介護施設の長期修繕計画を専門業者に頼むと、数量・単価・劣化の程度の3つの数字の精度が変わります。数量は、図面と現地の測り直しで、外壁の面積や配管の長さを拾い直します。単価は、工法や工事の条件、入居者の方がいる中の工事の割増まで入れて当てます。劣化の程度は、目視に加えて打診や測定で段階を付け、工事の年を前後させます。頼む流れは、目的を決める、調べる範囲と深さを決める、2〜3社から見積を取る、資料を渡して調べてもらう、成果物を受け取る、の順です。費用は延床面積と調べる深さで決まります。目視が中心なら数十万円から、打診や配管の調査を加え、建物が大きければ数百万円になることもあります。
この記事の結論
- 専門業者に頼むと、数量・単価・劣化の程度の3つの精度が変わる
- 精度が要るのは、理事会・補助・積立・建て替えなど、計画の数字でお金が動く場面
- 頼む前に、目的と、調べる部位・深さを決めて依頼書にする
- 費用は延床面積と調べる深さで決まり、技術者の人数×日数で積み上がる
- 成果物は、数量表・単価の出どころ・劣化の写真と判定・表計算の元データで受け取る
専門業者に頼むと、3つの数字の精度が変わります
長期修繕計画の費用は、部位ごとに「数量 × 単価」を出し、それを劣化の程度から決めた工事の年に並べて作ります。マンションについて国が示すガイドラインでも、修繕工事の費用は、項目ごとに数量に単価をかけて出す形です。ですから、計画の確かさは、数量・単価・劣化の程度の3つの数字で決まります。専門業者に頼むと変わるのは、この3つの精度です。
| 項目 | 自分で作る計画 | 専門業者に頼む計画 |
|---|---|---|
| 数量 | 図面から概算する。外まわりの長さ×高さで外壁を出すなど | 図面と現地で拾い直し、部位ごとの数量表にする |
| 単価 | 過去の請求書や、一般の費用の目安を使う | 工法と工事の条件ごとの単価に、仮設や割増を足す |
| 劣化の程度 | 目視と、職員の気づきで見当をつける | 目視・打診・測定で段階を付け、写真と対にする |
| 工事の年 | 一般の周期の幅の中から置く | 劣化の段階で、周期の幅の中で前後させる |
| 根拠の書類 | 計画の表だけが残りやすい | 数量表・単価の出どころ・写真が付く |
| かかるもの | 職員の時間 | 依頼の費用と、資料の準備・立ち会いの時間 |
自分で作る計画が悪いわけではありません。台帳と過去の請求書があれば、最初の版は職員で作れます。作り方は長期修繕計画は、30年・5年・単年の3つで持ちますにまとめています。専門業者に頼むかどうかは、計画の数字を何に使うかで決まります。使う場面によっては、自作の精度で足りることもあります。
3つの数字のずれ方も違います。数量のずれは、外壁や屋上のように面積の大きい部位ほど、金額のずれになって大きく出ます。単価のずれは、時間がたつほど広がります。劣化の程度のずれは、工事の年のずれとして出て、積立が間に合わない、という形で表れます。
精度が要るのは、計画の数字でお金や決定が動く場面です
計画の精度が問われるのは、計画の数字をそのまま使って、お金を動かしたり、何かを決めたりする場面です。次のような場面が近いなら、専門業者に頼む価値があります。
- 理事会で大きな工事を決める「この金額の根拠は」「なぜこの年か」に答えるには、数量と劣化の判定の根拠が要ります。理事会に出す資料の組み立ては理事会が見るのは見積ではなく、傷み・30年の総額・資金・先送りの4つですにあります。
- 補助を申請する補助の調査や申請では、工事の範囲と概算の額を示します。計画の数量がずれていると、申請の額と実際の工事費が合わなくなります。来年度の補助に向けた準備は令和9年度の修繕の補助は、まず県の調査が済んだかを確かめますにまとめています。
- 積立の額を決める30年の山の高さが数量と単価で決まるので、毎年の積立の額もそれで決まります。
