介護施設の感染症対策の改修は、動線、換気、個室、手洗いの順に考えます。まず、発症した方のいる区域と、ほかの区域を分け、職員と物の通り道が交わらないようにします(ゾーニング)。次に換気です。人の集まる部屋で二酸化炭素の濃度を測り、1000ppmを超えないかを目安に、窓や換気の設備を見直します。3つ目は、発症した方を移せる個室です。4つ目に、区域の境や汚物処理室の近くに手洗いを足します。費用は、都道府県の補助(簡易陰圧装置、ゾーニング、多床室の個室化など)が使える年があります。
この記事の結論
- 感染症対策の改修は、動線・換気・個室・手洗いの順に考える
- 動線は、区域を分け、職員・食事・汚れ物・ごみ・面会の方の通り道が交わらないようにする
- 換気は、二酸化炭素の濃度1000ppm以下を目安に、人の集まる部屋で測って確かめる
- 個室は、発症した方を移せる部屋を、区域の端に平常時から決めておく
- 補助は年度と都道府県で違い、交付の決定の前に着工しない。会計の扱いは工事の中身で分かれる
感染症対策の改修は、動線・換気・個室・手洗いの順に考えます
介護施設の感染症対策の改修は、動線、換気、個室、手洗いの順に考えます。この順にするのは、前のものが後のものの場所を決めるからです。区域の境が決まらないと、着替えの場所も、手洗い器を足す場所も決まりません。
| 課題 | 起きやすいこと | 改修の中身 | 費用の大きさ |
|---|---|---|---|
| 動線(ゾーニング) | 発症した方の区域と、ほかの区域の通り道が交わる | 区域の境に扉や仕切りを付け、着替えの場所をつくる | 仕切りだけなら小さい。扉や前室をつくると中くらい |
| 換気 | 食堂や浴室に空気がこもる。冬に窓を開けられない | 換気扇の能力の見直し、熱を逃がしにくい換気の設備、開けやすい窓 | 換気扇なら小さい。設備を足すと大きい |
| 個室 | 多床室ばかりで、発症した方を移す部屋がない | 区域の端の部屋を移せる部屋にする、多床室の個室化、簡易陰圧装置 | 個室化は大きい |
| 手洗い | 区域の境や汚物処理室の近くに、手洗いがない | 手を触れずに使える水栓の手洗い器を足す | 1か所なら小さい。管の位置で変わる |
改修は、日々の手順を支えるものです。手指の消毒、防護具の着け方と外し方、掃除と消毒の手順が回っていないと、改修だけでは広がりは止まりません。反対に、手順を決めても、着替える場所や手を洗う場所がなければ、手順は守りにくくなります。改修は、手順が守りやすくなる場所から選びます。
最初の1と2は、工事をしなくても決められることが多くあります。平面図に通り道を描き、測る機械で換気を確かめるところまでは、費用をほとんどかけずに進められます。工事が要るのは、そのあとに見えてきた所だけです。
動線は、区域を分けて、通り道が交わらないようにします
動線を分けることを、ゾーニングと呼びます。発症した方のいる区域と、そうでない区域を分け、その境に、防護具を着たり脱いだりする場所を置きます。改修の前に、施設の平面図に、ふだんの通り道を描いてみます。
| 通り道 | 交わると困る所 | 分け方の例 |
|---|---|---|
| 職員 | 区域をまたいで、同じ職員が行き来する | 区域ごとに担当を分け、境で着替える |
| 食事 | 配膳車が、発症した方の部屋の前を通って戻る | 配膳の順番を決め、区域の入口で受け渡す |
| 汚れ物 | 使ったリネンやおむつが、きれいな物と同じ通路を通る | 汚物処理室への通路と、きれいな物の通路を分ける |
| ごみ | ごみの置き場が、食事の通り道の近くにある | 区域ごとに置き場を決め、運ぶ時間を分ける |
| 面会の方 | 外から来た方が、居室の並ぶ廊下を通る | 玄関の近くに面会の場所を設ける |
区域の分け方は、建物の形で変わります。階ごとに分けられる施設もあれば、同じ階の東と西で分けるしかない施設もあります。ユニット型の施設は、ユニットの入口で区切りやすい形です。エレベーターが1基しかない施設は、区域の中の方を乗せる時間と、食事を運ぶ時間を分けます。
境に扉を付ける改修は、避難の経路と防火の決まりに関わることがあります。廊下の途中に扉を付ける前に、設計者と消防に確かめます。食堂の席の配置と配膳の動線の考え方は食堂の改修は、配膳・車椅子・見守りの3つの動線から描きますで書いています。
