介護施設の水道トラブルは、施設のある市町村などの水道局が指定した「指定給水装置工事事業者(指定工事店)」に頼むのが基本です。メーターより建物側の修理は施設の負担になることが多く、受水槽より先の配管は設備業者の分野です。業務用エアコンの修繕は、メーカーの修理窓口か空調の工事業者に頼み、冷媒を扱う修理では都道府県に登録した第一種フロン類充塡回収業者かを確かめます。
この記事の結論
- 水道は、水道局が指定した工事店(指定給水装置工事事業者)に頼む
- 責任の境目は、水道メーターと受水槽。建物側は施設の負担が多い
- 急ぎでも、作業の前に総額を書面で確かめる
- 業務用エアコンの修繕は、メーカーの窓口か空調の工事業者へ
- 冷媒を扱う修理は、第一種フロン類充塡回収業者かを確かめる
水道と空調では、業者を選ぶ目印が違います
水道と空調は、どちらも「設備業者」とひとまとめにされがちですが、業者を選ぶときの目印が違います。水道は、水道局が指定した工事店かどうか。業務用の空調は、冷媒を扱える登録があるかと、点検の記録を付けてくれるかどうかです。
どちらも、止まると入居者の方の食事や入浴、体調に響きます。急いでいるときほど、目印を確かめずに頼んでしまいがちです。この記事では、急ぎの場面でも確かめられるように、見るところを絞ってまとめます。
水道は、水道局の指定工事店に頼みます
水道の配管や蛇口などの工事は、水道法で、水道局(市町村などの水道事業者)が指定した「指定給水装置工事事業者」が行うことになっています。一般に「指定工事店」と呼ばれる業者です。指定工事店には、給水装置工事主任技術者という資格を持つ人が置かれています。
指定は、水道局ごとに行われます。隣の市で指定を受けていても、施設のある市町村で指定を受けていなければ、その地域の給水装置の工事はできません。また、指定は5年ごとに更新する決まりになっているため、以前は指定されていた業者が、今も指定を受けているとは限りません。
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責任の境目は、メーターと受水槽です
水道のトラブルで最初に確かめたいのは、どこまでが水道局の受け持ちで、どこからが施設の受け持ちかです。多くの地域では、道路の下の水道管から水道メーターまでの修理は水道局が受け持ち、メーターより建物側の修理は施設の負担になります。細かな範囲は地域によって違うため、施設のある水道局の案内で確かめます。
| 場所 | 受け持ちの目安 | 主な頼み先 |
|---|---|---|
| 道路の水道管〜メーター | 水道局が受け持つことが多い | 水道局 |
| メーター〜建物の中の蛇口(直結の施設) | 施設の負担 | 指定工事店 |
| 受水槽までの配管 | 施設の負担 | 指定工事店 |
| 受水槽より先の配管・ポンプ | 施設の負担 | 設備業者(給水ポンプは保守の会社) |
| 排水の配管・ます | 施設の負担(公共のますより先は自治体) | 排水設備の指定工事店、設備業者 |
受水槽のある施設では、水道局の水はいったん受水槽にためられ、そこから先は建物の設備として扱われます。給水ポンプが止まって水が出ないときの対応は、介護施設が断水したとき、水を取り出す方法がありますにまとめています。排水の工事も、多くの自治体で、下水道の条例にもとづく指定の工事店が受け持つことになっています。
指定工事店の、確かめ方
指定工事店かどうかは、急いでいるときでも数分で確かめられます。平常時のうちに、施設の近くの指定工事店を2〜3社選んで連絡先を控えておくと、夜間や休日に慌てずに済みます。
- 水道局の名簿を見る施設のある水道局のサイトに、指定給水装置工事事業者の一覧が載っていることが多いので、社名を確かめます。
- 業者に指定の番号を聞く電話の時点で、どこの水道局の指定を受けているかと、指定の番号を聞きます。
- 排水は別に確かめる排水の工事は、下水道の指定(排水設備の指定工事店)を受けているかを確かめます。