- 建て替えか改修かを考える残りの年数に、どれだけの改修費がかかるかで判断が変わります。建て替えの時期の考え方は建て替えの時期は、築年数より耐震・設備の基準・配管で決まりますにあります。
- 複数の施設を比べる法人の中で、どの施設から手を入れるかを決めるには、同じ物差しで作った計画が要ります。
反対に、計画を、修繕の予定を職員で共有するために使うのであれば、自作の精度で足ります。まず自分たちで作り、大きな工事が近づいた時点で、その部位だけを専門業者に詳しく調べてもらう、という順番もあります。
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数量の精度:どれだけ直すかを、図面と現地で拾い直します
数量は、「どれだけ直すか」を表す数字です。外壁なら㎡、シーリング(目地のゴム状の材料)ならm、空調なら台で数えます。自分で作る計画では、図面から大まかに出すことが多く、ここで大きなずれが生まれます。専門業者は、図面の面ごとに拾い、現地で測り直して、数量表にまとめます。
| 部位 | 自分で拾うときに起きやすいずれ | 専門業者の拾い方 |
|---|---|---|
| 外壁 | 窓や出入口を引き忘れる。ひさしの裏や塀を落とす | 立面図から面ごとに拾い、開口部を引き、付属の部分を足す |
| 屋上の防水 | 平らな面だけを数え、立ち上がりを落とす | 立ち上がり・笠木・排水口のまわりまで拾う |
| シーリング | 長さが分からず、一式で置く | 目地の種類ごとに、mで拾う |
| 足場 | 外壁の面積と同じにする | 建物の外まわりと高さから、足場の面積で拾う |
| 配管 | 長さが分からず、更新の費用を置けない | 図面と現地で、系統ごとに拾う |
| 設備 | 台数だけで、能力や年式が分からない | 銘板で、能力と年式まで確かめる |
外壁は面積が大きいので、数量の1割のずれが、そのまま工事費の1割のずれになります。外壁の改修に数千万円かかる施設なら、数百万円の差です。足場も同じで、外壁の面積とは別に拾わないと、金額が実際より小さく出ます。
設備は、台数よりも能力と年式が大事な数字です。同じ空調でも、能力で単価が変わり、年式で更新の年が変わります。専門業者は銘板を1台ずつ確かめますが、施設に機器台帳があれば、その手間と費用を減らせます。
単価の精度:1単位いくらかを、工事の条件まで入れて当てます
単価は、「1単位いくらか」を表す数字です。同じ屋上防水でも、工法やグレード、面積の大きさ、地域、時期で単価が変わります。介護施設では、入居者の方が暮らす中で工事をすることが多く、その条件も単価に響きます。専門業者は、工法と工事の条件ごとに単価を当て、どの資料の、いつの単価かを書きます。
| 確かめること | 中身 | 抜けていると |
|---|---|---|
| 工法とグレード | 防水なら、どの工法で、何年もつ仕様か | 安い工法の単価で、計画が小さく出る |
| 単価の時点 | 何年何月の資料や見積にもとづくか | 古い単価のまま、計画が小さく出る |
| 仮設・養生・時間帯の割増 | 入居者の方がいる中の工事でかかる分 | 総額の2割〜4割が抜けることがある |
| 諸経費 | 現場の管理や、会社の経費の分 | 工事費だけの数字になり、見積と合わない |
| 消費税 | 税込みか、税抜きか | 予算と比べるときに1割ずれる |
入居者の方がいる中の工事では、仮設・養生・時間帯の割増が、総額の2割〜4割になることがあります。単価にこの分が入っているか、別の行で足してあるかを確かめます。中身と確かめ方は仮設・養生・割増の割合は、施設が渡す条件で変わりますにあります。
単価は、時間がたつと実際と合わなくなります。計画の単価が何年何月のものかが書かれていれば、見直すときに、どこを置き換えればよいかがすぐに分かります。専門業者に頼むときは、単価の出どころと時点を、計画の中に書いてもらいます。