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換気は、人の集まる部屋から見直します
換気の目安は、国の資料に数字で示されています。必要な換気の量は、1人あたり毎時30㎥です。二酸化炭素の濃度は、1000ppm以下が目安です。冬は、室温18℃以上・湿度40%以上を保てる範囲で換気することが示されています。
| 目安 | 数字 | 使い方 |
|---|---|---|
| 必要な換気の量 | 1人あたり毎時30㎥ | 部屋にいる人数から、要る換気の量を出す |
| 二酸化炭素の濃度 | 1000ppm以下 | 測って、超える時間帯がないかを見る |
| 冬の室温と湿度 | 18℃以上・40%以上 | 換気するときも、この範囲を保つ |
| 冬の窓開け | 一方向の窓を常に開けて、続けて換気する | 暖房と組み合わせて、室温を保つ |
見直す順番は、人の集まる部屋からです。食堂、機能訓練の部屋、ユニットの共同生活室は、同じ時間に人が集まり、二酸化炭素の濃度が上がりやすい部屋です。浴室と脱衣所は湿気が、汚物処理室とトイレはにおいがこもりやすく、換気扇が止まると困る場所です。
エアコンは、多くの場合、部屋の空気を冷やしたり暖めたりして回すだけで、外の空気とは入れ替えません。換気は、換気扇や換気の設備、窓開けで別に考えます。空調の方式ごとの違いは空調の中央方式と個別方式は、止まる範囲と温度の合わせ方が違いますにまとめています。換気扇が止まったときに確かめる順番は換気扇が止まった。まず厨房のガスと、水まわりの湿気を見ますで書いています。
換気が足りているかは、二酸化炭素の濃度で確かめます
換気が足りているかは、目では分かりません。人の吐く息に含まれる二酸化炭素の濃度を測ると、空気の入れ替わり方の見当がつきます。測る機械は、赤外線で測る方式(NDIR)の物が、国の資料で扱いやすい物として示されています。
| 決めること | 中身 |
|---|---|
| 測る機械 | 赤外線で測る方式(NDIR)の物 |
| 置く場所 | 人の顔の高さ。窓や出入口、人の吐く息が直接当たる所から離す |
| 測る部屋 | 食堂、機能訓練の部屋、共同生活室、窓の少ない部屋 |
| 測る時間 | 食事や集まりの前後など、人が多い時間帯 |
| 記録 | 時刻・人数・窓と換気扇の状態を、数値と一緒に書く |
| 続ける期間 | 季節ごとに1〜2週間。窓を閉めがちな冬は、とくに測る |
数値が1000ppmを超えたら、まず使い方で下げられるかを試します。窓を一方向に開ける、換気扇を止めない、食事の時間を2回に分けて人数を減らす、などです。それでも超え続けるなら、換気の設備の量が足りない見込みがあります。業者に、換気扇やダクトの風の量を測ってもらいます。
測るときの注意もあります。石油ストーブのように部屋の中で燃やす暖房は、それだけで二酸化炭素の濃度を上げます。また、二酸化炭素の濃度は換気の目安で、感染の起きやすさそのものを示す数字ではありません。手順と組み合わせて使います。
換気が足りないときは、使い方・手入れ・設備の順に手を打ちます
換気が足りないと分かったら、費用の小さい手から順に試します。使い方で足りれば、工事は要りません。工事が要るのは、使い方と手入れで下がらなかった部屋だけです。
| 段階 | 中身 | 費用と期間 |
|---|---|---|
| 使い方 | 窓を一方向に常に開ける、換気扇を止めない、人数と時間を分ける | 費用はかからない。すぐできる |
| 手入れと小さな工事 | 換気扇とフィルターの掃除、換気扇の交換、開けやすい窓にする | 小さい。数日で済むことが多い |
| 設備の改修 | 熱を逃がしにくい換気の設備を足す、換気の量を上げる、空調と一緒に更新する | 大きい。設計と工事で数か月 |
熱を逃がしにくい換気の設備は、出ていく空気の熱を、入ってくる空気に移してから入れる仕組みです。冬に窓を開けると寒くなる部屋でも、室温を保ちながら外の空気を入れられます。食堂のように、人が多く窓を開けにくい部屋に向いています。
窓を開けて換気するときは、転落と、入居者の方がひとりで外へ出ることにも気をつけます。窓の開く幅を決まった所で止める金具を付けると、換気と安全を両立できます。窓のまわりの不具合と、転落を防ぐ手当ては窓が閉まらない・ガラスが割れた。転落と外へ出る心配を先にで書いています。
