介護施設の建物(内装・建具・防水・外壁)と設備(給排水・空調・電気)の修理は、一括で対応してもらえます。形は2つです。建築と設備の両方を請け負える総合の工事会社が元請になる形と、窓口が分野ごとの業者を手配して工程をまとめる形です。どちらでも、天井裏・壁の中・床下・外壁まわりといった分野の境目で、原因を調べる役と直す順番を決める役が1つになります。そのため、業者どうしの押し付け合いや、二度手間の撤去と復旧が減ります。ただし、メーカー専用の機器の本体や、資格・指定の要る工事は、一括でも専門の会社が受け持ちます。
この記事の結論
- 建物と設備の修理は、一括で対応してもらえる
- 分野がぶつかるのは、天井裏・壁の中・床下・外壁まわりの4か所
- 別々に頼むと、押し付け合い・順番の行き違い・二度手間が起きる
- 一括の形は、総合の工事会社が元請になる形と、窓口が工程をまとめる形の2つ
- 足場や天井の開口を1回にまとめると、その費用が二重にかからない
建物と設備の修理は、一括で対応してもらえます
介護施設の修理は、建物と設備の2つに分けられます。建物は内装・建具・防水・外壁、設備は給排水・空調・電気です。ふだんは分野ごとに別の業者が受け持ちますが、相談と段取りを1つにすれば、建物と設備の修理を一括で対応してもらえます。
| 分野 | 主な修理 | ふだん受け持つ業者 |
|---|---|---|
| 内装 | 床のシートの張り替え、壁紙、天井のボード | 内装の業者、工務店 |
| 建具 | 扉や引き戸の調整、戸車、鍵、窓 | 建具の業者、工務店 |
| 防水 | 屋上・ベランダ・浴室の床の防水 | 防水の業者 |
| 外壁 | 塗装、ひびの補修、目地のシーリング | 塗装の業者、外装の業者 |
| 給排水 | 水漏れ、詰まり、配管の交換、給湯 | 設備の業者(水道の指定工事店) |
| 空調 | エアコンの修理と交換、換気 | 空調の業者 |
| 電気 | 照明、コンセント、分電盤 | 電気工事の業者 |
一括で頼んで変わるのは、来る業者の数よりも、分野と分野の境目を受け持つ人ができることです。天井の中の配管や外壁を通る配管のように、2つの分野が重なる場所の不具合は、どちらの業者にも担当の外になりやすいからです。
一括で頼むときに確かめたいのは、何社が来るかではありません。境目で起きた不具合の原因を誰が調べ、直す順番を誰が決めるかです。この2つが決まっていれば、来る職人が分野ごとに違っても、施設が業者の間に立って調整する手間は大きく減ります。
分野がぶつかるのは、天井裏・壁の中・床下・外壁まわりです
建物と設備がぶつかる場所は、おおむね4つに絞れます。天井裏、壁の中、床下、外壁まわりです。どれも、ふだん目に見えない場所か、建物の内と外の境目です。不具合が出ても、原因がどちらの分野にあるのかが、見ただけでは分かりません。
| 場面 | 建物の側 | 設備の側 | 起きやすい行き違い |
|---|---|---|---|
| 天井にしみが出た | 屋上やベランダの防水、外壁のひび | 上の階の給水・排水の管、エアコンの水を流す管 | 雨漏りか配管の漏れかで、呼ぶ業者が変わる |
| 天井をはがして直す | 天井のボードと仕上げを外して戻す | 天井裏の配管・ダクト・配線 | 設備を見ないまま閉じて、あとでもう一度はがす |
| 床を張り替える | 床のシートと下地、床の防水 | 床下の排水管、便器や洗面台の付け外し | 排水管を見ないまま床を張り、あとで床をはがす |
| 壁に穴をあける・ふさぐ | 壁のボード、防火の区画 | 配管や配線を通す穴 | 穴のまわりのすき間が残り、においや音が抜ける |
| 外壁を塗る・補修する | 外壁の塗装、目地のシーリング | 室外機、冷媒の配管、換気扇のフード | 室外機を動かして配管を傷める、穴のまわりの防水が切れる |
表のどの場面でも、原因と直し方が2つの分野にまたがります。天井のしみは、屋上の防水が原因のこともあれば、上の階のトイレの排水管が原因のこともあります。最初に呼んだ業者の分野に原因がなければ、その業者は自分の分野ではないと伝えて帰ることになります。
