トイレが詰まったら、何度も流さず、使用中止の表示をして、ラバーカップで直るかを試します。直らない、複数のトイレで起きている、下の階で逆流している、といったときは、排水管の問題として設備業者に頼みます。水が止まらないときは、止水栓を閉めてから連絡します。
この記事の結論
- 詰まったら、何度も流さない(あふれる)
- ラバーカップで直るのは、便器の近くの詰まりだけ
- 複数のトイレで詰まる、逆流するときは、排水管の問題
- 水が止まらないときは、止水栓を閉めてから連絡する
- おむつ・パッド・おしりふき・手袋を流さない決まりを徹底する
詰まったら、最初にすること
トイレを流したら水位が上がってきた。このとき、もう一度流すと、便器から水があふれます。介護施設では、あふれた汚水の片付けと消毒に、職員の手が長くとられます。詰まりに気づいたら、まず流すのをやめることです。
- 流すのをやめる水位が上がっているときは、それ以上流しません。扉に使用中止の表示をし、入居者の方をほかのトイレに案内します。
- 止水栓を閉めるタンクの水が止まらないとき、あふれそうなときは、便器の横や後ろにある止水栓を閉めます。
- ラバーカップを試す水位が下がるのを少し待ってから、便器の排水口にラバーカップを密着させ、ゆっくり押して勢いよく引く動きをくり返します。
- 流した物を確かめるおむつ、パッド、おしりふき、手袋などを流していないかを、介助した職員に確かめます。
- 直らなければ業者に連絡するラバーカップで直らない、複数のトイレで詰まっている、下の階で逆流している、といったときは、設備業者に連絡します。
入居者の方が使っている途中で詰まったときは、まずご本人の介助を終え、安全な場所に移ってもらってから手当てをします。ご本人が「自分のせいで」と気にされることもあるため、「よくあることなので大丈夫です」と声をかけます。
ラバーカップを使うときは、手袋とエプロンを着け、まわりの床に吸水シートを敷いてから始めます。水がはねることがあるため、作業のあとは床と便器のまわりを消毒し、ラバーカップも洗って乾かします。ラバーカップは、洋式の便器用の形のものを用意しておきます。
詰まりの原因は、流した物にあることが多い
介護施設のトイレの詰まりは、家庭のトイレとは原因が違うことがあります。紙おむつやパッド、おしりふき、使い捨ての手袋など、水に溶けない物が流されてしまうことが多いためです。入居者の方がご自分で流してしまうこともあれば、忙しい中で職員がつい流してしまうこともあります。
| 流した物 | なぜ詰まるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 紙おむつ・尿とりパッド | 水を吸って大きくふくらむ | トイレのそばに専用の捨て場所を置く |
| おしりふき・清拭のタオル | 水に溶けない | 「流せる」と書かれた物も、まとめて流さない |
| 使い捨ての手袋 | ゴムやビニールは溶けない | 介助のあとの捨て場所を決める |
| 大量のトイレットペーパー | 一度に流すと管にたまる | 分けて流す。節水型の便器は特に |
| 入れ歯・眼鏡・小物 | 便器の奥に引っかかる | 介助のときに外して置く場所を決める |
入居者の方がご自分でトイレを使うときは、トイレットペーパー以外の物を流してしまうことがあります。認知症のある方では、パッドや衣類を流してしまうこともあります。責めるのではなく、捨て場所を分かりやすい位置に置く、介助の職員がさりげなく確かめる、といった工夫で防ぎます。
節水型の便器は、1回に流す水の量が少ないため、トイレットペーパーを多く使うと詰まりやすくなることがあります。排泄の量が多いときは、2回に分けて流すよう、介助の手順に入れておくと詰まりが減ります。
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何か所も詰まるなら、排水管の問題
1つのトイレだけが詰まっているなら、原因は便器か、そのすぐ先の配管にあることが多く、ラバーカップで直ることもあります。一方、同じ階の複数のトイレで流れが悪い、下の階のトイレや床の排水口から水が上がってくる、といったときは、建物の中を通る排水管そのものが詰まっている可能性があります。
