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費用の目安

屋上防水と外壁塗装は、
総額より年あたりの費用で比べます

屋上防水や外壁塗装の見積は、業者ごとに工法も塗料も違い、総額だけでは高いのか安いのか分かりにくいものです。しかも数百万円から数千万円の工事なので、施設長や理事会に、その工法を選ぶ理由を説明しなければなりません。この記事では、介護施設の屋上防水と外壁塗装の費用の目安と、工法・塗料ごとの単価と持つ年数をまとめました。費用を持つ年数で割る「年あたりの費用」での比べ方と、見積の読み方も書いています。

構成:介護施設 修繕の窓口監修:鈴木貴行(介護施設営繕・修繕専門家)更新:読む時間:約22分

この記事が答える質問介護施設の屋上防水の費用はいくら?老人ホームの外壁塗装の費用の目安と、見積が妥当かの見分け方は?

介護施設の屋上防水の改修は500万〜3,000万円、外壁の塗装・補修は800万〜3,000万円が当窓口の目安です。工期はどちらも1〜3か月ほどです。金額の幅は、面積、防水の工法や塗料の種類、下地の傷み、足場の条件で決まります。見積は総額ではなく、1㎡あたりの単価と持つ年数に直し、総額を持つ年数で割った「年あたりの費用」で比べます。入居者の方がいる中の工事では、仮設・養生・時間帯の割増が総額の2割〜4割になることがあります。

この記事の結論

  1. 屋上防水の改修は500万〜3,000万円、外壁の塗装・補修は800万〜3,000万円が目安
  2. 単価と持つ年数は、防水の工法と塗料の種類で変わる
  3. 比べるのは総額ではなく、総額を持つ年数で割った年あたりの費用
  4. 入居者がいる中の工事では、仮設・養生・時間帯の割増が2割〜4割になることがある
  5. 工法を決める前に、調査で今の層と下地の状態を確かめる

屋上防水と外壁塗装の費用は、面積と工法と足場で決まります

介護施設の屋上防水の改修は500万〜3,000万円、外壁の塗装・補修は800万〜3,000万円が、当窓口の目安です。工期はどちらも1〜3か月ほどです。幅が大きいのは、建物の大きさと傷み方が、施設ごとにまったく違うからです。

屋上防水と外壁塗装の費用の目安(当窓口の目安)
工事費用の目安工期の目安金額が上がりやすい条件
屋上防水の改修500万〜3,000万円1〜3か月屋上が広い、今の層をはがす、室外機や架台が多い
外壁の塗装・補修800万〜3,000万円1〜3か月階数が多い、ひびやタイルの浮きが多い、目地が長い

総額は、いくつかの中身の足し算でできています。いちばん大きいのは「面積×1㎡あたりの単価」ですが、それだけでは決まりません。下地の補修、屋上のふちの壁(立ち上がり)や排水口などの細かい部分、足場や資材の揚げ降ろし、入居者の方を守る養生、現場の管理の費用が加わります。

屋上防水と外壁塗装の見積は、6つの中身の足し算でできている。見積の総額をつくる6つの中身材料と施工面積×1㎡あたりの単価下地の補修ふくれ・ひび・欠けの手当て細かい部分立ち上がり・排水口・笠木足場・仮設外周の足場と資材の揚げ降ろし養生・時間帯窓と通路の保護、作業時間の制約諸経費現場の管理・保険・書類
図1 屋上防水と外壁塗装の見積は、6つの中身の足し算でできている。

同じ1,000万円の見積でも、材料と施工が多くを占める見積と、足場や仮設が多くを占める見積では、中身が違います。見積を受け取ったら、まず6つのどこにいくらかかっているかを分けます。分けると、業者ごとの差がどこから来ているのかが見えてきます。

傷みが一部だけなら、部分の補修で金額は大きく下がります。屋上のふくれを数か所直す、外壁のひびを埋めるといった補修は、範囲が小さければ、全面の改修よりずっと小さな金額で済みます。全面の改修にするか、部分の補修で延ばすかは、劣化の調査の結果を見て決めます。