壁の穴も見落としやすい境目です。配管や配線を通すために壁に穴をあけたあと、まわりのすき間が残っていると、においや音が隣の部屋に抜けます。防火の区画を配管が通る場所では、すき間をモルタルなどの燃えない材料で埋める決まりがあります。設備の工事のあとに、穴のまわりを誰がふさぐのかを先に決めておきます。
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別々に頼むと、3つのことが起きます
建物と設備を別々の業者に頼むと、境目の不具合では、よく同じことが起きます。どれも業者が悪いのではなく、それぞれが自分の分野にだけ責任を持っているから起きることです。
| 起きること | 中身 | 施設に出る影響 |
|---|---|---|
| 原因の押し付け合い | どちらの業者も、原因は自分の分野ではないと考える | 原因が決まらず、直るまでの日数が延びる。呼ぶたびに出張費がかかる |
| 工程の順番の行き違い | 床を張ったあとに配管の工事が入る。塗装のあとに外壁に穴をあける | 仕上げたばかりの所を、もう一度壊す |
| 二度手間の撤去と復旧 | 天井や床を、業者ごとに開けて閉める | 費用と、居室や浴室を使えない日が2回分になる |
とくに困るのが、原因の押し付け合いです。業者を呼ぶたびに出張費がかかり、そのあいだ入居者の方の居室や浴室が使えないこともあります。施設の担当者が2つの業者の言い分を聞いて間に立つことになり、本来の仕事の時間が削られます。
工程の行き違いも、介護施設では重く響きます。工事のたびに入居者の方に居室を移っていただいたり、浴室を止めて入浴の予定を組み直したりするからです。同じ場所の工事を2回に分けると、その段取りも2回になります。
こうしたことは、施設が業者を選び間違えたから起きるのではありません。分野ごとに業者を分けて頼む、という頼み方そのものから起きます。だから、境目の不具合に限っては、頼み方を変えると減らせます。
天井のしみは、雨漏りか配管の漏れかを先に見分けます
境目の不具合で、施設が最初に迷いやすいのが、天井のしみや水滴です。雨漏りなら屋上や外壁の業者、配管の漏れなら設備の業者が受け持ちます。見分けの手がかりを先にそろえておくと、最初に呼ぶ業者を外しにくくなります。
| 手がかり | 雨漏りのとき | 配管の漏れのとき |
|---|---|---|
| 天気 | 雨の日やその翌日に出る。風の強い雨で増える | 晴れの日も出る |
| 時間帯 | 雨が降った時間に合わせて増える | 上の階で水を使う時間(入浴や食事のあと)に増える |
| 水の温かさ | 冷たい | 給湯の配管からなら、温かいことがある |
| 水道のメーター | 関係しない | 給水の配管の漏れなら、蛇口をすべて閉めてもメーターが動く(排水管の漏れでは動かない) |
| 季節 | 台風や長雨の時期に出る | 夏は、エアコンの水を流す管の詰まりで出ることがある |
施設では、水をすべて止められる時間が限られます。水道のメーターで確かめるときは、入浴や食事の準備がない夜間の短い時間を選び、夜勤の職員に伝えてから行います。
それでも見分けがつかないときは、雨の日と晴れの日、上の階で水を使う時間と使わない時間に、しみの広がりを写真で比べます。日付と時刻の入った写真が3〜4枚あるだけで、最初に呼ぶ業者を絞りやすくなります。雨漏りの調べ方は雨漏りは、原因を見つけるまでが工事の半分ですに、水漏れを見つけたときに先にすることは老人ホームで水漏れ。修理より先にすることがありますにまとめています。
写真でも絞れないときに、一括で頼む意味が出てきます。建物と設備の両方を見られる相手に、同じ日に来てもらえば、どちらが原因でも、その場で次の手を決められます。2つの業者を別々の日に呼び、それぞれから自分の分野ではないと言われる往復がなくなります。
天井や壁を開けるときは、中の設備も一緒に見ます
天井のボードや壁をはがす工事は、ふだん見えない配管や配線を見られる数少ない機会です。開けた天井を閉じたあとで設備の不具合が見つかると、もう一度はがして、もう一度仕上げることになります。
| 見ること | 見る理由 | 受け持つ業者 |
|---|---|---|
| 給水・給湯の配管 | さびや、継ぎ目のにじみがないか | 設備の業者 |
| 排水管 | 流れる向きの傾きが足りているか、継ぎ目から漏れていないか | 設備の業者 |
