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外注・効率化

定期の営繕契約は、
頻度・範囲・費用の順に決めます

小さな修理のたびに業者へ電話をして、来てもらえるのは何週間も先。そんな状態が続くと、「定期的に来てくれる業者はないか」と探したくなります。ところが条件を決めずに聞くと、答えは「月にいくら」「1回いくら」「1件いくら」とばらばらで、比べられません。この記事では、定期の契約を頻度、範囲、費用の順に決める方法と、決めた条件で業者を探して比べる手順をまとめます。

構成:介護施設 修繕の窓口監修:鈴木貴行(介護施設営繕・修繕専門家)更新:読む時間:約19分

この記事が答える質問老人ホームの営繕を定期的に依頼できる業者を探しています。定期契約は何から決めればよいですか?

老人ホームの営繕を定期的に頼める業者は、多能工の会社、地元の工務店、設備会社、施設管理の会社などにいます。探す前に、契約の条件を頻度・範囲・費用の順に決めます。頻度は、1年の修理の件数から急ぎのものを除き、1回の巡回で直せる件数(職人1人の1日で7〜10件ほど)で割って出します。範囲は、建具・水回り・照明・点検の立ち会い・記録の5つから選びます。費用は最後に、巡回1回ごと・月額・件数ごとのどの形かと、何が含まれるかで比べます。巡回の日は曜日で固定し、急ぎの修理は定期とは別の扱いにします。

この記事の結論

  1. 定期で頼める業者は、条件を1枚に書いてから同じ紙で探す
  2. 頻度は、1年の件数から急ぎを除き、1回で直せる件数で割る
  3. 範囲は、建具・水回り・照明・立ち会い・記録の5つから選ぶ
  4. 費用は最後に、3つの形と「含まれるもの」で比べる
  5. 巡回の日は曜日で固定し、急ぎの修理は別の扱いにする

定期で頼める業者は、条件を決めてから探します

老人ホームの営繕を定期的に頼める業者は、多能工の会社、地元の工務店、設備会社、施設管理の会社などにいます。どの会社も、月に1回などの決まった日に来て、たまった小さな修理を直す形を受けることがあります。

ただ、条件を決めずに「定期で来てもらえますか」と聞くと、答えは会社ごとにばらばらになります。ある会社は1回いくら、別の会社は月額、また別の会社は1件いくら、という具合です。先に頻度・範囲・費用の形を決めて1枚の条件書にし、同じ紙で2〜3社に聞くと、答えを並べて比べられます。

定期の巡回を頼める先と、それぞれの受け方
頼み先定期の受け方強み気をつけること
多能工の会社月1回などの巡回で、分野をまたいだ小さな修理をまとめて直す1人で建具も水回りも見られる電気や水道の資格の要る作業は、協力会社に回すことがある
地元の工務店大工仕事が中心。定期より「近くに来たついで」が多い建物の癖を知っていて、距離が近い大きな工事の時期は、巡回の日が先に延びやすい
設備会社水回りや空調の点検とあわせて、決まった月に回る設備の修理に強く、部品を持っている建具や内装は受け持たないことが多い
施設管理の会社点検・清掃・警備の委託の延長で、小さな修理も受ける点検で見つけた不具合を、そのまま修理に回せる修理は委託費の外になることが多い
窓口型のサービス巡回ではなく、相談ごとに分野の業者を手配する分野がばらばらな修理も1か所で済む定期の巡回は、別に決めておく

施設管理の会社と契約がある施設は、まずその契約に修理が含まれているかを確かめます。点検の委託と修理の境目はビルメンテナンスの委託費と、修理の費用は分けて見ますで書いています。近くの業者を探すときは、市区町村の名前より、施設までの時間と部品の置き場からの距離で選ぶほうが確かです。巡回の日に部品が足りなくても、置き場が近ければその日のうちに取りに戻れます。地域での探し方は近くの業者は、市区町村の名前より着くまでの時間で選びますにまとめています。

件数を数えてから頻度・範囲・費用の順に決め、最後に巡回の日と急ぎの扱いを決める。定期契約を決める順番1. 件数を数える(前の年の請求書と記録から)2. 頻度を決める3. 範囲を決める4. 費用の形を比べる5. 巡回の日と急ぎの扱い
図1 件数を数えてから頻度・範囲・費用の順に決め、最後に巡回の日と急ぎの扱いを決める。

順番には理由があります。費用から決めると、払える額に合わせて回数や範囲を削ることになり、直したい修理が残ってしまいます。頻度と範囲が先に決まれば、業者は何人で何時間かかるかを見積もれるので、費用の答えがそろいます。

