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費用の目安

ナースコールの更新費用は、
配線を使えるかで大きく変わります

ナースコールは、24時間止められない設備です。更新の見積を取ると、機器の代金のほかに、配線、仮の呼び出し、夜間の作業といった行が並び、どこまでが妥当なのか分かりにくくなります。この記事では、費用を決める3つの要素と見積の読み方、止めずに切り替える3つの方法、更新の時期と積立の計算を、上に説明できる形で整理します。

構成:介護施設 修繕の窓口監修:鈴木貴行(介護施設営繕・修繕専門家)更新:読む時間:約19分

この記事が答える質問介護施設のナースコールの更新費用は、何で決まる?見積が妥当かはどう見分ける?

ナースコールの更新費用は、回線の数、今の配線を使えるか、機能の3つで決まります。回線は居室・トイレ・浴室などの呼び出しの数、機能は有線か無線か、スマートフォンや見守り機器とつなぐかです。いちばん差が出るのは配線です。使えれば機器の入替が中心になり、使えなければ天井や壁を開ける工事が加わります。止められない設備なので、仮の呼び出しや夜間の作業の費用も入ります。入居者がいる中の工事では、仮設・養生・時間帯の割増が総額の2割〜4割になることがあります。見積は総額を回線の数で割り、1回線あたりの額と、行ごとの中身で比べます。

この記事の結論

  1. 費用は、回線の数・配線を使えるか・機能の3つで決まる
  2. 配線を使い回せるかで、工事の中身と日数が大きく変わる
  3. 切り替えは一斉・フロアごと・並行運用の3つ。止まる時間と費用が入れ替わる
  4. 見積は1回線あたりの額と、仮設・割増・撤去の行で比べる
  5. 更新の時期は部品・故障・使い方で決め、積立は見込み額から逆算する

ナースコールの更新費用は、回線の数・配線・機能で決まります

ナースコールの更新費用は、3つの要素で決まります。呼び出しの回線の数、今の配線を使えるか、どんな機能にするか、です。同じ定員の施設でも、この3つが違えば、見積の総額は大きく変わります。

回線の数は、床の数と同じではありません。居室のベッドのほかに、トイレ、浴室、脱衣室、食堂や機能訓練室など、呼び出しのボタンがある場所の数を足します。多床室の多い従来型と、トイレ付きの個室が並ぶユニット型でも、数え方が変わります。

費用を決める3つの要素
要素費用が増える方向見積で見る行
回線の数居室・トイレ・浴室・共用部の呼び出しが多いほど増える子機、廊下灯、配線の長さ
配線を使えるか方式が変わる・傷んでいる・回線を足すと、引き直しになる配線と配管、天井や壁の開け閉めと補修
機能無線・スマートフォン連携・見守り機器との連携を足すほど増える無線の中継の機器、端末、設定と連携の調整
3つの要素に、止めずに切り替えるための費用が加わる。ナースコールの費用を決めるもの回線の数(呼び出しの場所)配線を使えるか(方式と傷み)機能(無線・スマホ・見守り)切り替えの方法(止める時間と回数)
図1 3つの要素に、止めずに切り替えるための費用が加わる。

この3つに、止めずに切り替えるための費用が加わります。仮の呼び出しの機器、見回りを厚くする人手、夜間や休日の作業の割増です。入居者がいる中の工事では、仮設・養生・時間帯の割増が、総額の2割〜4割になることがあります。こうした費用の中身と相場は仮設・養生・割増の割合は、施設が渡す条件で変わりますにまとめています。

総額は、施設の規模と条件で大きく変わります。概算は、メーカーや代理店に、回線の数、配線を使うかどうか、ほしい機能の3つを伝えると出してもらえます。見積が届いたら、総額を回線の数で割って、1回線あたりの額にそろえます。規模の違う見積や、前回の工事とも比べやすくなります。