排水管の詰まりは、急に起きるように見えて、その前にサインが出ていることがあります。流れるまでに時間がかかる、流したときにゴボゴボと音がする、床の排水口からにおいが上がる、といったことです。こうしたサインに気づいたら、詰まる前に業者に見てもらうと、汚水があふれる前に手を打てます。
排水管が詰まっているときは、職員の手では直せません。そのまま使い続けると、いちばん低い場所(1階のトイレや床の排水口)から汚水があふれます。上の階も含めて、その系統のトイレや流しの使用を止め、設備業者に連絡します。業者は、高い圧力の水で管の中を洗い流す方法などで詰まりを取ります。作業のあいだも、その系統の水は使えないため、近くの別の系統のトイレや流しを使う段取りを職員で決めます。
| 場所 | 直し方 | 頼む先 |
|---|---|---|
| 便器の中・すぐ先 | ラバーカップ、便器を外しての除去 | 職員、設備業者 |
| 階ごとの排水管 | 管の中の清掃、高い圧力の水での洗浄 | 設備業者、排水管の清掃業者 |
| 建物の外の排水ます | ますの清掃、詰まりの除去 | 設備業者 |
| 浄化槽・排水ポンプ | 槽の清掃、ポンプの点検 | 浄化槽の管理業者、設備業者 |
水が止まらないときは、止水栓から
流したあと、タンクに水がたまり続ける、便器の中に水がちょろちょろ流れ続ける、といったときは、タンクの中の部品の不具合が考えられます。水の無駄になるだけでなく、水があふれることもあります。まず止水栓を閉め、水を止めてから連絡します。
| 症状 | 考えられること | すること |
|---|---|---|
| タンクに水がたまり続ける | 水を止める部品(ボールタップやフロート)の不具合 | 止水栓を閉める |
| 便器に水が流れ続ける | タンクの底の栓(ゴムの弁)の傷み | 止水栓を閉める |
| レバーが戻らない | レバーや鎖の引っかかり | タンクのふたを開けて、鎖のからまりを見る |
| タンクのない便器で水が止まらない | 業務用の洗浄弁(フラッシュバルブ)の不具合 | 洗浄弁の横の止水栓を閉める |
止水栓は、便器の横の壁や床から出ている給水の管の途中にあります。マイナスのドライバーで回すものや、ハンドルで回すものがあり、右に回すと閉まります。長く動かしていない止水栓は固くなっていることがあるため、平時に一度、職員と業者で回してみて、閉まることを確かめておくと安心です。
タンクのふたを開けて鎖のからまりを直すくらいは、職員でもできます。部品の交換や、洗浄弁の分解は、設備業者に頼みます。温水洗浄便座から水が漏れるときは、止水栓を閉め、電源プラグを抜いてから(手が濡れていないことを確かめて)、メーカーの修理の窓口か設備業者に連絡します。
介護施設のトイレならではの、気をつけること
介護施設のトイレには、手すり、呼出しのボタン、車椅子で入れる広さ、温水洗浄便座など、家庭にはない設備がついています。トイレが使えないとき、修理をするときにも、この設備への配慮が要ります。
使えるトイレが減ると、排泄の介助の順番が回らなくなります。使用中止のトイレがあるときは、近くのトイレへの案内を職員で共有し、ポータブルトイレを用意することも考えます。トイレの中の呼出しボタンが使えるかも確かめてください。呼出しが使えないトイレは、介助の職員が付き添う形にします(ナースコールの修理、代理店以外に頼めるか)。
修理のために業者がトイレに入るときは、入居者の方が誤って入らないよう、扉に表示をし、作業の時間を介助の少ない時間帯に合わせてもらいます。手すりや呼出しボタンを外して作業したときは、作業のあとに元どおりに付いているか、ぐらつきがないかを、職員が自分の手で確かめます。
汚水があふれたときは、拭き取ったあと、次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒まで済ませます。片付けの手順は、水漏れの記事にもまとめています(老人ホームで水漏れ。修理より先にすることがあります)。
どこに頼むか。伝えること