| 配管の保温材 | はがれや、結露のあとがないか | 設備の業者 |
| ダクトと換気扇 | 外れや、ほこりのたまりがないか | 空調・換気の業者 |
| 電気の配線 | 被覆の傷みや、つなぎ目の処理 | 電気工事の業者 |
| 点検口 | 次は天井を壊さずに見られるよう、足すかどうか | 内装の業者 |
天井を閉じる前に、設備の業者に30分から1時間ほど見てもらうだけでも、次の修理で天井をはがす回数を減らせます。点検口を1か所足しておけば、次からは天井を壊さずに配管を見られます。見守り機器やWi-Fiの配線を通す工事も、天井を開ける機会に合わせられます。その工事に使える補助の考え方はWi-Fiの工事は機器と一緒に申請し、天井を開ける時期に合わせますにまとめています。
天井や壁をはがす工事では、工事の前に、石綿(アスベスト)が使われていないかを調べる事前調査が要ります。事前調査は工事の規模にかかわらず必要で、請負金額が税込100万円以上の改修工事では、調査の結果を報告する決まりもあります。令和5年10月からは、建築物の事前調査は、講習を修了した調査者などが行います。調査の日数も、工程の中に入れておきます。
床の張り替えは、排水管と段差を一緒に考えます
トイレや浴室、汚物処理室の床の張り替えは、建物と設備が重なりやすい工事です。便器や洗面台を外し、床の下の排水管を見て、防水をやり直し、床を張って器具を戻します。建物の業者と設備の業者が、交互に入ることになります。
この順番のどこかで業者の日程がずれると、床をはがしたまま何日も待つことになります。その間、そのトイレは使えません。一括で頼むと、順番と日程を1人が組むので、待つ日が出にくくなります。
床の高さにも気をつけます。新しい床材が前より厚いと、廊下との間に段差ができ、車いすや歩行器が引っかかります。排水管の位置を変えると便器の位置も変わり、手すりとの距離が合わなくなることがあります。床と排水管と手すりを1つの図面で決めておくと、工事のあとの手直しが減ります。
築年数のたった建物では、床をはがしたときに、排水管のつなぎ目の傷みが見つかることがあります。床を張る前に替えるかどうかを決められるよう、見積の段階で頼んでおくことがあります。床を開けたら排水管を見てもらい、替える場合の費用を先に出してもらうことです。
外壁まわりは、室外機と配管の穴が境目です
外壁の塗装やひびの補修は、建物の工事です。けれども外壁には、エアコンの室外機と冷媒の配管、換気扇のフード、給気口、配管を通す穴がたくさんあります。外壁の工事は、こうした設備のまわりで進めることになります。
| ぶつかるところ | 起きやすいこと | 先に決めること |
|---|---|---|
| 室外機 | 塗装のために動かすと、冷媒の配管を傷める | 動かすのは空調の業者にするか |
| 冷媒の配管と化粧カバー | 古いカバーが割れていて、塗装のときに外れる | 塗装と一緒に替えるか |
| 配管を通す穴 | まわりの目地が切れて、雨水が入る | 穴のまわりの防水を、どの業者がするか |
| 換気扇のフード・給気口 | 塗料でふさがる、フードが割れる | 養生のしかたと、替えるかどうか |
| 外の照明・防犯カメラ | 足場に当たって外れる、配線が切れる | 外す・戻すを、どの業者がするか |
外壁の工事では足場を組みます。足場があるうちは、2階や3階の外側の設備にも手が届きます。冷媒の配管のカバーや換気扇のフードの交換、外の照明の取り替えも、同じ足場で済ませられます。ふだんなら、高所作業車やはしごが要る作業です。
足場の費用は小さくありません。国土交通省が、マンションの大規模修繕944件を集めた調査(平成30年公表)があります。そこでは、足場などの仮設工事が、工事の金額の19.2%を占めていました。介護施設の数字ではありませんが、足場を2回組めば、この費用が2回かかります。
| 共用するもの | 分けたときに、もう一度かかる費用(目安) | 目安が変わる条件 |
|---|---|---|
| 外壁の足場 | 外側の設備の作業だけのための高所作業車や部分の足場で、数万円〜数十万円 | 建物の高さ、作業の日数、地域 |
| 天井の開口と復旧 | 天井をもう一度開けて、ボードを張り、仕上げ直す費用で、1か所数万円〜10万円ほど | 開ける広さ、天井の材料、仕上げ |