見積は、機器・配線・切り替えの3つの塊で読みます

ナースコールの見積は、行の数が多く、名前もメーカーごとに違います。機器、配線と工事、切り替えと撤去の3つの塊に分けて読むと、抜けや重なりを見つけやすくなります。

ナースコールの更新の見積の内訳
行中身確かめること
親機・主装置詰所の表示の機器と、全体を動かす装置設置する詰所の数と合っているか
子機居室のベッド、トイレ、浴室、脱衣室の呼び出し台数が数えた回線の数と合っているか
廊下灯・表示盤呼んでいる部屋を廊下や詰所で示す表示居室の入口の数と合っているか
職員の受け手PHS・スマートフォン・受信機と充電台台数が勤務の人数と合っているか
配線・配管使い回す配線と、引き直す配線引き直す範囲が図面で示されているか
無線の中継の機器電波を届けるための機器と電源の工事電波の届き方を調べたうえでの台数か
設定と連携の調整呼び出しの割り振り、見守り機器などとの連携連携先の会社の作業が別にあるか
切り替えの費用仮の呼び出しの機器、夜間・休日の割増止める時間と回数の前提が書かれているか
撤去・試験・諸経費古い機器の撤去と処分、全室の試験と記録試験の記録を部屋ごとに渡してもらえるか

公的な予算の例でも、行の分け方は同じです。鳥取県の県立病院の病棟の更新では、親機6台、子機300台、廊下灯131台、主装置、PHSの子機19台が並んでいました。そこに、工事中の対応としての無線のナースコールと、配線の工事が加わります。平成21年度の予算で、6,605万5千円です。

病院の例なので、機能も年も介護施設とは違います。それでも、工事中の仮の呼び出しが1つの行として組まれている点は、介護施設の更新でも同じです。見積にこの行がないときは、切り替えの日の呼び出しを誰がどう受けるのかを、業者に聞きます。

1社だけの見積でも、行ごとに分けてもらい、回線の数で割り戻せば、妥当かの見当がつきます。その方法は「一式」を分けてもらえば、1社の見積でも判断できますにあります。

相談・見積は無料|お断り可・理由は不要

配線を使い回せるかが、費用の分かれ目です

費用の差がいちばん大きく出るのは、配線です。今の配線を使えれば、工事は機器の入替が中心になり、居室の天井や壁を開ける作業が減ります。使えなければ、廊下と居室の天井の中に新しい配線を通す工事になり、日数も費用も増えます。

配線を使い回せる場合と、できない場合
条件使い回せることが多い引き直しになることが多い
機器の方式同じ方式の後継の機種にするメーカーや方式を変える
配線の傷み絶縁を測って問題がない傷みや、水に濡れた跡がある
回線の数今と同じ数で足りる居室を分ける、トイレや浴室の呼び出しを足す
つなぐものナースコールだけ見守り機器やセンサーを有線でつなぐ
配線を使えるかで、工事の中身と日数が変わる。配線を使えるかで、工事が変わる使い回せるとき引き直すとき機器の入替が中心居室の工事は短い止める時間を短くできる天井や壁を開ける居室ごとに作業が要る並行運用で替えやすい配線の図面と、傷みの確かめが最初の一歩
図2 配線を使えるかで、工事の中身と日数が変わる。

使い回せるかは、図面と現地の両方で確かめます。竣工図や配線の図面で方式と経路を見て、業者に配線の絶縁を測ってもらいます。1室だけ新しい機器をつないで試してもらうと、確かさが増します。

自治体の更新工事の仕様書にも、居室の中の配線と、制御の機器から廊下灯までの幹線は流用してよい、と書いた例があります(高知市)。配線を使い回す前提で見積を取るときは、使い回す範囲と、使えなかったときの扱いを、見積の条件に書いてもらいます。

メーカーを替えると、配線を使えないことが多くなります。今のメーカーの後継の機種と、ほかのメーカーの機種の両方で見積を取ると、配線の費用の差が見えます。ナースコールのような介護の専用の機器は、メーカーや代理店が工事の中心になります。分野ごとの頼み先の見分け方は設備修理に強い業者は、分野ごとに別の会社ですにまとめています。

無線・スマートフォン・見守り機器とつなぐと、増える行があります

機能を足すと、見積に行が増えます。何のための行かを分けて見ると、本当に要る機能か、あとから足せる機能かを判断しやすくなります。

機能ごとに増える行と、確かめること
機能増える行確かめること
無線の子機無線の中継の機器と電源の工事、電池の交換鉄筋の壁で、電波が届きにくい場所がないか
スマートフォンで受ける施設の中の無線の通信の工事、端末、充電台端末の台数と、勤務の人数が合っているか
見守り機器との連携連携の機器、設定と調整連携先のメーカーとの作業の分け方
記録のシステムとの連携連携の設定、月ごとの利用料月ごとの費用が、何年続くか