劣化の程度の精度:いつ直すかを、調べた段階で前後させます
劣化の程度は、「いつ直すか」を決める数字です。修繕の周期は、たとえば防水で十数年というように幅で持ちます。その幅の中のどの年に工事を置くかを、実際の傷み方で決めます。専門業者は、目視に加えて、部位に合った方法で調べ、段階を付けます。
| 方法 | 分かること | 向いている部位 |
|---|---|---|
| 目視 | 色あせ、ひび、さび、膨れ、水のしみ | すべての部位の入口として |
| 打診 | タイルやモルタルの浮き | 外壁、ベランダの手すりの壁 |
| 赤外線での撮影 | 広い外壁の浮きの見当 | 足場を組まずに見たい高い外壁 |
| 配管の内視鏡・抜き取り | 管の中のさび、こぶ、詰まり | 給水・給湯・排水の管 |
| 運転の記録と測定 | 能力の落ち方、異常な音や温度 | 空調、ポンプ、受変電設備 |
段階の付け方は業者によって違いますが、上のように4段階ほどで、部位ごとに写真と対にして付けてもらうと使いやすくなります。「早めに直す」と判定された部位は、5年の計画の前のほうに移し、予算と補助の準備を始めます。
設備は、建物の部位と違い、壊れるまで見た目が変わらないことがあります。法定の耐用年数、部品の保有期間、実際の更新の目安を並べて見る考え方は設備の年数は、3種類を並べてから更新の時期を決めますにあります。専門業者には、点検の報告書や修理の記録も渡して、見た目だけで判定しないよう頼みます。
精度は、目的と部位に合わせて選べます
すべての部位を、いちばん詳しい方法で調べる必要はありません。費用の大きい部位と、近く工事が来る部位を詳しく、それ以外は図面と目視で、というように、部位ごとに深さを選べます。深さを選べば、同じ費用で、使える計画に近づけます。
| 深さ | 調べ方 | 向いている目的 | 費用と日数 |
|---|---|---|---|
| 簡易 | 図面と目視。数量は図面から拾う | 30年の山の見当、積立の額の見直し | 小さい |
| 標準 | 図面と現地の測り直し、目視と一部の打診 | 5年の計画、理事会での説明 | 中くらい |
| 詳細 | 打診・赤外線・配管の調査・設備の測定 | 大規模修繕の前、補助の申請、建て替えの判断 | 大きい |
たとえば、屋上と外壁は工事が5年以内に来そうなので詳細に、空調と給湯は台数と年式が大事なので標準に、内装は簡易に、という分け方です。依頼書には、部位ごとにどの深さで調べるかを書きます。そうすれば、業者ごとの見積も比べやすくなります。
大規模修繕が数年以内に来るなら、計画の調査を、そのまま工事の設計の調査に使えるかも考えます。改修の前には、建材に石綿が含まれていないかの事前調査も要ります。大規模修繕の進め方と石綿の調査の時期は大規模修繕は着工の2年前に動き出し、石綿の調査は設計の段階で済ませますにまとめています。
専門業者に頼む流れは、6つの段で進みます
専門業者に頼む流れは、目的を決めるところから、成果物を受け取って見直しの進め方を決めるところまで、6つの段で進みます。いちばん大事なのは最初の段です。何に使う計画かが決まっていないと、調べる範囲も深さも決まらず、見積を比べることもできません。
マンションについて国が示すガイドラインにも、専門家に計画の見直しを頼むときの考え方があります。発注の仕様書を作り、頼む業務の内容をはっきり示すことが必要とされています。介護施設でも同じで、依頼書に次のことを書いておくと、業者ごとの見積がそろいます。
- 計画の目的理事会の説明、補助の申請、積立の額など、何に使うか。
- 対象の範囲棟、部位、設備。対象から外すものも書く。
- 部位ごとの深さ簡易・標準・詳細のどれで調べるか。
- 計画の期間30年など。5年の計画の表も要るか。
- 成果物計画の表、数量表、単価の出どころ、写真と判定、表計算のファイル。
- 説明の回数中間報告と、理事会などでの説明が要るか。