| トイレの床の撤去と張り替え | 便器の付け外しと床の張り替えで、1か所5万〜15万円ほど | 床の広さ、床材、便器の形 |
| 養生と入居者の方の移動 | 廊下や居室の養生、居室の移動の段取りが2回分 | 工事の場所、居室の空き |
金額は目安です。広さ、材料、地域、工事の時間帯で変わります。当窓口の目安では、屋上防水の改修が500万〜3,000万円、外壁の塗装・補修が800万〜3,000万円です。入居者の方がいる中の工事では、仮設・養生・時間帯の割増が総額の2割〜4割になることもあります。仮設と養生の費用の中身は仮設・養生・割増の割合は、施設が渡す条件で変わりますにまとめています。
一括の形は2つ。境目を受け持つ人が違います
建物と設備の修理を一括で頼む形は、大きく2つです。1つは、建築と設備の両方の工事を請け負える総合の工事会社が元請になり、分野ごとの職人をまとめる形。もう1つは、窓口が分野ごとの業者を手配し、工程の順番と日程をまとめる形です。
| 受け持つこと | 総合の工事会社が元請 | 窓口が手配して工程をまとめる |
|---|---|---|
| 境目の原因を調べる | 元請の現場の担当者が、職人を呼んで調べる | 窓口が、両方の分野の業者を同じ日に呼ぶ |
| 工程の順番 | 元請が組み、現場で職人に指示する | 窓口が組み、業者ごとに日程を伝える |
| 撤去と復旧 | 元請がまとめて受け持つ | 工事の前に、どの業者が戻すかを決める |
| 工事のあとの不具合 | 元請にまとめて伝える | 窓口に伝え、工事をした業者が直す |
| 向いている工事 | 浴室やトイレの改修など、1つの現場で分野が続けて入る工事 | 天井のしみの調べ、外壁の工事と外側の設備の作業の組み合わせなど |
2つの形の、契約や費用の見え方の違いは「一社にまとめる」には、二つの意味がありますにまとめています。この記事で見ておきたいのは、どちらの形でも、境目の原因を調べる役と、直す順番を決める役が1つになることです。押し付け合いがなくなるのは、この役が1つになるからです。
どちらの形でも、施設が業者の言い分の間に立つ必要がなくなります。元請の形では、元請が下で働く職人の見立てをまとめます。窓口の形では、窓口が2つの業者から見立てを聞き、施設には1つの報告として返します。
2つの業者が同時に関わる工事では、工事のあとに不具合が出たときの受け持ちも、先に決めておきます。たとえば屋上に機器を載せる工事と防水の工事を同じ時期に行うと、雨漏りが出たときに、どちらの工事が原因かでもめやすくなります。責任の所在の決め方は太陽光と防水を同時にするなら、先に責任の分け方を決めますに書いています。
一括にも、届かないところがあります
一括で頼めば、境目の行き違いは大きく減ります。ただ、どちらの形にも届かないところがあります。頼む前に知っておくと、思っていたのと違った、ということになりにくくなります。
| 形 | 届きにくいところ | 補い方 |
|---|---|---|
| 総合の工事会社が元請 | 小さな修理は、大きな工事の合間になりやすい | 小さな修理は、別の頼み先に分ける |
| 総合の工事会社が元請 | 設備の細かい見立てが、下で働く職人まかせになりやすい | 設備の職人から、直接説明を受ける場を作る |
| 窓口が工程をまとめる | 現場で職人に指示する監督はいない | 工事の前に、順番と戻す役を書面で決める |
| 窓口が工程をまとめる | 工事の保証は、工事をした業者ごとに分かれる | 保証の相手と年数を、工事ごとに記録する |
| どちらの形でも | メーカー専用の機器の本体や、資格・指定の要る工事は、専門の会社が受け持つ | その工事だけは、専門の会社の日程に合わせる |
特殊浴槽やナースコール、エレベーターは、本体の修理をメーカーや代理店しかできないことがあります。一括で頼んでも、その部分は専門の会社の日程で動きます。一括の相手には、まわりの工事の段取りを合わせてもらう形になります。ワンストップでもできないことの一覧はワンストップの営繕でも、できないことが4つありますにまとめています。