- 見積を書面でもらう作業の前に、出張・作業・部品を含めた総額を、紙かメールで受け取ります。
水道局のサイトの一覧は、指定を受けている業者のすべてを載せています。中には、施設の大きな配管に慣れていない業者もあるため、介護施設や事業所の工事の経験も一緒に聞いておくと安心です。
よくある水道のトラブルと、頼み先
水道のトラブルは、場所と症状で、急ぎの度合いと頼み先の見当が付きます。漏れているときは、まず止水栓を閉めて被害を小さくしてから、頼み先を考えます。
| 症状 | 急ぎ | 主な頼み先 |
|---|---|---|
| 蛇口やシャワーの水が止まらない・ぽたぽた漏れる | 漏れの量による | 指定工事店 |
| メーターのまわりから水がしみ出す | すぐ | 水道局に連絡し、受け持ちを確かめる |
| 床や壁の中から水音がする・メーターが回り続ける | すぐ | 指定工事店(漏水の調査) |
| 水の出が弱い・赤い水が出る | 状況による | 指定工事店、設備業者 |
| 受水槽やポンプのまわりの異常 | すぐ | 設備業者・保守の会社 |
| 排水が流れない・逆流する | すぐ | 排水管の清掃の業者、設備業者 |
すべての蛇口を閉めているのにメーターのパイロット(小さな羽根車)が回っているときは、どこかで漏れています。床下や壁の中の漏れは、放っておくと建物を傷めるため、漏水の調査ができる指定工事店に頼みます。水漏れのときの記録と保険の扱いは老人ホームで水漏れ。修理より先にすることがあります、トイレや蛇口の症状別の見分け方はトイレが詰まった・水が止まらない。職員でできることは、ここまでです、赤い水や濁りは蛇口から赤い水が出る。色で、原因の見当がつきますにまとめています。
高額な請求を、避けるために
水回りの急な修理では、広告に出ていた料金と、実際の請求が大きく違ったという相談が、国民生活センターなどに寄せられています。施設は事業者として契約するため、家庭の契約で使えるクーリング・オフの仕組みが使えないことが多い点にも注意が要ります。
| 場面 | 見ること |
|---|---|
| 業者を探すとき | 「基本料金〇円〜」だけの広告で選ばない。指定工事店かを確かめる |
| 電話のとき | 出張の費用、夜間の割増、作業の費用の目安を先に聞く |
| 作業の前 | 総額を書面で受け取り、施設の決裁の人が確かめてから頼む |
| 作業の途中 | 追加の作業は、その都度金額を聞いてから決める |
| 作業のあと | 作業の内容と交換した部品を書いた明細を受け取る |
急いでいても、作業の前に総額を確かめることは、施設を守るために欠かせません。夜間に職員だけで判断しなくて済むように、いくらまでなら夜勤の職員が頼んでよいか、それを超えるときは誰に連絡するかを、平常時に決めておきます。
モデルケース:夜中の水漏れで、高い請求を受けた施設
モデルケース:定員29名の小規模な特養
広告で見た業者を呼んで、思った額の何倍もの請求に
変わったこと(結果)
指定工事店を2社決めて連絡先を詰所に貼ってから、次に夜間に水漏れがあったときは、夜勤の職員が貼り紙を見て電話し、電話の時点で費用の目安を聞いてから来てもらえました。請求も、聞いていた目安の範囲に収まりました。
背景と、困っていたこと
前の水漏れのとき、夜勤の職員がスマートフォンで見つけた業者に電話しました。来た業者は、蛇口の部品の交換のほかに配管の工事が要ると説明し、その場で作業を進めました。翌朝、事務長が受け取った請求は、広告の料金の何倍にもなっていました。
その後に決めたこと
施設は、水道局の名簿で指定工事店を確かめ、施設の近くの2社と連絡先を決めました。あわせて、夜勤の職員が頼んでよい金額の上限と、それを超えるときに電話する人を決めました。
このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。
空調の修繕は、業者の種類で得意が違います
業務用エアコンの修繕を頼める先は、いくつかの種類があります。それぞれ得意が違うため、症状と施設の契約で選びます。機器の型番と設置した年を、室外機や室内機の銘板で確かめておくと、どの先に頼むときにも話が早くなります。
