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業者の探し方・選び方

設備修理に強い業者は、
分野ごとに別の会社です

特殊浴槽の調子が悪い、給湯の温度が上がらない、同じブレーカーが何度も落ちる。設備の不具合が続くと、「設備に強い業者」を1社見つけて、まとめて頼みたくなります。ただ、介護施設の設備は、給排水・空調・電気・防災・昇降機・介護の専用機器などの分野に分かれ、分野ごとに強い会社も、要る資格も違います。この記事では、分野ごとの強い頼み先と確かめる資格、分野をまたぐ不具合の扱い、依頼先の一覧の作り方をまとめます。

構成:介護施設 修繕の窓口監修:鈴木貴行(介護施設営繕・修繕専門家)更新:読む時間:約19分

この記事が答える質問介護施設の設備修理に強い業者を探しています

介護施設の設備修理に強い業者は、設備の分野ごとに違います。給排水は水道局の指定工事店や設備会社、空調は冷媒を扱う登録を持つ空調の工事業者、電気は電気工事士のいる電気工事業者が中心です。防災は消防設備士のいる会社、昇降機は保守会社、特殊浴槽やナースコールはメーカーや代理店です。探すときは「設備に強い」という言葉ではなく、どの分野を自社で直せるか、その分野の資格や登録を持つ人が来るかを確かめます。分野ごとに依頼先を1つずつ決めて一覧にしておくと、止まったときに迷いません。

この記事の結論

  1. 設備は、給排水・空調・電気・防災・昇降機・介護の専用機器などの分野に分かれる
  2. 分野ごとに、強い業者と、確かめる資格や登録が違う
  3. 特殊浴槽やナースコールの本体は、メーカー・代理店が中心になる
  4. 分野をまたぐ不具合は、最初に見る役の会社を決めておく
  5. 分野ごとに依頼先を1つずつ決め、1枚の一覧にしておく

介護施設の設備は、6つの分野に分かれます

介護施設の設備は、給排水、空調、電気、防災、昇降機、介護の専用機器の6つの分野に分けると、頼み先が見えてきます。分野ごとに、かかわる法令も、要る資格も、部品を持っている会社も違うからです。「設備に強い業者」を探す前に、施設の設備をこの6つに分けてみます。

介護施設の設備の6つの分野
分野施設の主な設備止まると困ること
給排水給水管・受水槽・給水ポンプ・給湯器・排水管・トイレ・水栓入浴と排泄の介助、食事の支度、手洗い
空調業務用エアコン・換気扇・全熱交換器居室の室温、夏の熱中症、冬の冷え
電気分電盤・配線・照明・コンセント・キュービクル・非常用の発電機照明、医療機器や冷蔵庫、ほかの設備の電源
防災自動火災報知設備・スプリンクラー・消火器・誘導灯・非常放送火災のときの通報・消火・避難
昇降機エレベーター・段差解消機・階段昇降機2階以上の入居者の方の移動、食事の運搬
介護の専用機器特殊浴槽・ナースコール・リフト・見守りの機器入浴の介助、呼び出しへの対応
分野ごとに、法令・資格・部品を持つ会社が違う。介護施設の設備の6つの分野給排水水・お湯・排水空調冷暖房・換気電気受電・配線・照明防災火災の通報・消火昇降機エレベーター専用機器浴槽・呼び出し
図1 分野ごとに、法令・資格・部品を持つ会社が違う。

6つのうち、給排水・空調・電気は、建物の設備として多くの会社が扱う分野です。防災と昇降機は、法令で点検の決まりがあり、点検の契約先が修理の入口になります。介護の専用機器は、機器ごとにメーカーや代理店が決まっていて、ほかの会社では直せない部分があります。

同じ「設備会社」でも、得意は給排水と空調のこともあれば、電気だけのこともあります。分野ごとに見ると、「設備に強い」という言葉が、どの分野の強さを指しているのかを確かめられます。