発症した方を移せる個室を、区域の端に用意します
3つ目は個室です。発症した方を、ほかの方と分けて過ごせる部屋があると、区域を小さく保てます。全室が個室の施設でも、区域の端にある部屋を「移せる部屋」として平常時から決めておくと、分けるまでの時間が短くなります。
| 方法 | 中身 | 向いている施設 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 移せる部屋を決めておく | 工事をせず、区域の端の部屋を移せる部屋に決める | 個室が多い施設 | 移す順番と、部屋を空ける手順 |
| 多床室を個室にする | 壁で仕切り、1室ごとに出入口をつくる | 4人部屋が中心の施設 | 1室ごとの面積と定員、窓と換気 |
| 前室を設ける | 部屋の入口の前に、着替えのための小さな場所をつくる | 移せる部屋が決まった施設 | 廊下の幅と、避難の経路 |
| 簡易陰圧装置を置く | 部屋の空気を外へ出し、廊下より低い圧に保つ | 移せる部屋が決まった施設 | 排気の出口の位置と、運転の音 |
多床室を個室にする改修は、1室ごとに居室の面積と定員の基準を満たすかが前提です。施設の種類ごとの面積はバリアフリー改修は、介護保険・バリアフリー法・建築基準法で決まりますにまとめています。工事中の居室の回し方を含めた段階的な進め方は多床室の改修は、空ける居室の数で工事の区切りが決まりますで書いています。
簡易陰圧装置は、部屋の空気を、窓や壁に設けた排気の口から外へ出し、部屋の中の空気が廊下に流れ出にくくする装置です。排気を出す先に、人の通る所や、ほかの部屋の窓がないかを確かめます。置く部屋を先に決めておくと、窓の加工などの工事が1回で済みます。
手洗いは、区域の境と汚物処理室の近くに足します
4つ目が手洗いです。手洗い器は、数よりも場所で効き方が変わります。区域の境、汚物処理室、食堂の前のように、手を洗う「区切りの場所」に置くと、手順の中で自然に洗えるようになります。
| 場所 | 足す理由 | 選ぶもの |
|---|---|---|
| 区域の境 | 区域を出る前と入る前に洗う | 手を触れずに使える水栓。着替えの場所の近く |
| 汚物処理室 | おむつや汚れ物を扱ったあとに洗う | 深めの手洗い器。水がはねにくい形 |
| 食堂の前 | 食事の前に、入居者の方と職員が洗う | 車いすで使える高さと、ひざが入る形 |
| 玄関 | 面会の方や業者が入る前に洗う | 管が引けないときは、消毒剤の台 |
| 職員の休憩室の前 | 休憩と食事の前に洗う | 手を触れずに使える水栓 |
手を触れずに使える水栓には、手をかざすと水が出る形や、足や肘で操作する形があります。洗ったあとの手で蛇口に触れずに済むのが利点です。あわせて、液体の石けんと紙のタオルを置く場所も、壁に取り付けておきます。
費用を左右するのは、給水と排水の管の位置です。今ある洗面やトイレの近くに足すと、管を延ばす距離が短く、工事は小さく済みます。管の通らない場所に置くなら、壁や床を開ける工事が加わります。
面会の場所は、居室の区域と分けて設けます
流行の時期に面会を止めると、入居者の方とご家族の負担が大きくなります。居室の並ぶ廊下を通らずに面会できる場所があると、流行の時期も面会を続けやすくなります。
面会の場所は、玄関の近くで、窓を開けて換気できる部屋が向いています。ガラス越しに話せる仕切りや、外から直接入れる出入口を設ける施設もあります。画面越しの面会のためには、その部屋まで無線のネットワークを届かせます。見守りの機器や無線のネットワークの工事と補助の関係はWi-Fiの工事は機器と一緒に申請し、天井を開ける時期に合わせますにまとめています。
改修工事のあいだの感染対策も、段取りに入れます
感染症対策の改修そのものが、外から人が入り、粉じんが出る工事です。工事のあいだに感染症を持ち込んだり、広げたりしないよう、工事の前に段取りを決めておきます。
| 決めること | 中身 |
|---|---|
| 時期 | 流行しやすい冬を避け、夏から秋に工事を寄せる |
| 業者の入り方 | 入る場所と通る廊下を決め、居室の区域を通らない |
| 体調の確かめ | 作業する人の体調と、熱がないかを毎朝確かめる |
| 粉じんと養生 | 工事の場所を仕切り、粉じんが廊下や空調に入らないようにする |