定期の範囲に入らない修理や、分野の違う修理は、そのつど窓口に相談する方法もあります。当窓口はフォームとLINEで24時間受け付けていて(お電話の受付はありません)、1回のご依頼で最大3社の見積をそろえます。

何より助かったのは、私自身が一から業者を探して何社にも電話をする必要がなかったことです。

ご利用者の声 東京都内・介護施設/事務長

取材にもとづき掲載しています(施設名は非公開)。内容はご本人の申告によるもので、個人の感想です。

頻度は、1年の修理の件数から割り出します

巡回の頻度は「月に1回くらい」と感覚で決めず、1年に出る修理の件数から割り出します。件数に対して回数が少ないと、一覧が終わらずに修理が積み残されます。反対に回数が多すぎると、来てもらっても直すものがない日が出ます。割り出し方は、次の4つの段です。

  1. 1年分を集める前の年の請求書、修理の記録、申し送りのノートから、修理を1件ずつ書き出します。
  2. 急ぎを分けるその日のうちに業者を呼んだものと、何日か待てたものに分けます。
  3. 月あたりにする待てたものの件数を12で割り、月あたりの件数を出します。
  4. 1回の件数で割る業者に「1回の巡回で何件ほど直せるか」を聞き、月あたりの件数を割ります。

1回の巡回で直せる件数は、作業の中身と建物の広さで変わります。職人1人が1日回る巡回なら、7〜10件ほどが目安です。戸車の交換のように部品を替えるだけの作業が多い日は件数が伸び、壁の補修のように乾くのを待つ作業が入る日は件数が減ります。

1年の修理の件数から、巡回の頻度を出す(例)
1年の件数急ぎを除くと月あたり頻度の目安
40件30件ほど2〜3件2か月に1回か、たまったときに呼ぶ
120件90件ほど7〜8件月に1回
200件150件ほど12〜13件月に2回
320件240件ほど20件ほど月に2〜3回。週1回や常駐の形とも比べる

急ぎの割合は、例として4分の1にしています。実際の割合は施設ごとに違うので、自分の施設の記録で数えます。

件数は季節でも増えたり減ったりします。たとえば夏は空調の不調、冬は給湯や結露の相談が増えやすくなります。いちばん多い月に合わせて頻度を決めると、ほかの月に直すものがなくなります。1年の平均で頻度を決め、件数の多い月だけ臨時の1回を足す決まりにしておくと、むだが出にくくなります。

記録が残っていない施設は、まず3か月、職員が気づいた修理を1枚の表に書きためます。その間は月1回で始め、3か月分の件数で頻度を決め直します。小さな修理をまとめて頼むと業者が受けやすくなる理由は小さい工事が断られるのは、1人工という単位のせいですに書いています。

相談・見積は無料|お断り可・理由は不要

範囲は、建具・水回り・照明・立ち会い・記録から選びます

頻度が決まったら、巡回で何を任せるかを決めます。範囲は、建具、水回り、照明、点検の立ち会い、記録の5つに分けると決めやすくなります。5つすべてを任せる必要はありません。施設の中で回っていることは残し、手が回っていないものから任せます。

定期の範囲に入れるもの・入れにくいもの
範囲定期で頼めることの例定期に入れにくいこと
建具戸車やドアクローザーの調整、引き戸のレール、鍵や取っ手のゆるみ自動ドアの機械(メーカーの保守の範囲)
水回り水栓のパッキンや部品の交換、軽い詰まり、便座のゆるみ給水管の工事(指定工事店が行う)、給湯器の本体
照明ランプの交換、点灯の確かめ、カバーの汚れ取り器具の交換や配線(電気工事士の資格が要る作業)
点検の立ち会い法定点検の日の案内、鍵の開け閉め、結果の受け取り点検そのもの(資格を持つ会社が行う)
記録直した内容と写真、次に直す候補、件数の集計長期の修繕計画づくり(別の契約)
5つから任せるものを選び、対象外の設備も書いておく。定期の範囲は、5つと「対象外」建具戸車・扉の調整水回り水栓・軽い詰まり照明ランプの交換点検の立ち会い案内と鍵の開閉記録写真と件数の集計対象外保守契約の設備
図2 5つから任せるものを選び、対象外の設備も書いておく。

範囲を書くときは、「建具の修理」のような大きな言葉で終わらせません。「戸車の交換」「ドアクローザーの速さの調整」と、作業の名前まで書きます。作業の名前があると、業者は持ってくる工具と部品を決められ、職員は一覧に書いてよい修理が分かります。介護施設で多い小さな修理の種類は「ちょっとした修理」は、職人の種類ごとに束ねて頼みますで一覧にしています。