トイレの修理は、設備業者に頼むのが基本です。給水の部分(止水栓から先の配管など)の工事は、水道局の指定を受けた工事店が行います。排水管の清掃は、排水管の清掃を専門にしている業者も頼めます。温水洗浄便座や便器の不具合は、メーカーの修理の窓口でも受け付けています。
| 項目 | 伝える中身 |
|---|---|
| 場所と数 | どの階のどのトイレか。何か所で起きているか |
| 症状 | 詰まり、水が止まらない、逆流、漏れ |
| 施設でしたこと | 止水栓を閉めた、ラバーカップを試した |
| 流した物の見当 | おむつやパッドを流した可能性 |
| 便器の型番 | 便器やタンクの側面・裏の表示の写真 |
急いで探した業者に頼むときは、作業の前に見積をもらい、内容と金額を確かめてから頼みます。小さな修理は数千円から数万円で済むことが多いものの、排水管の高圧洗浄や便器の脱着になると金額が上がります。どこに頼めばよいか分からないときは、写真を窓口にLINEで送っていただければ、見立てと手配をします。
夜間や休日に詰まったとき
夜間や休日にトイレが詰まると、業者がすぐには来られないことがあります。1か所の詰まりなら、使用中止にして、ほかのトイレで朝まで回せることがほとんどです。夜勤の職員がするのは、使用中止の表示、止水栓の操作、ラバーカップを試すこと、そして記録までにしておきます。
一方、複数のトイレで流れが悪い、低い場所から逆流しているときは、朝まで待つと被害が広がります。その系統の水を使わないよう職員に伝え、夜間でも対応できる業者か、窓口に連絡します。当窓口も受付は24時間ですが、深夜のご連絡は翌朝の手配になります。逆流しているときは、夜間に動ける業者を平日のうちに決めておくことが、いちばんの備えです(土日祝に修理を頼める業者は、平日のうちに決めておきます)。
直ったあとに、確かめること
業者が詰まりを取ったあとも、すぐにいつもどおりに使う前に、いくつか確かめます。まず、何度か水を流して、流れが元に戻ったか、水位が上がらないかを見ます。詰まりの原因になった物が何だったかを業者に聞き、記録に残します。
直ったあとに確かめること
- 何度か流して、流れと水位が元に戻ったか
- 便器のまわりや床に水漏れがないか
- 詰まりの原因(何が出てきたか)と、作業の内容と費用
- 汚水があふれた場所の消毒が済んでいるか
- 使用中止の表示を外し、職員に伝えたか
便器を外して詰まりを取ったときは、便器と床の間から水が漏れていないかを、数日のあいだ気にかけてください。床のしみやにおいがあれば、取り付けの具合を業者に見てもらいます。
モデルケース:同じ階で3か所のトイレが流れにくくなった施設
モデルケース:3階建て・定員60名の介護付有料老人ホーム
2階のトイレが続けて流れにくくなった
変わったこと(結果)
朝の排泄の介助の時間に、2階の3か所のトイレで流れが悪くなりました。職員はラバーカップを試しましたが直らず、1階の共用トイレの床の排水口から水が上がってきたため、2階の流しとトイレの使用を止めて、設備業者に連絡しました。業者が排水管を高い圧力の水で洗い流すと、尿とりパッドが何枚も出てきました。昼前には使えるようになりました。
背景と、困っていたこと
この施設では、トイレのそばにパッドの捨て場所がなく、介助の職員が便器に流してしまうことがありました。新しく入った職員には、流してはいけない物が十分に伝わっていませんでした。
その後に決めたこと
施設は、すべてのトイレにふた付きの捨て場所を置き、流してはいけない物の一覧をトイレの中に貼りました。あわせて、排水管の清掃を年に一度、業者に頼むことにしました。
このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。
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施設長・法人への伝え方と、記録
トイレの詰まりは小さな出来事に見えますが、くり返すと修理の費用がかさみ、介助の時間も削られます。何が流されていたか、どこで起きたか、何回目かを記録しておくと、原因の手当てと予算の説明に使えます。
記録に残すこと
- 日時と場所(どの階のどのトイレか)
- 症状(詰まり、水が止まらない、逆流)