屋上防水の単価と持つ年数は、工法で変わります

屋上防水の工法は、大きく4つに分かれます。単価も持つ年数も、工法で変わります。

  1. ウレタン塗膜防水液状の材料を塗り重ねて、継ぎ目のない膜をつくります。表面は、トップコートという上塗りで守ります。
  2. シート防水塩ビやゴムのシートを張ります。接着するか、機械で留めます。
  3. アスファルト防水アスファルトとシートを、何層にも重ねてつくります。
  4. 改質アスファルト防水性質を改良したアスファルトのシートを、あぶるか貼り付けて重ねます。
屋上防水の工法ごとの単価と持つ年数の目安
工法1㎡あたりの単価の目安持つ年数の目安介護施設で気をつけること
ウレタン塗膜防水4,500〜8,000円10〜15年(表面のトップコートの塗り替えで延びる)溶剤のにおいが出る。においの少ない材料を選べるかを聞く
シート防水(塩ビ・ゴム)4,500〜8,500円13〜15年機械で留める工法は、ドリルの音が最上階に響く
アスファルト防水6,000〜10,000円露出13〜15年、保護層あり17〜20年溶かす工法は煙とにおいが出る。火を使わない工法を選べるか
改質アスファルト防水6,000〜9,000円露出15年前後、保護層あり20年ほどバーナーであぶる工法は火気の見張りが要る。貼り付ける工法もある

単価は材料と施工の目安で、今の層の撤去、下地の補修、立ち上がりや排水口、足場は含みません。地域・時期・面積・下地で変わります。持つ年数は、2つの資料をもとにした幅です。1つは旧建設省の研究で示された標準の年数(ウレタン塗膜10年、シート13年、露出のアスファルト13年、保護層のあるアスファルト17年)です。もう1つは建築研究所が2013年に示した年数で、多くの工法で15〜20年とされています。

どの工法がよいかは、屋上の形と、今の防水の種類で決まります。室外機や配管の架台が多く、形が入り組んだ屋上は、継ぎ目のできないウレタン塗膜が、形に合わせて塗りやすい工法です。広く平らな屋上は、厚みのそろうシートや改質アスファルトが向いています。今の防水と相性のよい工法を選ぶと、はがさずに重ねる改修ができ、撤去の費用と音が減ります。

屋上の形と設備の多さで、防水の工法の候補が変わる。屋上の形で、工法の候補が変わる室外機や架台が多く、屋上の形が入り組んでいるか入り組んでいるウレタン塗膜が候補形に合わせて塗れる広く平らな面が多いシート・改質アスファルト厚みが均一にそろう
図2 屋上の形と設備の多さで、防水の工法の候補が変わる。

介護施設では、工法を選ぶときに、においと音と火も比べます。溶剤のにおいは、換気口や窓から最上階の居室に入ることがあります。シートを機械で留める工法は、ドリルの音が真下の居室に響きます。バーナーを使う工法は、火気の管理と見張りが要ります。どの工法にも、においや音を抑えた材料ややり方があるので、見積の段階で選べるかを聞いておきます。

相談・見積は無料|お断り可・理由は不要

外壁塗装の単価と持つ年数は、塗料の種類で変わります

外壁の塗装の単価は、塗料の種類(中の樹脂の種類)で、おおよそ決まります。同じ壁でも、ウレタン系、シリコン系、フッ素系、無機系と、上の種類になるほど1㎡あたりの単価は上がり、塗り替えまでの年数も長くなります。

外壁塗装の塗料ごとの単価と持つ年数の目安
塗料の種類1㎡あたりの単価の目安塗り替えまでの目安向いている場面
ウレタン系1,800〜2,500円8〜10年数年のうちに建て替えや大きな改修を控えている
シリコン系2,300〜3,500円10〜15年多くの施設で標準の選び方。費用と年数のつり合いがよい
フッ素系3,500〜5,000円15〜20年足場代が大きい高い建物。次の塗り替えを遅らせたい
無機系4,500〜5,500円20年前後長く使い続ける建物。シーリングの年数とそろえる工夫が要る