| 手洗いと消毒 | 作業の前後に手を洗う場所を決め、消毒剤を置く |
| 流行が出たとき | 工事を止めるか続けるかを、誰が決めるか |
粉じんは、入居者の方ののどや目の負担にもなります。工事の場所を仕切る方法と、音と粉じんを減らす工法は騒音と粉じんは、時間帯だけでなく工法と区画でも減らせますにまとめています。施設で流行が出たときに工事をどうするかは、契約の前に業者と決めておくと、止めた日の費用でもめにくくなります。
モデルケース:冬の流行で、動線が交わった介護付有料老人ホーム
モデルケース:定員50名の介護付有料老人ホーム(3階建て・全室個室)
区域を分けるまでの時間が、半日ほどから1時間ほどに
変わったこと(結果)
次の冬に発症した方が出たとき、2階の東側を区域として分けるまでの時間が、前の冬の半日ほどから1時間ほどに縮みました。食堂の二酸化炭素の濃度が1000ppmを超える時間も、昼食の時間帯の2時間ほどから20分ほどに減りました。
背景と、困っていたこと
全室が個室でしたが、エレベーターは1基、食堂は1階の1か所でした。前の冬、2階で発症した方が続いたときは、どこで区域を分け、どこで着替えるかが決まっていませんでした。職員は、廊下の途中で着替えていました。配膳車は、発症した方の部屋の前を通って戻っていました。食堂には換気扇がありましたが、冬は寒さで窓を閉め切っていました。
決めたこと
施設長と看護職員、事務長で、平面図に5つの通り道を色分けして描きました。各階の東側と西側の境に引き戸を付け、境の手前に着替えの場所と、手を触れずに使える手洗い器を設けました。配膳は、区域の入口で受け渡す順番にしました。食堂では二酸化炭素の濃度を2週間測り、昼食どきに1000ppmを超えると分かったため、熱を逃がしにくい換気の設備を足しました。
迷ったのは、廊下に引き戸を付けると、ふだんの見守りの見通しが悪くなることでした。決め手は、ガラスの入った引き戸にして、ふだんは開けておき、区域を分けるときだけ閉める使い方にできたことです。扉を付ける前に、避難の経路と防火の決まりも、設計者と消防に確かめました。
進めてみて分かったこと
改修より先に、平面図に通り道を描いたことで、工事の場所が絞れました。手洗い器を足す場所も、境の位置が決まってから決めたため、無駄な工事がありませんでした。
このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。
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補助と会計の扱いは、発注の前に確かめます
感染症対策の改修には、都道府県の補助が使える年があります。都道府県が、国の基金(地域医療介護総合確保基金)を使って行う補助です。たとえば大阪府の令和8年度の要綱には、次のようなメニューがあります。
| メニュー | 中身 |
|---|---|
| 簡易陰圧装置の設置 | 部屋の空気を外へ出し、廊下より低い圧に保つ装置を置く |
| ユニットの玄関室の設置 | ユニットの入口に、区域を分けるための小さな部屋を設ける |
| 従来型の個室や多床室のゾーニング | 居室の区域を、壁や扉で分ける |
| 家族面会室の整備 | ご家族と面会する部屋を設ける |
| 多床室の個室化 | 多床室を壁で仕切って、個室にする |
上限の額は、メニューごとに、1か所あたりや1床あたりなどの単位で決まっています。対象の施設、募集の時期、上限は、年度と都道府県で違います。交付の決定の前に契約や着工をすると、対象になりません。基金の補助の仕組みは基金で大規模修繕の補助を受けるには、まず創設の条件を確かめますで書いています。来年度(令和9年度)に使うなら、今年の秋から準備を始めます。準備の順番は令和9年度の修繕の補助は、まず県の調査が済んだかを確かめますにまとめています。
会計の扱いは、工事の中身で分かれます。壊れた換気扇を同じ能力の物に替える工事は、修繕費になることが多くあります。換気の量を増やす設備や、個室をつくる間仕切りは、資本的支出になることが多くあります。判定するのは法人の経理と会計の専門家なので、見積を工事の中身ごとに分けてもらいます。区分の目安と見積の準備は修繕費か資本的支出かは、見積の分け方で判断しやすくなりますにまとめています。
流行の季節の前に、平常時にしておくこと
平常時にしておくこと