頼む先は、建築士事務所、設備の設計事務所、建物の診断をする会社、施工会社などです。施工会社に頼むと、その会社がそのまま工事を受けたい立場になります。計画を作る人と工事をする人を分けるかどうかは、大きな工事の頼み方とつながります。設計監理方式と責任施工方式の違いは設計監理か責任施工かは、工事の大きさと施設の人手で選びますにまとめています。
施設が用意する物は、図面・記録・点検の報告書です
専門業者に渡す資料がそろっているほど、現地で調べ直す手間が減り、費用も日数も小さくなります。見積を頼む段階で、何があって何がないかを伝えると、業者も見積を出しやすくなります。
| 用意する物 | 何に使われるか | ないときは |
|---|---|---|
| 竣工図・設計図書 | 数量を拾う | 現地の測り直しが増え、費用と日数が増える |
| 機器台帳 | 設備の台数・年式・能力 | 業者が現地で銘板を見て回る |
| 修繕の履歴と請求書 | 前回の工事の年・工法・単価 | 周期を一般の目安で置くことになる |
| 点検の報告書 | 劣化の兆しと、指摘された所 | 調べる範囲が広がる |
| 過去の工事の契約書・保証書 | 使った材料と、保証の期限 | 工法の分からない部位が残る |
| 入居者の方の暮らしの時間割 | 調査の時間帯と、立ち入りの段取り | 調査の日程が組みにくくなる |
機器台帳は、竣工図と現地と保守の会社の3つから作れます。作り方は機器台帳は、竣工図と現地と保守の会社の3つで作りますにあります。建物の定期報告(建築基準法第12条の定期調査・検査)の対象の施設なら、その報告書も渡します。定期報告の中身は12条点検は4つに分かれ、防火設備の検査は別に受けますにまとめています。
現地の調査の日には、居室や浴室に入る時間、職員の付き添い、打診の音が出る時間帯を、業者と前もって決めます。入居者の方やご家族には、調査の日と、知らない人が建物の中を回ることを、前の週までに知らせておきます。
受け取る計画で、確かめること
計画を受け取ったら、表の合計の金額だけでなく、根拠がそろっているかを確かめます。根拠がない計画は、5年後に見直すときにも、理事会で聞かれたときにも使えません。次の表の6つを、中間報告と最後の受け取りの2回で見ます。
| 確かめること | 見る所 | 足りないとき |
|---|---|---|
| 数量の根拠 | 部位ごとの数量表と、拾った図面 | 数量表を出してもらう |
| 単価の出どころと時点 | 単価の表に、資料の名前と年月があるか | 出どころと時点を書き足してもらう |
| 劣化の判定と写真 | 部位ごとの段階と、写真の番号が対になっているか | 写真と判定を対にしてもらう |
| 仮設・割増の扱い | 入居者の方がいる中の工事の上乗せが入っているか | 別の行で足してもらう |
| 物価と消費税の扱い | 今の単価か、上がり分を足したか、税込みか | 前提を1ページにまとめてもらう |
| 元のデータ | 表計算のファイルで受け取れるか | PDFだけでは自分で直せないので頼む |
受け取りのときは、業者から説明を聞く時間を取ります。自分たちで5年後に見直すとき、どの数字をどこで直せばよいかを、その場で聞いておきます。次の見直しを同じ業者に頼むか、施設で行うかも、このときに決めておきます。
専門業者に頼む費用は、延床面積と調べる深さで決まります
長期修繕計画を専門業者に頼む費用は、技術者が何人で何日かかるかの積み上げで決まります。目安としては、目視が中心の調査と計画で数十万円からです。打診や配管の調査を加え、建物が大きければ、数百万円になることもあります。建物の大きさ、階数、調べる範囲と深さで大きく変わるので、見積で中身を比べます。
| 左右するもの | 費用への出方 | 見積で確かめること |
|---|---|---|
| 延床面積と階数・棟数 | 大きく高いほど増える | 対象の範囲と棟数 |