単価は、下塗りから上塗りまでの材料と施工の目安です。足場、高圧洗浄、ひびの補修、シーリングは別に加わります。年数は塗料の種類ごとによく示される幅で、日当たり・立地・下地で変わります。見積には、塗料の種類と、メーカーが示す耐用の年数を書いてもらいます。

介護施設の外壁では、においの少ない水性の塗料を選べるかも確かめます。溶剤の塗料は乾くまでのにおいが強く、窓を閉めていても居室に入ることがあります。水性の塗料はにおいが少ないぶん、塗るときの気温や湿度に条件があり、冬や梅雨の時期は工期が延びることがあります。

外壁の塗装と一緒に、目地や窓まわりのシーリングを打ち直すのが一般的です。塗料だけが長持ちしても、シーリングが先に傷むと、足場をもう一度組むことになります。シーリングの傷み方の段階と直し方は、シーリングの劣化は4段階。段階で、直し方と急ぎ方が変わりますにまとめています。

タイル張りの外壁は、塗装ではなく、浮きの補修と洗浄が中心になります。浮きの調べ方や、はがれて落ちたときの対応は、外壁と屋根の頼み先と一緒に外壁がはがれて落ちてきた。まず、下を通る人を守りますで書いています。

比べるのは、総額を持つ年数で割った「年あたりの費用」です

工法や塗料が違う見積は、総額だけを比べても、どれが得かは分かりません。総額が安くても早く傷めば、次の工事が早く来るからです。比べるときは、総額を持つ年数で割った「年あたりの費用」に直します。

計算は「年あたりの費用=(工事の総額+途中の手入れの費用)÷持つ年数」です。途中の手入れとは、ウレタン塗膜のトップコートの塗り替えや、塗装の途中でのシーリングの打ち替えなどです。足場や仮設の費用も、総額に入れたまま割ります。足場は次の工事でもかかるので、持つ年数が長いほど、1年あたりの足場の負担が軽くなります。

総額ではなく、途中の手入れを足して、持つ年数で割った額で比べる。年あたりの費用の出し方1. 見積を工事ごとに分ける2. 持つ年数の目安を入れる(工法・塗料ごと)3. 途中の手入れの費用を足す(トップコート・シーリング)4. 合計を持つ年数で割る5. 年あたりの費用で並べる
図3 総額ではなく、途中の手入れを足して、持つ年数で割った額で比べる。
外壁の塗装で年あたりの費用を出した例(外壁の面積2,000㎡ほど)
案総額(足場・下地の補修・シーリングを含む)持つ年数の目安年あたりの費用
シリコン系1,100万円12年約92万円
フッ素系1,380万円16年約86万円
無機系1,540万円20年約77万円
無機系で、途中にシーリングを打ち替える場合1,540万円+約360万円20年約95万円

金額は、計算の仕方を示すための例です。この例では、総額がいちばん高い無機系が、年あたりではいちばん低くなります。ただし、シーリングが塗料より先に傷み、途中で足場を組み直すことになると、年あたりの費用は逆転します。年あたりで比べるときは、塗料、シーリング、屋上の防水の年数がそろうかも一緒に見ます。

建物をあと何年使うかも、計算に入れます。10年ほどで建て替えを考えているなら、20年持つ塗料を選んでも、残りの年数は使い切れません。その場合は、建て替えまでの年数で割って比べます。年あたりの費用は、施設長や理事会に工法の理由を説明するときにも使えます。理事会に出す資料の組み立て方は、理事会が見るのは見積ではなく、傷み・30年の総額・資金・先送りの4つですにまとめています。

入居者がいる中の工事では、仮設と養生と時間帯の費用が加わります

介護施設の工事は、入居者の方が暮らしたまま進めます。そのぶん、ほかの建物の工事にはない費用が加わります。仮設・養生・時間帯の割増を合わせると、総額の2割〜4割になることがあります。