分野ごとに、強い業者と確かめる資格が違います

設備の修理に強い業者は、分野ごとに違います。分野ごとの強い頼み先と、確かめる資格や登録は次のとおりです。資格や登録は、その分野の作業を任せてよいかを、外から確かめられる数少ない手がかりです。

設備の分野ごとの、強い業者と確かめる資格・登録
分野強い業者確かめる資格・登録確かめ方
給排水水道局の指定工事店、設備会社(管工事)指定給水装置工事事業者(水道局ごとの指定)。排水は自治体の指定工事店のことが多い水道局の名簿、指定の番号
空調空調の工事業者、メーカーの修理窓口第一種フロン類充塡回収業者(都道府県の登録)、冷媒フロン類取扱技術者登録の番号、点検の記録を残すか
電気電気工事業者、電気の保安の委託先電気工事士(第一種・第二種)、登録電気工事業者都道府県の名簿、来る人の免状
防災消防設備の点検・工事の会社消防設備士(工事は甲種、整備と点検は乙種も)、消防設備点検資格者免状の種類、点検の報告書の名前
昇降機保守会社(メーカー系・独立系)保守の契約、法令の定期検査契約書、閉じ込めのときの出動の時間
介護の専用機器メーカー・代理店法令の資格より、メーカーの保守の体制機器の銘板、保守の契約書
設備の修理に強い先は、分野ごとに別の会社になることが多い。分野ごとの、強い頼み先給排水指定工事店・設備会社空調空調の工事業者電気電気工事業者・保安の委託先防災消防設備の会社昇降機保守会社専用機器メーカー・代理店
図2 設備の修理に強い先は、分野ごとに別の会社になることが多い。

「設備業者」とひとまとめに呼ばれる会社の多くは、給排水と空調を中心に受ける管工事の会社です。電気や消防は、別の会社と組んでいることがよくあります。工務店や設備会社、メーカーなど、頼み先の業態ごとの守備範囲は修理や営繕の頼み先は、6つの業態から工事ごとに選びますにまとめています。

電気の分野は、施設が低圧で受電しているか、高圧で受電しているかで、頼み先と要る資格が変わります。電気の頼み先の決め方は電気設備の修理を頼む先は、受電の形と作業の中身で決まりますでくわしく書いています。

相談・見積は無料|お断り可・理由は不要

「設備に強い」の中身は、3つの問いで確かめます

「設備に強い」と言う会社の中身は、3つの問いで確かめられます。どの分野を社員で直せるか、その分野の資格や登録を持つ人が来るか、部品と図面をどこから取るか、です。答えが分野ごとに具体的なほど、その分野に強い会社です。

  1. どの分野を、社員で直せますか「給排水と空調は社員で、電気は協力会社です」のように、分野ごとに答えられるかを見ます。
  2. 当日は、どの資格の方が来ますか電気なら電気工事士、空調なら冷媒を扱える人、消防なら消防設備士が来るかを聞きます。
  3. 部品と図面は、どこから取り寄せますかメーカーから直接取れるか、代理店を通すか、在庫を持っているかで、直るまでの日数が変わります。

3つ目の部品の問いは、見落とされがちです。設備の修理は、職人の腕より、部品がそろうかどうかで日数が決まることがよくあります。メーカーと直接の取引がある会社や、よく使う部品を在庫している会社は、同じ分野の中でも直るまでが早くなります。

答えを聞いたら、分野ごとに「社員で直す」「協力会社に回す」「受けない」を書き分けておきます。同じ会社でも、分野によって強さが違うことが一目で分かります。会社ごとの受け持ちの境界の聞き方は対応範囲の広さより、境界が明確な会社を選びますにまとめています。