| 調べる深さ | 打診・赤外線・配管の調査で増える | 方法と、全面か一部か |
| 図面の有無 | ないと現地の測り直しが増える | 図面から拾う所と、測る所 |
| 設備の数 | 機器が多いほど増える | 設備の調べ方と台数 |
| 成果物 | 報告書の厚さと、データの形 | 表計算のファイルを含むか |
| 説明の回数 | 理事会などでの説明で増える | 何回の説明が入っているか |
見積を比べるときは、総額だけでなく、何人が何日、どの方法で調べるかを並べます。安い見積が、目視だけで数量を図面から拾うだけ、ということもあります。目的に合った深さかどうかで比べます。
施工会社の無料の劣化の診断で、計画の代わりにすることもできます。ただ、工事を受けたい立場からの診断なので、数量と単価の根拠を確かめ、大きな工事の前には中立の立場の見立てと比べてから決めます。営繕のコンサルや診断の費用の考え方は営繕の代行は手間に、コンサルは判断の材料に費用を払いますにまとめています。
モデルケース:自作の計画と見積が合わなかった老健
モデルケース:定員80名の介護老人保健施設(医療法人・築26年)
計画と見積の差が、1割ほどに収まった
変わったこと(結果)
長期修繕計画を専門業者に頼み直したところ、外壁と屋上の改修の金額が、そのあとに取った見積と1割ほどの差に収まりました。自作の計画のときは、見積が計画の1.5倍ほどになっていました。毎年の5年の計画の見直しも、受け取った表計算のファイルの単価を置き換えるだけになり、2週間ほどかけていたのが2日ほどで終わるようになりました。
背景と、困っていたこと
事務長は、竣工図と一般の費用の目安から、自分で30年の計画を作っていました。外壁の面積は、建物の外まわりの長さに高さをかけて出していました。外壁の改修の見積を取ると、計画の金額を大きく超えました。足場の面積を外壁と同じにしていたことと、塀やひさしを落としていたことが、あとで分かりました。理事会では「計画の数字は何だったのか」と聞かれました。
決めたこと
事務長は、計画を、理事会の説明と、数年後の補助の申請に使うと決めました。屋上と外壁は詳細に、空調・給湯・エレベーターは標準に、内装は簡易に調べる依頼書を作り、2社に同じ条件で見積を頼みました。成果物には、数量表、単価の出どころ、写真と判定、表計算のファイルを入れてもらいました。
進めてみて分かったこと
迷ったのは費用でした。2社の見積は約90万円と約140万円で、自分で作れたものに払う価値があるかを考えました。決め手は、外壁の改修の見積と自作の計画の差が、その費用より大きかったことです。屋上は判定が「経過を見る」となり、改修を3年後ろにずらせました。
このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。
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専門業者に頼まなくてよい場面もあります
専門業者に頼むのが、いつも正しいとは限りません。次のような場面では、まず自分たちで作り、必要な部位だけを頼むほうが、費用に見合います。
- 建物が小さく、設備が少ないグループホームなど小さな施設は、部位と設備の数が少なく、職員でも数量を拾えます。
- 築年数が浅く、図面と台帳がそろっている竣工図と機器台帳があれば、数量と年式の精度は自作でも高くなります。
- 大規模修繕の設計がすぐに始まる設計の段階で詳しい調査をするので、計画のためだけに調べると二度手間になります。
- 計画の目的が、職員の共有だけ修繕の予定を共有するためなら、自作の精度で足ります。
自分で作った計画でも、5年ごとの見直しのたびに、修繕の履歴と点検の結果で数字を直していけば、精度は上がっていきます。マンションについて国が示すガイドラインも、計画は5年程度ごとに見直す前提で作るとしています。頼むか迷うときは、次の見直しの年に合わせて決める、という考え方もあります。