介護施設の屋上防水・外壁塗装で加わりやすい費用
加わる費用中身抑える工夫
出入口の防護玄関や送迎の乗り降りの場所の上に、落下を防ぐ屋根や棚をつくる工事の間だけ、使う出入口を1か所にまとめる
窓と換気の養生塗装やシーリングの日に窓をふさぎ、換気の方法を用意する面ごとに日程を分け、一度にふさぐ窓を減らす
においの少ない材料水性や低臭の材料と、ふつうの材料との差額居室に近い面や屋上だけ、においの少ない材料にする
作業時間の制約食事・入浴・お昼寝の時間を外し、1日の作業時間が短くなる音の出る作業の時間帯を先に決めて、見積の条件に書く
足場を借りる日数1日の作業が短いぶん、足場を借りる日数が増える雨の予備日を工程に入れ、面ごとに足場を回す
資材の揚げ降ろし屋上へ材料を運ぶクレーンや荷揚げの機械、誘導の人送迎の時間を外し、揚げ降ろしを少ない日数にまとめる

これらの費用が見積のどこに入っているかは、業者によって書き方が違います。「共通仮設」「諸経費」にまとめて入っていることもあれば、行ごとに分かれていることもあります。仮設費と養生費の中身と、総額に占める割合の見方は、仮設・養生・割増の割合は、施設が渡す条件で変わりますでくわしく書いています。

費用を抑える近道は、見積を頼む前に、施設側の条件を紙にまとめて渡すことです。作業してよい時間帯、窓を開けられない日を何日まで受け入れられるか、資材を置ける場所、工事の間に使う出入口を書いておきます。条件があいまいなままだと、業者は安全のために費用を多めに見込みます。

劣化のサインで、部分の補修か全面の改修かの見当がつきます

屋上と外壁の傷みは、見た目のサインで、ある程度の見当がつきます。サインごとに、補修で延ばせそうか、全面の改修が近いかを知っておくと、予算を組む時期を逃しません。最後の判断は、業者の調査の結果で決めます。

劣化のサインと、費用の段階の見当
サイン場所費用の段階の見当
表面の色あせ、細かいひび屋上トップコートの塗り替えで延ばせることが多い
ふくれ、継ぎ目の浮き、端のめくれ屋上部分の補修。数が多ければ全面の改修を考える
水たまりが残る、草が生える、破れ屋上全面の改修が近い。排水の勾配も確かめる
手でこすると白い粉がつく外壁塗り替えの時期が近い
塗膜のはがれやふくれ、さびの汁外壁下地の補修を含めた塗り替え
目地のひび、すき間、やせ外壁シーリングの打ち替え。塗装と同時にすることが多い

屋上は、ふだん職員が上がらない場所なので、サインに気づくのが遅れがちです。年に1〜2回、手すりや柵のある範囲で、排水口のまわりと、ふくれや水たまりがないかを見ておきます。同じ場所から写真を撮りためると、傷みの進む速さが分かり、改修の時期を読みやすくなります。雨漏りがすでに出ているときは、原因を調べるのが先です。雨漏りの原因の調べ方は雨漏りは、原因を見つけるまでが工事の半分ですにまとめています。

今の層が下地に付いているかで、重ねる改修か、はがす改修かが分かれる。はがして新しくするか、重ねるか今の防水や塗膜が、下地にしっかり付いているか付いている重ねる改修ができる撤去の音と廃材が少ない浮き・水を含むはがして新しくする費用と日数が増える
図4 今の層が下地に付いているかで、重ねる改修か、はがす改修かが分かれる。

重ねる改修は、今の層を残してその上に新しい層をつくるので、はがす音や粉じん、廃材が少なく、工期も短くなります。入居者の方がいる施設に向いた方法です。ただ、今の層が浮いていたり、下に水を含んでいたりすると、重ねても長持ちしません。その場合は、はがす費用がかかっても、はがして新しくするほうが、年あたりでは安くなることがあります。