無線にすると、居室の中の配線は減ります。ただ、電波を届けるための中継の機器と、その電源の工事が要ります。鉄筋の壁や防火の扉が多い建物では、電波の届き方を先に調べてもらいます。

スマートフォンで受ける形にすると、職員はどこにいても呼び出しを受けられます。いっぽうで、施設の中の無線の通信の工事、端末の代金、月ごとの利用料が加わります。端末は、数年ごとの入替も見込んでおきます。

見守り機器や通信の工事には、介護テクノロジーの導入の補助が使える場合があります。対象になる条件と募集の時期はWi-Fiの工事は機器と一緒に申請し、天井を開ける時期に合わせますにまとめています。補助を使うときは、交付が決まる前に契約しないように、更新の時期を募集に合わせます。

切り替えの方法は、一斉・フロアごと・並行運用の3つです

ナースコールは止められない設備なので、古いものから新しいものへの切り替えの方法を、先に決めます。方法は3つあり、止まる時間と、費用・工期が入れ替わる関係にあります。

切り替えの3つの方法
方法中身向いている場合気をつけること
一斉全館を1日で切り替える配線を使い回す。規模が小さい止まる範囲が全館。仮の呼び出しを全室分そろえる
フロアごと階や系統ごとに順に切り替える規模が大きい。フロアごとに勤務が分かれる新旧の親機が並ぶ期間がある。受け手の取り違えに気をつける
並行運用新しい配線と機器を先に付け、古いものを動かしたまま試す配線を引き直す。止まる時間を最も短くしたい二重に動かす期間の費用。古い配線を外す日も計画する
配線を使い回すかどうかで、選べる切り替え方が変わる。切り替えの方法の選び方今の配線を使い回すか使い回す一斉か、フロアごと(規模と勤務で選ぶ)引き直す並行運用(止まる時間を最短に)
図3 配線を使い回すかどうかで、選べる切り替え方が変わる。

一斉の切り替えは、工期が短く、費用も抑えやすい方法です。ただ、うまく動かなかったときの影響が全館に及びます。切り替えの日は、手元の呼び鈴や無線の呼び出し機を全室に配り、職員を増やして見回ります。

フロアごとの切り替えは、止まる範囲を1フロアに絞れます。そのかわり、新旧の親機が並ぶ期間ができます。どのフロアがどちらの親機につながっているかを、詰所に大きく貼り出します。職員が持つ受け手も、新旧で色を分けると取り違えが減ります。

並行運用は、新しい配線と機器を先に取り付け、古いナースコールを動かしたまま試験します。切り替えはつなぎ替えだけなので、止まる時間を最も短くできます。二重に動かす期間と、古い配線を外す日の作業の分、費用は上がります。

止めずに替える段取りが、費用の中に入っています

切り替えの日の段取りは、見積の行にも、職員の勤務にも表れます。どこまでを業者に頼み、どこからを施設がするかを、先に分けておきます。

止める時間と範囲を先に決め、見回りと仮の呼び出しで埋める。切り替えの日までの段取り1. 止まる時間と範囲を決める(1回あたり何時間か)2. 仮の呼び出しを全室分そろえる3. 見回りの間隔と人数を決める4. 入居者の方とご家族に知らせる5. 切り替え後に全室で試験する
図4 止める時間と範囲を先に決め、見回りと仮の呼び出しで埋める。
  1. 切り替えの前(業者)止まる時間と範囲を示し、仮の呼び出しの機器を用意します。
  2. 切り替えの前(施設)勤務表を調整し、見回りの担当と間隔を決めます。
  3. 切り替えの最中(業者)つなぎ替え、親機の設定、試験をします。
  4. 切り替えの最中(施設)見回りと、入居者の方への声かけをします。
  5. 切り替えの後(業者)全室の試験の記録を渡し、使い方を説明します。
  6. 切り替えの後(施設)職員に使い方を伝え、不具合を受け付けます。

切り替えは、入居者の方の生活の時間を避けて組みます。夜間は呼び出しが多い時間帯がある施設もあるので、入浴や食事のない昼の時間に切り替える施設もあります。呼び出しの少ない時間は、今の親機の呼び出しの記録で確かめられることがあります。