強い会社のふるまいは、分野ごとに違います

同じ「強い」でも、分野によって表れ方が違います。分野ごとに、強い会社が当たり前にしていることを知っておくと、最初の電話や1回目の修理で見分けられます。

分野ごとの、強い会社の見分け方
分野強い会社がしていること聞き方の例
給排水漏れた場所が分からないときの調べ方を持っている。配管の材質と年数から、直すか替えるかを話せる床下や壁の中の漏れは、どう調べますか
空調型番から冷媒の種類と部品の有無を答えられる。点検と修理の記録を残すこの型番の部品は、まだ手に入りますか
電気受電の形を先に聞いてくる。工事で電気を止める範囲と時間を先に話す工事のとき、どの部屋の電気が何分止まりますか
防災点検で見つかった不具合を、急ぐものと次の点検でよいものに分けて話せるこの不具合は、いつまでに直せばよいですか
昇降機閉じ込めのときの出動の時間と、部品の手配の早さを答えられる閉じ込めのとき、ふだん何分で着きますか
介護の専用機器修理で済むか買い替えか、部品がいつまで手に入るかを話せるこの機種の部品は、いつまで手に入りますか

表の聞き方に、すぐ具体的な答えが返ってくるかを見ます。「来てみないと分かりません」という答えでもかまいません。何を見れば分かるのか、来るまでに施設で何を控えておけばよいのかを話せる会社は、その分野に慣れています。

水道局の指定工事店と、冷媒を扱う登録の確かめ方は水道は指定工事店、空調はフロンの登録で、頼む業者を選びますにまとめています。

介護の専用機器は、メーカー・代理店が中心になります

特殊浴槽やナースコールなど、介護の専用機器の修理は、メーカーや代理店が中心になります。本体の部品や制御の仕組み、直したあとの安全の確かめ方を持っているのが、メーカーとその保守を任された会社だからです。ほかの会社に頼めるのは、機器のまわりの配管や電源などに限られることが多くなります。

専用機器の修理が、メーカー・代理店中心になる理由
理由中身施設がしておくこと
部品を持っている本体の部品は、メーカーと代理店の経路でしか手に入らないことが多い部品がいつまで手に入るかを、保守の会社に聞いておく
制御の仕組みを扱える制御の基板や設定は、専用の道具や手順がないと直せないエラーの表示を写真で残す
安全の確かめ方が決まっている入居者の方の体を支える機器は、直したあとの確かめ方が決まっている直したあとの確かめの記録をもらう
保証と保守の契約があるほかの会社が手を入れると、保証や契約の対象から外れることがある保守の契約書で、受け持ちの範囲を見る
本体はメーカー・代理店、まわりは設備や電気の会社が受け持つことが多い。専用機器の修理の受け持ちほかの会社も直せる所メーカー・代理店給湯・給水の配管電源と配線据え付けのまわり本体の部品の交換制御の基板と設定安全装置の確かめ
図3 本体はメーカー・代理店、まわりは設備や電気の会社が受け持つことが多い。

専用機器でも、すべてをメーカーに頼む必要はありません。浴槽へお湯を送る給湯の不具合や、ナースコールの電源の不具合は、設備や電気の会社のほうが早く直せることがあります。どこまでが本体かを保守の契約書で確かめ、本体の外側は日ごろの会社に頼む、と分けておきます。

ナースコールの本体と、配線・電源の受け持ちの分け方はナースコールの修理、代理店以外に頼めるかにまとめています。特殊浴槽が止まると、買い替えを勧められて迷うことがあります。修理で使い続けるか買い替えるかの見分け方は特殊浴槽の修理費は、残りの年数で割って比べますで書いています。

だからこそ、故障したからすぐ買い替えるのではなく、まず修繕できるのか相談できる窓口があるのは心強いと感じました。

ご利用者の声 大分県・グループホーム/施設長

取材にもとづき掲載しています(施設名は非公開)。内容はご本人の申告によるもので、個人の感想です。

昇降機と消防の設備は、点検の契約先が修理の入口です

エレベーターと消防の設備は、法令で点検の決まりがある設備です。点検を受け持っている契約先が、設備の状態をいちばんよく知っているため、修理の入口もその契約先になります。