- 原因(流した物、部品の不具合)
- 直した方法と、業者に頼んだ場合の費用
- 同じ場所で何回目か
同じ場所でくり返すときは、便器の形、排水管の勾配、流す水の量など、設備そのものに原因があることもあります。浴室やトイレの改修を考える時期なら、まとめて見直すことも検討します(浴室の形式は、入居者の方の体の状態の内訳で選びます)。
詰まりを減らすために、平日のうちにしておくこと
平日のうちにしておくこと
- すべてのトイレのそばに、おむつやパッドの捨て場所を置く
- 流してはいけない物の一覧を、トイレの中と職員の休憩室に貼る
- 各階にラバーカップ、手袋、吸水シート、使用中止の表示を置く
- トイレごとの止水栓の場所と回し方を、職員で確かめる
- 排水管の清掃を、定期的に業者に頼む
- ポータブルトイレの置き場所を決めておく
小さな修理をまとめて頼む方法は小さな修繕は、月1回の巡回で1日7〜10件を直せます、水まわりの依頼先は水道は指定工事店、空調はフロンの登録で、頼む業者を選びますにまとめています。
トイレの不調は、介助の職員がいちばん早く気づきます。流れが遅い、音がする、においがする、といった小さな気づきを、営繕の担当や事務長に上げる流れをつくっておくと、詰まる前に手を打てます。気づきを書き込む紙を各階に置くだけでも、報告は増えます。
新しく入った職員や、応援の職員にも、流してはいけない物を最初に伝えます。トイレの詰まりの多くは、捨て場所と伝え方の工夫で減らせます。一覧には、絵や写真を添えると伝わりやすくなります。
よくある質問
トイレが詰まりました。もう一度流せば直りますか
水位が上がっているときに流すと、便器から水があふれます。流すのをやめ、水位が下がるのを待ってから、ラバーカップを試してください。
ラバーカップで直らないときは、どうすればよいですか
便器の奥や排水管が詰まっている可能性があります。そのトイレの使用を止め、設備業者に連絡します。針金などを差し込むと、便器や管を傷めることがあります。
同じ階の複数のトイレが流れにくいです
建物の排水管が詰まっている可能性があります。その系統のトイレや流しの使用を止め、設備業者に連絡してください。使い続けると、低い場所から汚水があふれます。
トイレのタンクの水が止まりません
まず止水栓を閉めて水を止めます。タンクの中の鎖のからまりなら直せることもありますが、部品の交換は設備業者に頼みます。
おむつを流してしまいました
何度も流さず、そのトイレの使用を止めます。紙おむつは水を吸ってふくらむため、ラバーカップでは取れないことが多く、設備業者に頼むことになります。
温水洗浄便座から水が漏れています
止水栓を閉め、手が濡れていないことを確かめてから電源プラグを抜きます。メーカーの修理の窓口か設備業者に連絡してください。
トイレの修理は、どこに頼めばよいですか
設備業者が基本です。給水の配管の工事は水道局の指定を受けた工事店が、排水管の清掃は清掃を専門にする業者も行います。便器や温水洗浄便座はメーカーの修理の窓口でも受け付けています。
トイレの詰まりの修理には、いくらかかりますか
便器の近くの詰まりや部品の交換なら、数千円から数万円で済むことが多くあります。排水管の高圧洗浄や便器の脱着が要ると、金額が上がります。作業の前に見積をもらってください。
トイレが使えない間、排泄の介助はどうすればよいですか
近くのトイレへの案内を職員で共有し、必要ならポータブルトイレを用意します。トイレの中の呼出しボタンが使えないときは、職員が付き添います。
くわしく:ナースコールの修理、代理店以外に頼めるか
排水管の清掃は、どのくらいの頻度で頼めばよいですか
建物と使い方で変わりますが、詰まりがくり返す施設は、年に一度など定期的に頼むと詰まりが減ります。厨房の排水は、別に清掃の計画を立てます。
何度もトイレが詰まる施設は、改修を考えるべきですか
まず流している物と捨て場所を見直します。それでもくり返すときは、便器の形や排水管の勾配に原因があることもあるため、業者に調べてもらい、改修の時期に合わせて見直します。
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