使えない間の見回りと、代わりの呼び出しの考え方は、故障したときと同じです。止まったときの手当てはナースコールの修理、代理店以外に頼めるかにまとめています。

更新の時期は、部品・故障・使い方の変化で決めます

ナースコールの更新の時期は、年数だけでは決まりません。部品が手に入るか、故障がどれくらい起きているか、施設の使い方が変わるか、で決めます。

更新を考えはじめるサイン
サイン中身すること
部品メーカーから、部品の供給の終わりの知らせが来た終わる時期から逆算して、見積と予算を組む
故障同じ系統の故障が年に何度も起きる。止まる範囲が広がる修理の記録を並べ、修理と更新の費用を比べる
使い方居室を分ける、ユニット化する、見守り機器を入れる回線の数と機能を決め直す
受け手の端末PHSや受信機の電池・端末が手に入りにくい受け手だけ替えられるかを、メーカーに聞く

会計では、建物に組み込んだナースコールを建物附属設備の電気設備として扱う場合、法定耐用年数は15年です。ただ、これは会計の年数で、実際に使える年数とは別のものです。どの区分にするかは、税理士や会計の担当と確かめます。設備ごとの3種類の年数の並べ方は設備の年数は、3種類を並べてから更新の時期を決めますにあります。

更新の検討は、部品の供給が終わる時期の3年ほど前から始めると、見積、予算、積立の不足を埋める時間が取れます。空調や天井の改修と同じ時期に重ねると、天井を開ける機会をまとめられ、配線を引き直す手間が減ります。

積立は、3つの方法で計算できます

止められない設備の更新は、急に予算を組むのが難しい工事です。積立の額は、次の3つの方法で計算できます。どの方法でも、まず「次の更新にいくらかかりそうか」の見込みを持つことから始めます。

積立の計算の3つの方法
方法計算向いている場合弱いところ
①前回の額から前回の取得額 ÷ 法定耐用年数見積がまだない段階値上がりや機能の追加で足りなくなる
②見込み額から逆算次の更新の見込み額 ÷ 更新までの年数概算の見積がある見込み額を数年ごとに見直す手間がある
③計画の中でならす長期修繕計画の更新費の合計 ÷ 計画の年数ほかの設備と更新の年が重なる計画を作っていないと使えない
同じ設備でも、計算の方法で毎年の額が変わる。積立の計算の例(仮の数字)①前回500万円 ÷ 15年= 1年に33万円ほど②見込み600万円 ÷ 残り8年= 1年に75万円③30年分の更新費の合計 ÷ 30年(ほかの設備とならす)
図5 同じ設備でも、計算の方法で毎年の額が変わる。

例を仮の数字で見てみます。前回の取得額が500万円で、法定耐用年数の15年で割ると、1年に33万円ほどです。ところが、次の更新の見込み額が600万円で、更新まで残り8年なら、1年に75万円が要ります。①だけでは、値上がりや機能の追加の分が足りなくなります。

毎年の額は、床の数と月の数で割ると、本部や理事会に説明しやすくなります。1年に75万円なら、定員50名の施設で、1床あたり1か月1,250円です。

③の方法では、ナースコールだけでなく、空調や給湯、昇降機などの更新費を30年分並べ、合計を年数で割ります。更新の年が重なる山をならせるので、ある年だけ予算が足りない、ということが起きにくくなります。長期修繕計画の作り方は長期修繕計画は、30年・5年・単年の3つで持ちますにまとめています。積立金の会計の扱いは修繕の予算は、前の年の秋から3つの区分で組みますにあります。

金額によって、見積の取り方と業者の条件が変わります

ナースコールの更新は、金額によって、見積の取り方や業者の条件が変わります。概算の段階で、どの線を超えそうかを確かめておきます。

金額の線と、変わること
金額の線変わること
400万円(社会福祉法人の見積合わせ)工事の請負なら、令和8年4月から400万円以下は2社の見積合わせで足り、超えると3社以上(令和8年3月までは250万円)
500万円(建設業の許可)1件の請負代金が500万円以上なら、その業種の建設業の許可が要る
20万円・60万円(修繕費の目安)20万円未満やおおむね3年以内の周期の修理は修繕費。区分が分かりにくいときは60万円未満か取得価額のおおむね10%以下が目安。設備をまるごと替える更新は、資本的支出になることが多い

社会福祉法人は、工事の請負として契約する場合、令和8年4月から、400万円以下なら2社の見積合わせで足ります。超えると3社以上です。機器の購入として契約する場合は線が違うので、法人の経理規程で確かめます。相見積の数の考え方は社会福祉法人の相見積は、400万円を境に2社と3社に分かれますにあります。