法令の点検がある設備と、修理の入口
設備点検の決まり修理の入口確かめておくこと
エレベーター建築基準法の定期検査と、保守会社の点検保守会社閉じ込めのときの緊急の連絡先、契約に修理が含まれるか
消防用設備機器点検は6か月ごと、総合点検は1年ごと。介護施設は1年に1回、消防署に報告点検の会社(消防設備士)点検の報告書で指摘された不具合と、直す時期
受水槽(貯水槽)容量によって、清掃と検査の決まりが変わる清掃・点検の会社、設備会社清掃と検査の記録、給水ポンプの保守の契約先

消防用設備の点検は、延べ面積が1,000㎡以上の施設などでは、消防設備士か消防設備点検資格者がする決まりです。点検で見つかった不具合の修理(整備)の多くも、消防設備士の仕事です。設備を新しく付ける工事は、甲種の消防設備士でないとできません。点検の会社が工事まで受けるのか、別の会社を紹介するのかを聞いておきます。

エレベーターの保守会社には、メーカー系と独立系があります。部品の手配の早さや費用が違うため、保守会社を替えるときは、閉じ込めのときに何分で来られるかと、部品の取り寄せにかかる日数を比べます。

エレベーターが止まったときの閉じ込めの連絡と、2階以上の生活の段取りはエレベーターが止まった。閉じ込めの連絡先と、2階以上の生活にまとめています。消防の設備の点検の頻度と報告、避難に関わる廊下の決まりは、消防設備の点検は年2回、消防署への報告は年1回ですで書いています。

分野をまたぐ不具合では、最初に見る役を決めておきます

設備の不具合の中には、2つ以上の分野にまたがるものがあります。天井から水が漏れて照明が消えた、特殊浴槽のお湯がぬるい、といった不具合です。分野ごとの会社に別々に頼むと、原因の押し付け合いや、2社の到着を順に待つことが起きます。

分野をまたぐ不具合と、起きやすいこと
不具合またぐ分野起きやすいこと先に決めておくこと
天井から水が漏れ、照明やコンセントが濡れた給排水・電気漏電の心配があるのに、水回りの業者だけを呼ぶ濡れた電気の設備には触らず、電気の業者にも知らせる
特殊浴槽のお湯がぬるい専用機器・給湯浴槽のメーカーは給湯を、給湯の業者は浴槽を疑う蛇口のお湯の温度を先に測り、どちらを先に呼ぶかを決める
室内機から水が垂れる空調・排水水回りの業者を呼んだら、空調の業者の受け持ちだったドレン管(冷房で出る水の管)は、空調の業者と決めておく
浴室や厨房の近くで火災報知器が鳴る防災・空調・給湯湯気や結露が原因なのに、感知器だけを替える点検の会社に、鳴った時間と場所の様子を伝える
一部の部屋のナースコールが鳴らない専用機器・電気電源の不具合なのに、代理店の到着を待つ止まった範囲を確かめ、電源が疑わしければ電気の業者にも見てもらう
水と電気が重なるときは、人を離してから両方の業者に知らせる。水が漏れたときの、最初の連絡先漏れた水が、照明やコンセントにかかっているかかかっている触らずに人を離す電気の業者にも連絡かかっていない止水栓で水を止める水回りの業者へ
図4 水と電気が重なるときは、人を離してから両方の業者に知らせる。

またぐ不具合では、どの会社が最初に見て、ほかの会社につなぐかを決めておくと、施設の担当者が間に立つ時間が減ります。たとえば、日ごろの設備会社に「最初に見る役」を頼み、本体の故障と分かったらメーカーへ、電気と分かったら電気の業者へつないでもらう形です。

最初に見る役の会社には、つなぐ先の連絡先を一覧で渡しておきます。天井裏や壁の中など、建物と設備の工事がぶつかる場所の扱いは建物と設備を一括で頼むと、境目の押し付け合いがなくなりますにまとめています。

設備を1社に頼みたいときは、入口だけを1つにします

すべての分野を1社で直せる会社は、ほとんどありません。それでも連絡先を1つにしたいときは、修理そのものではなく、相談の入口だけを1つにします。入口の会社が分野を見分けて、その分野に強い会社につなぐ形です。