金額の大きな工事と小さな修理を同じ形で頼むと、どちらかに合わない部分が出ます。金額の帯ごとの頼み方は5千円と3千万円を、同じ体制では扱えませんで、営繕の仕事そのものを丸ごと外に任せる考え方は営繕を丸ごと外注しても、施設に残る仕事がありますで書いています。
境目の修理を頼むときは、上下と左右を伝えます
境目の修理を頼むときは、不具合の場所だけでなく、その上下と左右に何があるかを伝えると、来る業者を絞れます。天井のしみなら、真上が屋上か、ベランダか、トイレや浴室か。壁から水がにじむなら、壁の向こうが浴室か、外か、です。
- 場所何階の、どの部屋の、どのあたりか
- 上下と左右真上の部屋、壁の向こう、床の下にあるもの
- いつから・どんなときに雨の日か、晴れの日も出るか、水を使う時間に増えるか
- 写真近くから1枚、少し離れて場所が分かるように1枚。日付と時刻が分かるもの
- 近いうちの工事同じ天井や床、外壁で予定している工事があるか
近いうちに同じ場所で予定している工事を伝えておくと、一括の相手が、まとめられる作業を提案できます。境目の修理は、近くの工事と組み合わせると、開ける・閉めるが1回で済む場合があるからです。
原因が分かっていないうちに工事の見積を取ると、原因でない所の工事に費用をかけてしまうことがあります。まず両方の分野の業者に同じ日に見てもらい、原因の見立てを1つにしてから、直す工事の見積に進みます。
モデルケース:食堂の天井のしみが止まらなかった特養
モデルケース:定員70名の特別養護老人ホーム(従来型)
同じしみで業者を呼ぶ回数が、半年で4回から1回になった
変わったこと(結果)
1階の食堂の天井に繰り返し出ていたしみの原因が、建物と設備の業者が同じ日に立ち会った1回の調べで分かりました。それまでの半年間は、別々の業者を4回呼んでも原因が決まりませんでした。直す工事も、浴室の床の防水のやり直しと食堂の天井の張り替えを1回の段取りにまとめ、2階の浴室を止めたのは5日間で済みました。
背景と、困っていたこと
しみの真上は、2階の浴室でした。屋上の防水を見た業者は、防水には問題がないと言いました。設備の業者は、給水と排水の配管からは漏れていないと言いました。そのたびに出張費がかかり、事務長は2つの業者の話を聞いて、次に誰を呼ぶかを考える役になっていました。また呼んでも同じことになるのでは、というためらいもありました。
決めたこと
施設は、建物と設備の両方を手配できる窓口に相談し、2つの分野の業者に同じ日に来てもらうことにしました。決め手は、見立てを1つの報告にまとめてもらえることでした。立ち会いの結果、浴室の床の防水が、排水口のまわりで切れていると分かりました。防水のやり直しと天井の張り替えの順番は、工事の前に1枚の工程表にしました。浴室を止める5日間は、1階の機械浴室と清拭で入浴の予定を組み直しました。
進めてみて分かったこと
しみの写真に日付と時刻を書いておいたことが、浴室を使う時間としみの広がりの関係を見つける手がかりになりました。今は、境目の不具合が出たら、最初から両方の分野の業者に同じ日に来てもらうと決めています。
このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。
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一括で頼むときに、工事の前に決めておくこと
一括の相手が決まったら、境目の工事に入る前に、次のことを決めておきます。どれも工事が始まってからでは決めにくいことです。紙1枚にまとめ、施設と一括の相手の両方で持っておきます。
- 原因の報告境目の不具合の原因を、誰が調べ、どんな形で施設に報告するか
- 順番と日程撤去・修理・復旧の順番と、それぞれの業者が入る日
- 戻す役開けた天井や床、外壁を、どの業者が元の仕上げに戻すか
- 止める範囲居室・浴室・トイレを、何日、どの範囲で止めるか
- 工事のあとの連絡先不具合が出たときに、まずどこに伝えるか
とくに、止める範囲と日数は、入居者の方の暮らしに直接かかわります。浴室を止めるなら入浴の予定を、居室を止めるなら移っていただく部屋を、工事の前に介護の職員と決めておきます。
平常時にしておくこと
平常時にしておくこと
- 天井のしみや水の跡は、日付と時刻の入った写真で残す