会計では、ナースコールの更新は、修繕費ではなく資本的支出として扱われることが多い工事です。見積を、機器・配線・撤去などの行に分けてもらうと、経理の判断がしやすくなります。区分の準備の仕方は修繕費か資本的支出かは、見積の分け方で判断しやすくなりますにまとめています。

稟議には、「更新しない場合の費用」も並べます。故障したときの臨時の修理費、止まった間の見回りの人手、部品がないために長く止まるおそれ、の3つです。稟議の書き方は修繕の稟議書は、承認者の4つの問いに答えて書きますにあります。

モデルケース:部品の供給が終わる老健の、フロアごとの更新

モデルケース:定員100名の介護老人保健施設(4階建て)

止めた時間は1フロア3時間。4回で全館が新しくなった

変わったこと(結果)

ナースコールの更新を、フロアごとに4回に分けて切り替えました。1回に止めたのは3時間で、その間の呼び出しは、無線の呼び出し機20台と見回りで受けました。3社の見積を1回線あたりの額にそろえて比べ、差がどの行から来ているかを、理事会に1枚の表で説明できました。

背景と、困っていたこと

この施設のナースコールは設置から16年がたち、メーカーから部品の供給の終わりの知らせが届いていました。事務長は、全館を一度に止めることに不安があり、見積の依頼を1年ほど先延ばしにしていました。4階だけは以前の改修で居室を分けていて、回線の数が図面と合っていませんでした。

決めたこと

事務長は、まず業者に配線の絶縁を測ってもらいました。1〜3階は配線を使い回せると分かり、4階だけ配線を引き直すことにしました。切り替えは入浴と食事のない午後に、1フロアずつ4週に分けました。新旧の親機が並ぶ間は、詰所に「どの階がどちらの親機か」を貼り出し、受け手の端末の色を分けました。

進めてみて分かったこと

回線の数は、図面より、現地で数えた数のほうが12多くありました。トイレの呼び出しを後から足していたためです。見積の前に現地で数えていなければ、追加の費用になっていたところでした。積立は、次の更新の見込み額から逆算する方法に改めました。

このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。

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更新で起きやすいことと、防ぎ方

ナースコールの更新で起きやすいことは、ほとんどが見積の前と、切り替えの直後に集まります。先に手を打てるものを表にしました。

ナースコールの更新で起きやすいことと、防ぎ方
起きやすいこと防ぎ方
回線の数が図面と合わず、追加の費用が出る見積の前に、現地で呼び出しの場所を数える
切り替えの日に、一部の部屋が鳴らない全室の試験の記録を、部屋ごとに受け取る
職員が新しい受け手の使い方に慣れない切り替えの前に、各勤務で練習の時間をとる
月ごとの利用料が、あとから分かる見積の段階で、10年分の保守と利用料を並べる
見守り機器とつながらない連携先のメーカーとの作業の分け方を、契約の前に決める

切り替えたあとの最初の1か月は、不具合が出やすい時期です。どの部屋の、どんな不具合かを書き込む紙を詰所に置き、まとめて業者に伝えます。

あわせて、停電のときに新しいナースコールがどう動くかも確かめておきます。停電したときに止まると困る設備の確かめ方は介護施設が停電。上げてはいけないブレーカーがありますも参考になります。

更新に備えて、平常時にしておくこと

更新に備えて、平常時にしておくこと

  • 呼び出しの場所(居室・トイレ・浴室・共用部)を数え、図面に書き込む
  • 親機のメーカー・型番・設置年と、部品の供給の見込みを控える
  • 故障の記録を、系統ごとに残す
  • 配線の図面の置き場所を確かめる
  • 次の更新の見込み額から、毎年の積立を計算する
  • 保守の契約と、月ごとの利用料を一覧にする

見守り機器と通信の工事の補助は、募集の時期に合わせて準備します。

ナースコールの更新の見積を、同じ条件でそろえたいときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。回線の数と今の機種、ほしい機能をお送りいただければ、1回のご依頼で最大3社に同じ条件で見積を頼めます。今の代理店の見積と並べて比べる材料にもなります。

よくある質問

ナースコールを入れ替える費用は、どう見積もればよいですか

回線の数、今の配線を使えるか、ほしい機能の3つを決めて、メーカーや代理店に概算を出してもらいます。複数の見積は、総額を回線の数で割った1回線あたりの額にそろえて比べます。