  1. 設備会社を入口にする給排水と空調を受ける設備会社に最初に見てもらい、電気・消防・専用機器は、その会社からつないでもらいます。
  2. 施設管理の会社を入口にする点検や保守を任せている施設管理の会社に、修理の受付と振り分けまで頼みます。契約に含まれるかを確かめます。
  3. 窓口を入口にする相談を窓口に送り、分野ごとに施工の会社を手配してもらいます。当窓口では、1回のご依頼で最大3社の見積をそろえます。

どの形でも、入口の会社が強いのは自分の分野だけです。入口の会社が見分けを誤ると、強い会社につながるまでに日数がかかります。入口を1つにしても、分野ごとの強い会社の連絡先は、施設でも控えておきます。

設備の故障をまとめて頼む3つの形の比べ方は介護施設の設備の故障を、まとめて頼む形は3つありますにまとめています。

分野ごとに依頼先を1つずつ決め、一覧にします

分野ごとの強い会社が分かったら、分野ごとに依頼先を1つずつ決め、1枚の一覧にします。止まったときに一覧を見れば、誰でも同じ先に連絡できるようにするためです。設備の台数が多い施設でも、まずは分野ごとに1行から始めます。

分野ごとの依頼先の一覧に書く項目
項目書き方の例
分野と設備給排水:給湯器2台(1階機械室)、給水ポンプ1台
型番と設置年銘板の写真から書き写す。分からなければ「不明」と書く
平日の依頼先会社名、担当者、電話番号
夜間・休日の依頼先保守の契約先の緊急の連絡先。なければ空欄にして、平日のうちに探す
資格・登録指定の番号、登録の番号、来る人の資格
保守の契約有無、契約の種類、修理が含まれるか
最後に頼んだ日と中身2026年9月、給湯器の点火の不良で部品を交換
分野ごとに1行から始め、修理のたびに書き足す。依頼先の一覧の作り方1. 設備を6つの分野に分ける2. 銘板で型番と設置年を書く3. 分野ごとに依頼先を1つ決める4. 夜間・休日の連絡先を書き足す5. 年に1回、修理の記録と見直す
図5 分野ごとに1行から始め、修理のたびに書き足す。

一覧は、事務室と夜勤の詰所の両方に置きます。夜勤の職員が見る一覧には、夜間・休日の連絡先と、いくらまでなら職員の判断で頼んでよいかを、大きく書いておきます。

設備の一つひとつを台帳にする方法は機器台帳は、竣工図と現地と保守の会社の3つで作りますにまとめています。業者ごとの連絡先と依頼の履歴を残す台帳は修理業者を毎回探す手間は、業者台帳で消せますで書いています。

モデルケース:特殊浴槽と火災報知器で二度手間が続いたユニット型特養

モデルケース:定員80名のユニット型特別養護老人ホーム

分野ごとに依頼先を分けて、二度手間が減った

変わったこと(結果)

設備を6つの分野に分け、分野ごとに依頼先を1つずつ決めた一覧を作りました。特殊浴槽が止まってから技術者が来るまでが、3日から翌日に縮みました。1回の不具合で2社に払っていた出張費が1社分になり、事務長が1件の不具合でかける電話は、5〜6本から1〜2本に減りました。

背景と、困っていたこと

この特養は、給排水と空調に強い設備会社に、設備の修理をすべて頼んでいました。特殊浴槽がエラーで止まると、まず設備会社が来て給湯を調べ、本体の基板の故障と分かってからメーカーに連絡するため、直るまでに3日かかっていました。浴室の近くで火災報知器が鳴ったときは、設備会社と消防の点検の会社が、それぞれ相手の側に原因があると考え、原因が分かるまで2週間かかりました。

決めたこと

事務長は、設備会社との付き合いは続けたまま、分野ごとに依頼先を分けました。特殊浴槽は保守契約のあるメーカーに、火災報知器は点検の会社に直接連絡し、給湯や配管が疑われるときだけ設備会社を呼ぶ、と決めました。分野をまたぐ不具合では設備会社を「最初に見る役」とし、本体の故障と分かったら、その場でメーカーにつないでもらうことにしました。