- 天井の点検口の場所と、その上を通る配管を図面で確かめておく
- 外壁や屋上の工事の予定と、外側の設備の更新の時期を並べておく
- 天井や床を開ける工事では、設備の業者に見てもらう時間を工程に入れる
- 境目の不具合の原因を、誰が調べて報告するかを決めておく
設備の分野ごとに得意な業者が違うことは設備修理に強い業者は、分野ごとに別の会社ですにまとめています。
原因の分野が分からない不具合や、近くの工事とまとめたい修理があるときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。受付は24時間で、お電話での受付はしていません。写真と場所をお送りいただければ、1回の依頼で最大3社の見積をそろえます。相談と見積は無料で、全国47都道府県に対応し、お断りいただくこともできます。
よくある質問
天井裏や床下のように、建物と設備がぶつかる所の修理も一括で頼めますか
頼めます。総合の工事会社が元請になる形と、窓口が分野ごとの業者を手配して工程をまとめる形があります。どちらでも、境目の不具合の原因を調べる役と、直す順番を決める役が1つになります。
雨漏りの工事と配管の工事を、同じ日にまとめてもらえますか
まとめられます。原因が両方にあるときや、同じ天井を開けるときは、開ける・直す・ふさぐの順番を1つの工程にします。そうすれば、天井を開けるのが1回で済みます。原因の調べがすんでから、順番とふさぐ役を決めます。
業者どうしで原因を押し付け合って、修理が進みません
境目の不具合の原因を調べる役を、1つに決めます。両方の分野の業者に同じ日に来てもらい、見立てを1つの報告にまとめてもらうと、施設が間に立つ必要がなくなります。
天井をはがす工事のついでに、配管も見てもらうべきですか
見てもらうと、次にもう一度天井をはがす回数を減らせます。閉じる前に、設備の業者に配管・保温材・ダクト・配線を見てもらい、点検口を足すかどうかも決めます。
外壁の塗装のとき、エアコンの室外機はどうなりますか
塗装のために室外機を動かすときは、冷媒の配管を傷めないよう、空調の業者が受け持つと安心です。動かす日と戻す日を、塗装の工程に入れておきます。
外壁の足場があるうちに、設備の作業もしてもらえますか
してもらえます。冷媒の配管のカバーや換気扇のフード、外の照明の交換も、同じ足場で済ませられます。マンションの大規模修繕を集めた国の調査では、足場などの仮設工事が工事の金額の約2割(19.2%)でした。足場を2回組まないだけで、その分の二重払いを防げます。
トイレの床を張り替えるとき、排水管も替えたほうがよいですか
床をはがしたときに排水管の状態を見て決めます。床を張ったあとに排水管の傷みが見つかると、もう一度床をはがすことになります。替える場合の費用は、見積の段階で出してもらっておきます。
2つの業者が関わった工事のあとで水が漏れたら、どこが直しますか
総合の工事会社が元請なら元請に、窓口が手配した形なら窓口に伝えます。工事の前に、撤去と復旧、工事のあとの不具合を誰が受け持つかを書面で決めておくと迷いません。
壁から水がにじんでいます。建物と設備のどちらの業者を呼べばよいですか
壁の向こうが外壁なら雨水、浴室やトイレなら配管の漏れを先に疑います。分からないときは、両方の業者に同じ日に見てもらい、壁を開けるなら、直す順番とふさぐ役を先に決めます。
天井や壁をはがす工事で、アスベストの調査は要りますか
要ります。解体や改修の工事の前には、規模にかかわらず石綿(アスベスト)の事前調査が求められます。請負金額が税込100万円以上の改修工事では、調査の結果の報告も要ります。調査の日数を工程に入れておきます。
防火の区画を通る配管の穴は、誰がふさぐのですか
工事の前に、どの業者がふさぐかを決めておきます。防火の区画を配管が通る場所では、すき間をモルタルなどの燃えない材料で埋める決まりがあります。設備の工事のあとに抜けやすいところです。
一括で頼むと、施設の担当者の手間はどこが減りますか
業者を別々に呼んで原因を聞き比べる往復と、工事の順番の調整が減ります。境目の不具合では、施設が2つの業者の間に立って話をまとめる時間が、とくに大きく減ります。
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