資格の要る作業は、範囲の中でも線を引きます。照明器具の交換やコンセントの修理には、電気工事士の資格が要る作業があります。給水管の工事は、自治体の指定を受けた工事店が行います。定期の業者が資格を持っていないときは、その作業だけ資格を持つ会社に回す決まりにします。電気の作業の線は電気設備の修理を頼む先は、受電の形と作業の中身で決まりますで確かめられます。

保守契約のある設備は、見て伝えるところまでにします

エレベーター、特殊浴槽、ナースコール、給湯器は、メーカーや保守の会社と契約していることが多い設備です。定期の業者が手を入れると、保証や保守の契約に響くことがあります。こうした設備は、定期の範囲では「見て、気づいて、伝える」までにします。

保守契約のある設備で、定期の業者に頼むこと
設備定期の業者に頼むこと直す先
エレベーター異音や、止まる位置のずれに気づいたら記録する保守の会社
特殊浴槽エラーの表示や、床の水の跡を写真に撮るメーカーや保守の会社
ナースコール鳴らない部屋、表示の出ない子機を一覧にする代理店や保守の会社
給湯器銘板とエラーの表示を写し、湯温のむらを伝える契約の会社やガス会社
消防設備表示灯の消えや、感知器の前の物を伝える点検の会社

巡回の人は施設の中を歩き回るので、職員が気づきにくい場所の異変を見つけやすい立場にいます。機械室の床の水たまり、屋上の排水口の詰まり、表示灯の消えなどを報告に書いてもらうと、保守の会社に早めに伝えられます。

ただし、見つけたことを保守の会社に伝えるのは、施設の担当者の仕事として残します。巡回の業者が保守の会社に直接連絡すると、誰が何を頼んだのかが施設に残らないからです。点検・保守・修繕の違いはメンテナンス業者と修繕業者は、別のものですで整理しています。

費用は最後に、3つの形と「含まれるもの」で比べます

頻度と範囲が決まって、はじめて費用を聞きます。定期の契約の費用は、巡回1回ごと、毎月同じ月額、直した件数ごとの3つの形で示されます。同じ巡回でも形が違うと、金額をそのまま比べられません。比べるときは、1年の見込みの件数を当てはめて、年間の額にそろえます。

定期契約の費用の3つの形
形払い方含まれやすいもの向いている施設
巡回1回ごと来た回数ごとに払うその日の移動と作業の手間。部品は別のことが多い件数が月によって大きく動く施設
月額毎月同じ額を払う決まった回数の巡回、受付、報告。修理の範囲は契約で線を引く件数が毎月ほぼ同じで、予算を平らにしたい施設
件数ごと直した件数×単価で払う1件ごとの作業。出張費は別の行のことがある件数が少なく、巡回を置くほどでない施設

どの形でも、部品と材料、取り外した物の処分、夜間や休日の呼び出しは、別の行になりやすい費用です。「巡回費に含む」と書かれていても、何が含まれるのかは会社で違います。移動、作業の手間、部品、処分、報告書を1行ずつ並べ、含まれるか別かを書き込んでから比べます。

含まれるものを1行ずつ書き出し、同じ行どうしで比べる。巡回の費用に、含まれるか・別か含まれやすいもの別になりやすいもの決まった日の移動巡回の時間内の手間見回りと簡単な調整月ごとの報告部品と材料取り外した物の処分夜間・休日の呼び出し資格の要る作業「一式」は、行に分けてもらう
図3 含まれるものを1行ずつ書き出し、同じ行どうしで比べる。

物差しとして、職人1人が1日働く手間(1人工)の値段を知っておくと、巡回1回の額が高いか安いかの見当がつきます。料金の4つの形と相場の目安は営繕の外注費は、4つの料金の形で見え方が変わりますにまとめています。修理まで月額に含めにくい理由は営繕の定額契約は、読める仕事だけを定額にしますで書いています。

月額の形を選ぶときは、金額の線も決めます。1件いくらまでは月額の中で直し、超えるものは見積を出してもらって施設が承認する、という線です。線がないと、月額のつもりが毎月の追加の請求で膨らむことがあります。

巡回の日は、曜日と時間で固定します

巡回の日は「来られるときに来てもらう」のではなく、「毎月第1火曜の9時半から」のように曜日と時間で固定します。固定すると、職員は修理を一覧に書く締め切りが分かり、業者は1年先まで職人の予定を押さえられます。