工法を決める前に、調査で確かめることがあります

見積の工法は、調査の結果で決まります。調査をしないまま工法を決めると、工事が始まってから下地の傷みが見つかり、追加の費用になることがあります。工法を決める前に、次のことを確かめます。

工法を決める前に確かめること
確かめること分かること確かめ方
今の防水と塗装の種類重ねられる工法と、相性のよい材料竣工図や前回の工事の記録を見る。少しだけ切り取って層を見る
下地の水分ふくれの原因と、湿気を逃がす工法が要るか水分計で測る。切り取った部分を見る
塗膜の付き方上から塗れるか、はがす必要があるかテープなどで、塗膜の付き方を試す
石綿(アスベスト)工事の前の手続きと、作業のやり方資格のある人による事前の調査
屋上の設備室外機・配管・アンテナを動かす費用屋上の設備の位置と台数を一覧にする
排水の具合水たまりの原因と、勾配の手直しが要るか雨のあとの写真、排水口の位置と数

石綿(アスベスト)の事前の調査は、解体だけでなく、改修の工事でも法令で求められています。古い外壁の仕上げの塗材や、下地を整える材料に含まれていることがあり、含まれていれば、作業のやり方と費用が変わります。大規模修繕の進め方と、事前の調査で費用と日数がどれだけ増えるかは、大規模修繕は着工の2年前に動き出し、石綿の調査は設計の段階で済ませますにまとめています。

調査の費用は、見積とは別に出てくることがあります。無料で調べる業者もありますが、調べた範囲と方法、結果を書面で受け取っておきます。書面があれば、ほかの業者に見積を頼むときにも同じ材料として渡せます。

見積は、数量と単価と仕様を行ごとに読みます

見積が妥当かどうかは、総額ではなく、行ごとに読むと判断できます。見るのは、数量(何㎡、何m)、単価、工法や塗料の名前と仕様、保証の4つです。数量と仕様がそろっていれば、単価の差が、そのまま業者の差になります。

屋上防水・外壁塗装の見積で確かめる行
行確かめること
面積・長さ屋上の㎡、外壁の㎡、目地のmが、業者ごとに大きく違わないか
工法・塗料の名前工法の種類と層の数、塗料の種類と塗る回数が書かれているか
下地の補修「一式」ではなく、か所数や㎡で書かれているか
細かい部分立ち上がり、排水口、笠木、湿気を逃がす筒が入っているか
今の層の扱い重ねるのか、はがすのか。はがすなら処分の費用があるか
足場・仮設足場の㎡と日数、出入口の防護、揚げ降ろしが分かれているか
保証年数と、何が対象か(漏水だけか、ふくれやはがれもか)

「一式」とだけ書かれた行は、中身を分けてもらいます。1社の見積でも、数量で割り戻したり、前回の工事と比べたりすると、妥当かどうかを判断できます。その方法は「一式」を分けてもらえば、1社の見積でも判断できますでまとめています。複数の業者に頼むときは、面積と範囲と工法の候補を同じ紙で渡すと、見積を並べて比べられます(見積の比較表は、条件書で6つをそろえてから作ります)。

1件の請負代金が500万円以上の工事は、その業種の建設業の許可が要ります。屋上防水なら防水工事業、外壁の塗装なら塗装工事業の許可です。屋上と外壁をまとめて頼むときは、建設会社が元請けになり、防水や塗装の専門の業者が下で入ることもあります。社会福祉法人は、金額に応じて、見積を取る社数や入札にするかの決まりがあるので、法人の経理の規程とあわせて確かめます(社会福祉法人の相見積は、400万円を境に2社と3社に分かれます)。

屋上と外壁の時期をそろえると、仮設の費用が1回で済みます

外壁の塗装、目地のシーリング、屋上の防水、鉄部の塗装は、時期をそろえて1つの工事にまとめると、仮設の費用が1回で済みます。外周の足場は、外壁だけでなく、屋上のふちの壁の外側や、その上にかぶせた金物(笠木)を直すときにも使えるからです。資材の揚げ降ろし、出入口の防護、入居者の方とご家族へのお知らせも1回で済みます。