| 頼み先 | 得意なこと | 気をつけること |
|---|---|---|
| メーカーの修理窓口 | 機器の中の故障、部品の手配 | 配管や建物側の工事は別の業者になることがある |
| 空調の工事業者 | 配管・冷媒・複数台の修理や更新 | 管工事の許可や、フロンの登録を確かめる |
| 機器を納めた販売店 | 納めた機器の窓口になる | 修理は販売店から工事業者やメーカーに回ることが多い |
| ビルの管理の会社 | 点検の契約の中で、最初の窓口になる | 修理は別の契約や費用になることがある |
エアコンが止まったときに、まず室温を測って記録することは、空調が止まった。業者より先に、室温を測ってくださいにまとめています。修理か更新かを決める見積の見方は、業務用エアコンの交換費用は、見積の4つの行で確かめますが参考になります。
業務用エアコンは、フロンの登録と点検の記録を見る
業務用のエアコンや冷凍冷蔵庫は、フロン排出抑制法の対象です。冷媒(フロン類)を補充したり回収したりする作業は、都道府県に登録した「第一種フロン類充塡回収業者」に頼む決まりになっています。冷媒が漏れて冷えない、という修理では、頼む業者がこの登録を持っているかを確かめます。
| 項目 | 内容の目安 |
|---|---|
| 簡易点検 | すべての機器を、3か月に1回以上、見た目や音で確かめる |
| 定期点検 | 圧縮機の大きさによって、1年に1回または3年に1回、知識のある人が点検する |
| 冷媒の補充・回収 | 第一種フロン類充塡回収業者に頼む |
| 点検の記録 | 点検と修理の記録を残し、決められた期間保存する |
施設は、業務用の空調機器の「管理者」として、点検と記録を求められます。修理を頼んだ業者が、点検の記録や冷媒の補充の記録を残してくれるかも、業者を選ぶときの目印になります。記録がそろっていると、次の修理や更新を考えるときにも、どの機器がどれだけ傷んでいるかが分かります。
空調の症状から、急ぎの度合いを決める
空調の不具合は、症状で急ぎの度合いが変わります。夏や冬に居室が冷えない・暖まらないときは、入居者の方の体調に直結するため、修理を待つ間の室温の管理を先に考えます。音や水漏れなど、すぐには困らない症状は、ためて点検のときにまとめて見てもらう方法もあります。
| 症状 | 急ぎ | まず確かめること |
|---|---|---|
| 冷えない・暖まらない(居室) | すぐ(季節による) | 室温、リモコンの表示、フィルターの汚れ |
| 焦げたにおい・煙 | すぐ(運転を止める) | ブレーカーを切り、業者に連絡 |
| リモコンにエラーの表示 | 表示による | 表示の番号と型番を控える |
| 室内機からの水漏れ | 量による | 運転を止めて、水が止まるか |
| いつもと違う音・振動 | ためてよいことが多い | いつ、どの運転のときに鳴るか |
フィルターの汚れで冷えが弱くなっていることも少なくありません。業者を呼ぶ前に、取扱説明書に沿ってフィルターの汚れを確かめると、それだけで直ることもあります。ただし、高い所の作業は無理をせず、職員の安全を優先します。
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水と空調の間で、迷いやすい不具合
エアコンの室内機から水が垂れてくる、天井から水がしみる、といった不具合は、水道の業者に頼むべきか、空調の業者に頼むべきかで迷いやすいところです。エアコンが冷やすときに出る水(ドレン水)を外へ流す管が詰まっていることが多く、この場合は空調の業者の受け持ちです。
雨の日だけ水がしみるときは、雨漏りの可能性もあります。雨漏りの原因の見つけ方は雨漏りは、原因を見つけるまでが工事の半分ですにまとめています。水と空調の両方を扱える設備業者に頼むと、どちらが原因でも1回の調査で済むことがあります。
平常時にしておくこと
平常時にしておくこと