- 平面図に、職員・食事・汚れ物・ごみ・面会の方の通り道を描いておく
- 区域を分ける境と、着替えの場所を階ごとに決めておく
- 食堂などで二酸化炭素の濃度を測り、季節ごとに記録する
- 発症した方を移す部屋と、移す順番を決めておく
- 都道府県の補助の募集の時期を調べ、改修の候補を一覧にする
境の位置と移す部屋が決まっていれば、改修をしなくても、分けるまでの時間は短くなります。
改修をどこから始めればよいか知りたい、換気の量を業者に測ってもらいたい、というときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。平面図と、気になっている部屋の写真をお送りいただければ、改修の候補と見積を頼む先をお返しします。感染対策の手順そのものは、施設の看護職員や、地域の保健所などの助言をもとに決めます。相談と見積は無料で、お断りいただいてもかまいません。
よくある質問
介護施設の感染症対策の改修は、何から手を付ければよいですか
動線、換気、個室、手洗いの順に考えます。まず、発症した方のいる区域とほかの区域の通り道を分け、そのうえで換気を確かめ、移せる個室と手洗いの場所を決めます。手洗いの場所は、区域の境が決まってから決めると、無駄な工事が出ません。
ゾーニングとは、何をすることですか
発症した方のいる区域と、そうでない区域を分け、職員と物の通り道が交わらないようにすることです。区域の境には、防護具を着たり脱いだりする場所を設けます。平面図に、職員・食事・汚れ物・ごみ・面会の方の通り道を描いてから決めます。
施設の換気の目安になる、二酸化炭素の濃度はいくつですか
1000ppm以下が目安です。建物の衛生の基準でも使われている数字で、国の換気の資料でも、この値を超えないように換気することが示されています。
二酸化炭素を測る機械は、どんな物を選べばよいですか
赤外線で測る方式(NDIR)の物を選びます。人の顔の高さで、窓や出入口、人の吐く息が直接当たる所から離して置き、時刻と人数を一緒に記録します。
食堂の二酸化炭素の濃度が1000ppmを超えます。どうすればよいですか
まず、窓を一方向に開ける、換気扇を掃除する、食事の時間を分けて人数を減らす、を試します。それでも超え続けるなら、換気の設備の量が足りない見込みがあるため、業者に換気の量を測ってもらいます。
エアコンをつけていれば、換気もできていますか
多くのエアコンは、部屋の空気を冷やしたり暖めたりして回すだけで、外の空気とは入れ替えません。換気は、換気扇や換気の設備、窓開けで別に行います。
冬に換気すると寒くなります。改修で何ができますか
熱を逃がしにくい換気の設備を足すと、室温を保ちながら外の空気を入れられます。窓を開けるときは、室温18℃以上・湿度40%以上を保てる範囲で、一方向の窓を常に開けておく方法が国の資料で示されています。
多床室しかない施設で、発症した方をどこに移せばよいですか
区域の端の部屋を、移す部屋として平常時から決めておきます。改修できるなら、多床室の一部を個室にしたり、部屋の入口に着替えの場所(前室)を設けたりします。都道府県の補助に、多床室の個室化や簡易陰圧装置が入っている年もあります。
簡易陰圧装置とは、どんな物ですか
部屋の空気を外へ出して、部屋の中を廊下より低い圧に保つ装置です。部屋の空気が廊下に流れ出にくくなります。排気を出す先と運転の音を、置く前に業者と確かめます。
手洗い器は、どこに足せばよいですか
区域の境、汚物処理室、食堂の前、職員の休憩室の前が候補です。手を触れずに使える水栓にすると、洗ったあとの手で蛇口に触れずに済みます。給水と排水の管が近い場所ほど、工事は小さく済みます。
感染症対策の改修に、補助金は使えますか
使える年があります。都道府県が国の基金を使い、簡易陰圧装置の設置、ゾーニング、家族面会室、多床室の個室化などを補助している例があります。募集の時期と条件は年度と都道府県で違い、交付の決定の前に契約や着工をすると対象になりません。
感染症対策の改修費は、修繕費として扱えますか
工事の中身で分かれます。同じ能力の換気扇への交換は修繕費、換気の量を増やす設備や個室をつくる間仕切りは資本的支出になることが多くあります。判定は法人の経理と会計の専門家が行うため、見積を工事の中身ごとに分けてもらいます。
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