進めてみて分かったこと

事務長が迷ったのは、長く頼んできた設備会社の仕事を減らしてよいのか、という点でした。実際には、設備会社も自社の分野に集中できるようになり、給湯器の更新の相談では、型番と部品の有無を先に調べてから来るようになりました。

このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。

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分野で分けて頼むときに、起きやすいこと

分野ごとに強い会社に頼む形にも、起きやすいことがあります。先に知っておくと、多くは防げます。とくに、介護施設での作業の段取りと、保守の契約との重なりは、分野の強さとは別に確かめておきます。

分野で分けて頼むときに起きやすいことと、防ぎ方
起きやすいこと防ぎ方
資格はあるが、介護施設での作業の段取りに慣れていない入館の決まりと、作業してよい時間を、紙で先に渡す
メーカーの保守契約と、ほかの会社の修理が重なる保守の契約書で、受け持ちの範囲を確かめてから頼む
分野ごとの会社への依頼が少なく、後回しにされる小さな修理を2〜3件まとめて頼む。点検もあわせて頼む
夜間や休日に、分野の会社がつかまらない平日のうちに、分野ごとの夜間・休日の連絡先を確かめる
担当者が替わり、どの分野をどこに頼んでいたか分からない一覧を事務室と詰所に置き、修理のたびに書き足す

保守の契約との重なりは、費用に響きます。保守を契約している設備の修理を別の会社に頼むと、契約に含まれていた修理に、別に費用を払うことがあります。修理を頼む前に、その設備に保守の契約があるかを一覧で確かめる習慣をつけておきます。

設備が止まる前に、しておくこと

設備が止まる前に、しておくこと

  • 施設の設備を、6つの分野に分けて書き出す
  • 分野ごとに依頼先を1つ決め、資格と登録を確かめる
  • 特殊浴槽やナースコールの保守契約で、受け持ちの範囲を見る
  • 分野をまたぐ不具合で、最初に見る役の会社を決める
  • 一覧を事務室と詰所に置き、年に1回見直す

設備の修理に強い業者が見つからない分野がある、どの分野の不具合か分からない、というときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。設備の写真と銘板の写真をお送りいただければ、分野を見分けたうえで、その分野に強い施工業者の候補と見積をお返しします。相談と見積は無料で、お断りいただいてもかまいません。

よくある質問

介護施設の設備修理に強い業者は、どう探せばよいですか

設備を給排水・空調・電気・防災・昇降機・介護の専用機器に分け、分野ごとに強い会社を探します。分野ごとに、強い会社も、確かめる資格や登録も違うからです。候補には、どの分野を社員で直せるか、その分野の資格を持つ人が来るかを聞きます。

設備の修理を、1社にすべて任せることはできますか

すべての分野を自社で直せる会社は、ほとんどありません。連絡先を1つにしたいときは、設備会社や施設管理の会社、窓口を入口にして、分野ごとの強い会社につないでもらう形にします。

くわしく:修理や営繕の頼み先は、6つの業態から工事ごとに選びます

給排水の修理を頼む業者は、何を確かめればよいですか

給水の配管や蛇口の工事は、施設のある水道局の指定給水装置工事事業者(指定工事店)かを確かめます。指定は水道局ごとなので、隣の市の指定では足りません。排水は、自治体の下水道の指定工事店の制度があることが多いので、あわせて確かめます。

くわしく:水道は指定工事店、空調はフロンの登録で、頼む業者を選びます

業務用エアコンの修理で、業者の資格は何を見ればよいですか

冷媒の補充や回収をする会社は、都道府県に登録した第一種フロン類充塡回収業者かを確かめます。あわせて、冷媒フロン類取扱技術者など冷媒を扱う知識のある人が来るか、点検と修理の記録を残してくれるかを見ます。

