります。医務室や処置をする場所、薬を入れる冷蔵庫の温度、医療に使う機器のコンセントまわりは、看護職がいちばんよく見ている場所です。気づくと伝えるの役割に、見る場所を書き足しておきます。

ユニットリーダーやフロアリーダーは、設備のことで何を受け持てばよいですか

職員から伝えられた話の取りまとめと、急ぐかどうか・その場で使うのを止めるかの判断です。取りまとめは1日1回の時刻を決め、急ぐものだけその場で受けると、リーダーに話が集まりすぎません。

夜勤の職員の設備の役割は、どこまでにすればよいですか

気づく・伝える・その場で使うのを止める、までにして、手配は朝に回します。少ない人数で入居者の方を見ている時間に業者を探して呼ぶ仕事を加えると、介護の手が足りなくなります。急ぐものだけ、決めた連絡先に1回連絡します。

くわしく:夜間の設備トラブル、電話は誰の携帯に鳴っていますか

休日に設備が壊れたら、誰が動けばよいですか

当番のリーダーが急ぐかどうかを決め、急ぐものだけを休日に来られる業者に連絡します。急がないものは一覧に書き、休み明けに事務が手配します。休日に来られる業者は、平日のうちに決めておきます。

くわしく:土日祝に修理を頼める業者は、平日のうちに決めておきます

委託している清掃や調理の会社の人にも、役割を決めたほうがよいですか

決めておきます。厨房の機器や共用のトイレ、床の不具合は、委託の会社の人が最初に目にすることの多い場所です。委託先の責任者に役割の表を渡し、伝える先を1つにしておきます。

設備の役割の表は、どこに貼ればよいですか

不具合に気づく人の目に入る場所に貼ります。介護の詰所、事務所、委託の会社の控室が基本です。1枚に収まる大きさにし、細かい決まりは別の紙にします。

くわしく:修繕の窓口は、外と中の両方を一本にして効果が出ます

職員が業者に直接修理を頼んでしまいます

判断を2段に分け、お金のかかる判断は施設長や事務長に回す、と表に書きます。職員がしてよいのは、使うのを止めることと、急ぐときに決めた連絡先へ1回連絡することまでです。この線を引くと、請求書で初めて修理を知ることが減ります。

営繕の担当者がいない施設でも、役割は分けられますか

分けられます。営繕の担当の行を除き、手配と記録を事務が、立ち会いをリーダーが受け持ちます。手配の手が足りないときは、手配と記録を外に出し、施設の中は気づく・伝える・判断するに絞ります。

役割の表は、どれくらいの間隔で見直せばよいですか

3か月ごとが目安です。その間に流れが止まった修理を1件ずつたどり、どの役割で止まったかを見て、その行を直します。勤務の形や委託先が変わったときは、その時点でも直します。

役割を分けた効果は、何で確かめればよいですか

表を作る前と3か月後で、3つの数字を比べます。事務長や施設長に直接届く修理の話の回数、同じ不具合の二重の連絡の件数、誰が何時間を営繕に使っているか、の3つです。

くわしく:営繕担当者が足りないときは、増やす前に時間を測ります

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施設のよくある困りごとの一覧はよくある困りごと、頼み先の一覧は設備別の頼み先、ご相談の流れはご相談の流れにまとめています。

監修者

鈴木貴行|介護施設営繕・修繕専門家

  • 30年以上営繕・設備管理の経験
  • 1,000施設超関わった介護・高齢者施設
  • 3,000件超修繕・設備改善の案件

介護施設の営繕・設備管理に30年以上携わり、1,000施設を超える介護・高齢者施設の現場に関わってきました。介護施設の設備の管理を、職種ごと・時間帯ごとに役割を分けて受け持つ形を監修しています。

経験した施設
特別養護老人ホーム有料老人ホームグループホームデイサービスサービス付き高齢者向け住宅
専門分野
給排水空調電気・照明トイレ・浴室床・壁扉・建具ナースコール
  • 電気工事士法第3条(電気工事士等)
  • 消防法第17条の3の3(消防用設備等の点検及び報告)

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