屋上防水と外壁塗装の時期をそろえると、仮設と入居者の負担が1回で済む。別々に工事する場合と、まとめる場合別々に工事する時期をそろえてまとめる仮設の費用が工事ごとにかかるお知らせと養生も毎回入居者の負担が何度も続く仮設の費用が1回で済むお知らせと養生も1回工期は長いが1度で終わる持つ年数をそろえると、次の工事もまとめやすい
図5 屋上防水と外壁塗装の時期をそろえると、仮設と入居者の負担が1回で済む。

時期の目安には、国の資料も使えます。国土交通省のマンション向けの長期修繕計画のガイドラインでは、外壁の塗装や屋上の防水を行う大規模修繕の周期を、一般的に12〜15年程度としています。介護施設でも、この年数を目安に、防水・塗装・シーリングの次の時期を同じ年に並べて計画します。

時期がずれているときは、どちらかを前後に動かして合わせます。たとえば、屋上の防水が築15年で傷み、外壁の塗装は築18年の予定だとします。この場合は、防水をトップコートの塗り替えで数年延ばすか、外壁を少し早めるかを比べます。どちらが得かは、それぞれの案の年あたりの費用で比べると判断できます。

屋上に太陽光の設備を載せる計画がある施設は、防水の時期と合わせて考えます。太陽光を載せたあとに防水をやり直すと、パネルを外して戻す費用がかかるからです。防水と太陽光を同時にする判断と、漏水したときの責任の決め方は、太陽光と防水を同時にするなら、先に責任の分け方を決めますにまとめています。

モデルケース:3社の見積を年あたりで並べ直した特別養護老人ホーム

モデルケース:定員80名の特別養護老人ホーム

総額がいちばん安い案ではなく、年あたりで選んだ

変わったこと(結果)

前の年に2回見送られた屋上防水の改修が、理事会での1回の説明で承認されました。3社の見積を、1㎡あたりの単価と年あたりの費用に直してA4の1枚にまとめ、総額がいちばん安い案を選ばない理由を示せたからです。表を作る作業は、事務長と営繕の担当の2人で半日ほどでした。工事は、音の出る作業を午前と午後の2時間ずつに絞り、7週間で終わりました。

背景と、困っていたこと

この特養は、鉄筋コンクリート造の4階建てで、築22年です。屋上はおよそ900㎡で、築10年のときにウレタン塗膜を重ねる改修をしていました。表面の色あせとふくれが広がり、事務長は改修の見積を3社から取りました。ところが、工法がウレタン塗膜、塩ビシート、改質アスファルトとばらばらでした。含む範囲もそろっておらず、総額は540万円から900万円まで開いていました。前の年の理事会では「なぜ安い案にしないのか」と聞かれ、答えられずに見送りになっていました。

決めたこと

まず3社に、同じ面積と範囲(立ち上がり・排水口・笠木を含むか)を伝えて、見積を取り直しました。取り直した見積は、ウレタン塗膜が680万円、塩ビシートが820万円、改質アスファルトが900万円でした。そのうえで、ウレタン塗膜には途中のトップコートの塗り替えを1回分(約150万円)足しました。持つ年数は、各社が示した年数をもとに、ウレタン塗膜12年、塩ビシート15年、改質アスファルト16年として割りました。年あたりは、ウレタン塗膜が約69万円、塩ビシートが約55万円、改質アスファルトが約56万円でした。後の2案はほぼ同じだったので、火を使わず、においも少ない塩ビシートを選びました。シートを留めるドリルの音が出る作業の時間帯は、見積の条件に書き込みました。

進めてみて分かったこと

はじめは、いちばん安い案との差の140万円が大きく見え、高い案を選ぶことにためらいがありました。年あたりに直すと順番が入れ替わると分かってからは、理事からの質問は、音の出る時間帯と保証の範囲の2つに絞られました。

このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。

相談・見積は無料|同じ条件で最大3社

このお問い合わせ1本で、
最大3社の見積がそろいます。

保証と点検の条件も、比べる材料に入れます

屋上防水と外壁塗装の保証は、工法や材料、施工する会社によって、年数も中身も違います。年数が長くても、対象が狭かったり、定期の点検を受けることが条件だったりします。保証は、年あたりの費用と並べて、比べる材料に入れます。

屋上防水・外壁塗装の保証書で確かめること
確かめること中身
誰の保証か施工した会社の保証か、材料のメーカーの保証か、その両方か
年数何年か。屋上と外壁、工法ごとに違う年数になっていないか
対象漏水だけか、ふくれ・はがれ・色あせも含むか
条件定期の点検を受けること、上に物を置かないことなどが条件か
対象外台風などの災害や、ほかの工事で傷めた場合の扱い

とくに屋上は、あとから室外機を増やしたり、太陽光の架台を載せたりすると、保証の対象から外れることがあります。屋上に物を載せる計画があるなら、契約の前に業者に伝えて、保証の扱いを書面で決めておきます。保証の種類の違いと、保証書の管理の仕方は、工事の保証は、3つに分けて部位ごとに控えますにまとめています。

点検の回数と費用も確かめます。引き渡しから1年目などに無料の点検がつく契約もあれば、点検は別料金という契約もあります。点検の結果を記録に残しておくと、保証を使うときの材料になり、次の改修の時期を決めるときにも役立ちます。

平常時にしておくこと

平常時にしておくこと

  • 前回の屋上防水と外壁塗装の年、工法、塗料、保証書を1か所にまとめる
  • 年に1〜2回、屋上の排水口とふくれ、外壁の粉やひびを、同じ場所から撮る
  • 修繕の計画に、防水・塗装・シーリングの次の時期を並べて書く
  • 見積を頼むときの施設の条件(時間帯・出入口・資材の置き場)を紙にしておく
  • 屋上に物を載せる計画があれば、防水の時期と合わせて考える

前回の防水や塗装を施工した業者がいて、記録と保証書もそろっているなら、まずその業者に点検と見積を頼むのが近道です。保証の残りの年数も、その業者がいちばんよく分かっています。

屋上防水や外壁塗装の見積を同じ条件でそろえたい、手元の見積が妥当か分からない、というときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。どちらも24時間受け付けています(お電話での受付はしていません)。屋上や外壁の写真と、分かる範囲の面積や階数を送っていただければ、1回のご依頼で最大3社の見積をそろえます。相談と見積は無料で、お断りいただいてもかまいません。

よくある質問

介護施設の屋上防水の改修には、いくらかかりますか

当窓口の目安は500万〜3,000万円で、工期は1〜3か月ほどです。面積、工法、今の層をはがすかどうか、室外機などの設備の多さで変わります。ふくれを数か所直すような部分の補修なら、もっと小さく済むこともあります。

老人ホームの外壁塗装は、1㎡あたりいくらで見ればよいですか

塗料の種類で変わり、シリコン系なら1㎡あたり2,300〜3,500円、フッ素系なら3,500〜5,000円ほどが目安です。これに足場、高圧洗浄、ひびの補修、シーリングが加わります。外壁の塗装・補修の全体では、800万〜3,000万円が当窓口の目安です。

屋上防水は、ウレタンとシートのどちらが長持ちしますか

目安では、シート防水が13〜15年、ウレタン塗膜が10〜15年ほどで、シートのほうがやや長い傾向です。ただ、ウレタン塗膜はトップコートの塗り替えで延ばせ、形の入り組んだ屋上にも納めやすい利点があります。年あたりの費用と屋上の形で選びます。

外壁の塗料は、高いグレードを選んだほうが得ですか

年あたりの費用で比べると、高いグレードが得になることが多くあります。ただ、シーリングが先に傷んで足場を組み直すと、損得が逆転します。建物をあと何年使うかと、シーリングの年数とそろうかも見て決めます。