消防設備の修理は、点検の会社に頼めばよいですか

多くの場合、点検の会社が修理の入口になります。点検の報告書で指摘された不具合を、急ぐものと次の点検でよいものに分けてもらい、見積を出してもらいます。設備を新しく付ける工事は甲種の消防設備士の仕事なので、工事まで受けるかを聞いておきます。

くわしく:火災報知器が鳴りやまない。受信機の表示から、止め方が決まります

エレベーターの修理を、保守会社以外に頼んでもよいですか

修理の入口は、保守の契約をしている会社にするのが基本です。保守会社は点検で機械の状態を知っており、部品の手配の経路も持っています。保守会社を替えるときは、閉じ込めのときに何分で来られるかと、部品の取り寄せの日数を比べます。

くわしく:エレベーターが止まった。閉じ込めの連絡先と、2階以上の生活

特殊浴槽の不具合で、設備会社に頼める部分はありますか

あります。浴槽へお湯を送る給湯の不具合や、給水・排水の配管、電源は、設備や電気の会社が直せることが多い部分です。本体の部品や制御の基板はメーカー・代理店の受け持ちなので、保守の契約書で範囲を確かめてから頼みます。

くわしく:特殊浴槽の修理費は、残りの年数で割って比べます

天井から水が漏れて、照明がつかなくなりました。どこから連絡しますか

濡れた照明やスイッチには触らず、下にいる入居者の方を離してから、電気の業者と水回りの業者の両方に知らせます。漏れている系統の止水栓が分かれば閉めます。どちらか一方だけを呼ぶと、漏電の心配が残ったり、原因が直らなかったりします。

分野ごとの依頼先の一覧は、どこに置いて、いつ見直せばよいですか

事務室と夜勤の詰所の両方に置き、修理のたびに書き足して、年に1回見直します。夜勤の職員が見る一覧には、夜間・休日の連絡先と、職員の判断で頼んでよい金額を大きく書きます。項目は、分野と設備、型番と設置年、依頼先、資格や登録、保守の契約の有無などです。

くわしく:機器台帳は、竣工図と現地と保守の会社の3つで作ります

分野ごとに業者を分けると、管理が大変になりませんか

一覧を1枚にしておけば、管理の手間はそれほど増えません。連絡先を1つにしたいときは、入口の会社を決めて、分野ごとの会社につないでもらう形もあります。保守の契約と修理が重ならないよう、契約書で受け持ちの範囲を見ておきます。

くわしく:メンテナンス業者と修繕業者は、別のものです

業者が資格を持っているかは、どう確かめればよいですか

指定や登録は、水道局や都道府県の名簿で確かめられます。電気工事士や消防設備士は、当日来る人に免状の種類を聞きます。見積や点検の報告書に、資格者の名前が書かれているかも手がかりです。

「設備に強い」と書いてある会社の、どこを見ればよいですか

どの分野に強いのかを見ます。社員で直せる分野、当日来る人の資格、部品と図面の取り寄せ先の3つを聞くと、強い分野がはっきりします。答えが分野ごとに具体的に返ってくる会社は、その分野に慣れています。

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頼み先の選び方の全体は業者の探し方、頼み先の一覧は設備別の頼み先、ご相談の流れはご相談の流れにまとめています。

監修者

鈴木貴行|介護施設営繕・修繕専門家

  • 30年以上営繕・設備管理の経験
  • 1,000施設超関わった介護・高齢者施設
  • 3,000件超修繕・設備改善の案件

介護施設の営繕・設備管理に30年以上携わり、1,000施設を超える介護・高齢者施設の現場に関わってきました。介護施設の設備を分野に分け、分野ごとに強い修理の頼み先と、確かめる資格や登録を整理する考え方を監修しています。

経験した施設
特別養護老人ホーム有料老人ホームグループホームデイサービスサービス付き高齢者向け住宅
専門分野
給排水空調電気・照明トイレ・浴室床・壁扉・建具ナースコール

制度や基準、費用の目安は変わることがあります。手続きや工事の前に、最新の資料と、現地を確かめた見積でご確認ください。

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