今のナースコールの配線をそのまま使えるかは、どうやって分かりますか

竣工図や配線の図面で方式と経路を見て、業者に配線の絶縁を測ってもらいます。1室だけ新しい機器をつないで試すと、より確かになります。メーカーや方式を変えると、使えないことが多くなります。

ナースコールのメーカーを変えると、工事は大きくなりますか

配線の方式が違うと、配線を引き直す工事になり、天井や壁を開ける作業が増えます。今のメーカーの後継の機種と、ほかのメーカーの機種の両方で見積を取ると、配線の費用の差が見えます。

くわしく:設備修理に強い業者は、分野ごとに別の会社です

無線のナースコールにすると、工事費は下がりますか

居室の中の配線は減りますが、電波を届ける中継の機器と、その電源の工事が要ります。鉄筋の壁が多い建物では中継の機器が増えるので、電波の届き方を調べてから比べます。

スマートフォンでナースコールを受けるようにすると、何が増えますか

施設の中の無線の通信の工事、端末と充電台の代金、月ごとの利用料が加わります。端末は数年ごとの入替も見込みます。見守り機器や通信の工事には、補助が使える場合があります。

くわしく:Wi-Fiの工事は機器と一緒に申請し、天井を開ける時期に合わせます

ナースコールを切り替える日は、どのくらい止まりますか

切り替えの方法で変わります。一斉なら全館が短い時間止まり、フロアごとなら1フロアずつ、並行運用ならつなぎ替えの間だけです。止まる間は、仮の呼び出しの機器を全室に配り、見回りを増やします。

くわしく:ナースコールの修理、代理店以外に頼めるか

ナースコールの更新は、設置から何年目に考えればよいですか

年数だけでなく、部品の供給の終わり、故障の増え方、居室の使い方の変化で決めます。部品の供給が終わる時期の3年ほど前から検討を始めると、見積と予算と積立の準備が間に合います。

くわしく:設備の年数は、3種類を並べてから更新の時期を決めます

ナースコールの更新に向けて、毎年いくら積み立てればよいですか

次の更新の見込み額を、更新までの年数で割るのが基本です。前回の取得額を法定耐用年数で割るだけでは、値上がりや機能の追加の分が足りなくなることがあります。床の数と月の数で割ると、説明しやすくなります。

くわしく:修繕の予算は、前の年の秋から3つの区分で組みます

社会福祉法人がナースコールを更新するとき、見積は何社から取りますか

工事の請負として契約する場合、令和8年4月から400万円以下は2社の見積合わせで足り、超えると3社以上です。機器の購入として契約する場合は線が違うので、法人の経理規程で確かめます。

くわしく:社会福祉法人の相見積は、400万円を境に2社と3社に分かれます

ナースコールの更新費用は、修繕費にできますか

設備をまるごと替える更新は、資本的支出として扱われることが多い工事です。見積を機器・配線・撤去などの行に分けてもらうと、経理の判断がしやすくなります。最後の判断は、税理士や会計の担当と確かめます。

くわしく:修繕費か資本的支出かは、見積の分け方で判断しやすくなります

新しいナースコールに職員が慣れるまで、何をすればよいですか

切り替えの前に、各勤務で使い方を練習する時間をとります。最初の1か月は不具合を書き込む紙を詰所に置き、まとめて業者に伝えます。

ナースコールの保守料も、更新のときに見直したほうがよいですか

見直します。新しい機種では、保守の料金に加えて、端末やシステムの月ごとの利用料が付くことがあります。見積の段階で、10年分の保守と利用料を並べて比べます。

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工事の種類ごとの費用の目安は費用の目安、頼み先の一覧は設備別の頼み先、ご相談の流れはご相談の流れにまとめています。

監修者

鈴木貴行|介護施設営繕・修繕専門家

  • 30年以上営繕・設備管理の経験
  • 1,000施設超関わった介護・高齢者施設
  • 3,000件超修繕・設備改善の案件

介護施設の営繕・設備管理に30年以上携わり、1,000施設を超える介護・高齢者施設の現場に関わってきました。介護施設のナースコールの更新で、見積の読み方と切り替えの段取り、積立の考え方を監修しています。

経験した施設
特別養護老人ホーム有料老人ホームグループホームデイサービスサービス付き高齢者向け住宅
専門分野
給排水空調電気・照明トイレ・浴室床・壁扉・建具ナースコール

制度や基準、費用の目安は変わることがあります。手続きや工事の前に、最新の資料と、現地を確かめた見積でご確認ください。

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