計画を頼みやすくするために、平常時にしておくこと
平常時にしておくこと
- 竣工図と設計図書の置き場所を確かめ、なければ控えを探す
- 機器台帳に、能力と年式まで書いておく
- 修理と工事の記録に、工法と単価を残す
- 点検の報告書を、1つのフォルダにまとめる
- 計画を何に使うかを、法人の中で決めておく
計画に入れる工事の費用を、今の単価で確かめたいときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。工事の場所と中身をお送りいただければ、同じ条件で最大3社に見積を頼めます。相談と見積は無料で、お断りもできます。30年の計画そのものを作る仕事は、建築士事務所などの専門業者に頼むほうが向いています。
よくある質問
長期修繕計画を専門業者に頼むと、自分で作った計画と何が変わりますか
数量・単価・劣化の程度の3つの精度が変わります。数量は図面と現地で拾い直し、単価は工法と工事の条件まで入れ、劣化の程度は目視に加えて打診や測定で段階を付けます。数量表や写真など、根拠の書類も付きます。
長期修繕計画の作成は、どんな業者に頼めますか
建築士事務所、設備の設計事務所、建物の診断をする会社、施工会社などです。施工会社は工事を受けたい立場でもあるので、計画を作る人と工事をする人を分けるかを、先に考えておきます。
長期修繕計画を外に頼む費用は、どのくらいですか
目安として、目視が中心の調査と計画で数十万円からです。打診や配管の調査を加え、建物が大きければ数百万円になることもあります。見積では、何人が何日、どの方法で調べるかを比べます。
工事会社の無料の劣化診断で作った計画でも、使えますか
使えますが、工事を受けたい立場からの診断です。数量と単価の根拠を確かめ、大きな工事の前には、中立の立場の見立てと比べてから決めます。
専門業者に計画を頼む前に、施設で用意する資料は何ですか
竣工図などの設計図書、機器台帳、修繕の履歴と請求書、点検の報告書、過去の工事の契約書と保証書です。そろっているほど、現地で調べ直す手間が減り、費用と日数が小さくなります。
竣工図がない施設でも、長期修繕計画を頼めますか
頼めます。ただ、数量を現地で測り直す手間が増えるので、費用と日数が増えます。施工会社や設計事務所、法人の本部に控えが残っていないかを、先に探しておきます。
劣化の調査の日に、入居者の方への配慮は何が要りますか
居室や浴室に入る時間、職員の付き添い、打診の音が出る時間帯を、業者と前もって決めます。入居者の方とご家族には、調査の日と、知らない人が建物の中を回ることを、前の週までに知らせます。
劣化の程度は、どのような方法で調べてもらうのですか
目視に加えて、外壁は打診や赤外線での撮影、配管は内視鏡や抜き取り、設備は運転の記録と測定で調べます。部位ごとに段階を付け、写真と対にしてもらうと使いやすくなります。
受け取った長期修繕計画で、最初に確かめることは何ですか
部位ごとの数量表、単価の出どころと時点、劣化の判定と写真が対になっているかを確かめます。仮設や割増、物価と消費税の扱いの前提も、1ページにまとめてもらいます。
長期修繕計画は、PDFで受け取れば足りますか
PDFだけでは、施設で数字を直せません。表計算のファイルも一緒に受け取ると、5年ごとの見直しで、単価や工事の年を自分たちで置き換えられます。
専門業者に作ってもらった計画は、その後どう更新すればよいですか
5年程度ごとに、修繕の履歴と点検の結果で、単価と工事の年を直します。受け取るときに、どの数字をどこで直すかを聞いておき、次の見直しを頼むか施設で行うかを決めておきます。
計画を作った業者に、そのまま工事を頼んでもよいですか
頼めます。ただ、比べる材料が減るので、計画の数量表を土台に仕様をそろえ、ほかの会社の見積とも比べます。設計と工事を分ける頼み方もあります。
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