くわしく:シーリングの劣化は4段階。段階で、直し方と急ぎ方が変わります

年あたりの費用は、どう計算すればよいですか

工事の総額に、途中の手入れの費用(トップコートの塗り替えなど)を足し、持つ年数で割ります。足場や仮設の費用も、総額に入れたまま割ります。建て替えの予定があるなら、建て替えまでの年数で割ります。

同じ屋上なのに、業者によって見積が200万円以上違います

面積の数え方、工法、今の層をはがすかどうか、立ち上がりや排水口を含むかが違っていることが多くあります。数量と範囲と工法をそろえて取り直すと、差がどこから来ているのかが分かります。

くわしく:見積の比較表は、条件書で6つをそろえてから作ります

入居者がいる施設だと、防水や塗装の工事費は高くなりますか

高くなることがあります。出入口の防護、窓や換気の養生、作業時間の制約、においの少ない材料などで、仮設・養生・時間帯の割増が総額の2割〜4割になることがあります。施設の条件を先に紙で渡すと、余計な見込みを減らせます。

くわしく:仮設・養生・割増の割合は、施設が渡す条件で変わります

今の防水をはがさずに、上から重ねられますか

今の層が下地にしっかり付いていて、下に水を含んでいなければ、重ねる改修ができることが多くあります。はがす音や廃材が少なく、入居者がいる施設に向いています。浮きがあったり水を含んでいたりするときは、はがして新しくします。

防水や塗装の工事を頼む業者に、許可は要りますか

1件の請負代金が500万円以上の工事は、その業種の建設業の許可が要ります。屋上防水は防水工事業、外壁の塗装は塗装工事業です。許可の業種と番号は、見積や契約の前に確かめます。

トップコートの塗り替えだけで、防水の改修を先に延ばせますか

表面の色あせや細かいひびの段階なら、トップコートの塗り替えで数年延ばせることが多くあります。ふくれや破れ、水たまりが出ているときは、塗り替えだけでは足りません。外壁の工事と時期をそろえるために、あえて延ばすこともあります。

雨漏りしていなくても、屋上防水を直す必要はありますか

傷みのサインが出ていれば、雨漏りの前に手を打つほうが安く済みます。雨漏りは防水がかなり傷んでから出るので、出てから直すと、天井や断熱材の補修まで費用が広がります。ふくれや水たまり、色あせのうちに調べると、重ねる改修で済むことが多くなります。

くわしく:雨漏りは、原因を見つけるまでが工事の半分です

屋上防水や外壁塗装の保証は、何を確かめればよいですか

誰の保証か(施工の会社か材料のメーカーか)、年数、対象(漏水だけか)、点検などの条件、対象外になる場合の5つを確かめます。あとで屋上に物を載せると対象から外れることがあるので、計画があれば契約の前に伝えます。

くわしく:工事の保証は、3つに分けて部位ごとに控えます

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工事の種類ごとの費用の目安は費用の目安、頼み先の一覧は設備別の頼み先、ご相談の流れはご相談の流れにまとめています。

監修者

鈴木貴行|介護施設営繕・修繕専門家

  • 30年以上営繕・設備管理の経験
  • 1,000施設超関わった介護・高齢者施設
  • 3,000件超修繕・設備改善の案件

介護施設の営繕・設備管理に30年以上携わり、1,000施設を超える介護・高齢者施設の現場に関わってきました。介護施設・老人ホームの屋上防水と外壁塗装の見積を、工法・塗料ごとの単価と年あたりの費用で比べる考え方を監修しています。

経験した施設
特別養護老人ホーム有料老人ホームグループホームデイサービスサービス付き高齢者向け住宅
専門分野
給排水空調電気・照明トイレ・浴室床・壁扉・建具ナースコール

制度や基準、費用の目安は変わることがあります。手続きや工事の前に、最新の資料と、現地を確かめた見積でご確認ください。

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