- 施設の近くの指定工事店を2〜3社決め、連絡先を詰所と事務室に貼る
- 元の止水栓と、フロアごとの止水栓の場所を職員で確かめる
- 夜勤の職員が頼んでよい金額の上限と、それを超えるときの連絡先を決める
- 業務用エアコンの簡易点検を3か月に1回行い、記録を残す
- 空調の修理を頼む業者が、フロンの登録と点検の記録に対応できるか確かめる
断水や給水ポンプの停止は介護施設が断水したとき、水を取り出す方法があります、業務用エアコンをまとめて更新するときの考え方はR22のエアコンは、冷媒に関わる故障なら更新を考えますにまとめています。
指定工事店の探し方が分からない、空調の修理をどこに頼めばよいか決められない、というときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。症状の写真と機器の銘板の写真をお送りいただければ、頼み先の候補をお返しします。
よくある質問
介護施設の水道トラブルは、どこに頼めばよいですか
施設のある地域の水道局が指定した「指定給水装置工事事業者(指定工事店)」に頼むのが基本です。受水槽より先の配管やポンプは設備業者、排水は排水設備の指定工事店や設備業者の分野です。
指定工事店かどうかは、どう確かめますか
施設のある水道局のサイトに載っている指定給水装置工事事業者の一覧で確かめるか、業者にどこの水道局の指定を受けているかと指定の番号を聞きます。指定は5年ごとに更新されます。
水道の修理費は、施設と水道局のどちらが払いますか
多くの地域では、道路の水道管からメーターまでは水道局、メーターより建物側は施設の負担です。細かな範囲は地域で違うため、施設のある水道局の案内で確かめます。
夜中に水が止まらないとき、まず何をしますか
漏れている場所に近い止水栓か、元の止水栓を閉めます。止まったら、漏れた場所の写真を撮り、指定工事店に連絡します。電話の時点で費用の目安を聞きます。
水回りの業者から高い請求を受けないためには
「基本料金〇円〜」だけの広告で選ばず、指定工事店かを確かめます。作業の前に総額を書面で受け取り、追加の作業はその都度金額を聞いてから決めます。施設の契約は、クーリング・オフが使えないことが多い点にも注意します。
メーターが回り続けています
すべての蛇口を閉めてもメーターのパイロットが回っているときは、どこかで漏れています。床下や壁の中の漏れは建物を傷めるため、漏水の調査ができる指定工事店に頼みます。
業務用エアコンの修繕は、どこに頼めばよいですか
機器の中の故障はメーカーの修理窓口、配管や冷媒、複数台の修理は空調の工事業者が主な頼み先です。機器を納めた販売店や、点検を頼んでいるビルの管理の会社が最初の窓口になることもあります。
エアコンの冷媒の補充は、どの業者でもできますか
業務用のエアコンの冷媒の補充や回収は、都道府県に登録した第一種フロン類充塡回収業者に頼む決まりです。頼む前に、業者が登録を持っているかを確かめます。
業務用エアコンの点検は、施設がしなければいけませんか
施設は機器の管理者として、すべての機器の簡易点検を3か月に1回以上行い、一定の大きさ以上の機器は定期点検を受け、記録を残すことが求められます。
エアコンの室内機から水が垂れてきます
冷やすときに出る水を流す管(ドレンの管)の詰まりが多く、空調の業者の受け持ちです。エアコンを止めても水漏れが続くときは、上の階の配管など別の原因も考えて、設備業者や指定工事店に見てもらいます。
水道と空調を、同じ業者に頼めますか
水と空調の両方を扱う設備業者もあります。原因がどちらか分からない水漏れなどは、両方を扱える業者に頼むと1回の調査で済むことがあります。水道の工事を頼むときは、その業者が指定工事店かを確かめます。
夜勤の職員が、修理を頼んでもよいですか
急ぐ場面に備えて、夜勤の職員が頼んでよい金額の上限と、それを超えるときに電話する人を平常時に決めておくと、職員が一人で判断しなくて済みます。
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