曜日と時間を固定すると、施設と業者の予定がそろう。巡回の日を固定すると、決まること職員一覧に書く締め切りが分かる業者職人の予定を1年先まで押さえる事務承認と支払いが毎月同じ流れ入居者の方作業の音がする日が分かる
図4 曜日と時間を固定すると、施設と業者の予定がそろう。

時間は、食事・入浴・お昼寝の時間帯を避けて決めます。居室の作業は、入居者の方がフロアで過ごしている時間にまとめると、部屋に入る回数が減ります。祝日や行事、運営指導の予定と重なる月は、前の月のうちに日をずらす決まりにしておきます。

一覧を業者に送る日も、巡回の日から逆に数えて決めます。たとえば巡回の1週間前に写真付きの一覧を送ると、業者は部品をそろえてから来られます。当日の時間割と、前日までの準備は小さな修繕は、月1回の巡回で1日7〜10件を直せますにまとめています。

急ぎの修理は、定期とは別の扱いにします

定期の巡回は、急がない修理をまとめるための仕組みです。急ぎの修理まで巡回の日に回すと、入居者の方の安全や暮らしが止まります。契約の前に、急ぎのときの決まりを定期とは別に作ります。どの修理を急ぎとするか、誰に連絡するか、どのくらいで来てもらえるか、費用はどうなるか、の4つです。

待てない修理は急ぎの連絡先へ、待てる修理は巡回の一覧へ回す。その修理は、巡回まで待てるか次の巡回の日まで待てるか待てないその日のうちに別に連絡出張費と割増は別待てる巡回の一覧に書く写真と場所を添える
図5 待てない修理は急ぎの連絡先へ、待てる修理は巡回の一覧へ回す。
定期と別に扱う修理と、連絡の仕方
分け方修理の例連絡の仕方
その日のうちに手すりのぐらつき、床のめくれ、水漏れ、トイレの詰まり、夜に暗くなる廊下の照明急ぎの連絡先に電話し、写真を送る
保守契約の設備特殊浴槽、エレベーター、ナースコール、給湯器の止まり保守の会社に直接連絡する
次の巡回まで引き戸の重さ、網戸の破れ、カーテンレールの外れ、壁紙のはがれ、戸当たりのゴム巡回の一覧に書く

迷う修理は、急ぎの側に入れます。入居者の方が転んだり、けがをしたりする心配があるもの、衛生や暮らしが止まるものは、次の巡回を待ちません。

急ぎの呼び出しは、巡回の費用とは別に、出張費と作業の費用がかかるのがふつうです。夜間と休日は割増になることもあります。急ぎの連絡先、来られるまでの目安、割増の額を、平日の日中・夜間・休日に分けて契約書に書いておきます。休日に来てもらえる業者の決め方は土日祝に修理を頼める業者は、平日のうちに決めておきますにまとめています。

報告の様式は、契約の前に決めておきます

巡回のあとに何を受け取るかも、契約の前に決めます。報告の様式が決まっていないと、「直しておきました」の一言で終わり、何を直したのか、何が残っているのかが施設に残りません。

巡回のあとに受け取る報告の項目
項目中身
直した場所と内容部屋の番号や設備の名前と、何をしたか
写真直す前と直したあと
使った部品型番と数と金額
作業の時間何時から何時まで、何人で作業したか
直せなかったもの理由と次にすること(部品待ち・見積が要る・保守の会社へ)
気づいたこと見回りで見つけた傷みや、更新が近い設備

報告は、巡回の日から1週間以内などと期限を決めて、紙かデータで受け取ります。毎月の報告を1年分つなげると、どの場所で同じ修理がくり返されているかが見えます。同じ場所を1年に何度も直しているなら、部品の交換ではなく、作り替えや更新を考える時期です。

受け取った報告は、業者の連絡先や依頼の履歴とあわせて残しておくと、担当者が替わっても定期の契約を続けられます。業者台帳の作り方は修理業者を毎回探す手間は、業者台帳で消せますにまとめています。

契約の前に、11の項目を書面で確かめます

頻度・範囲・費用が決まったら、契約書に入れる前に、次の項目を業者と1つずつ確かめます。口頭で「大丈夫です」と言われたことも、書面に残します。

定期契約の前に確かめる項目
項目確かめること
範囲5つのうちどれを任せるか。対象外の設備はどれか
頻度と曜日月に何回、何曜日の何時から何時までか
人数と時間1回に何人で、何時間作業するか
費用の形巡回1回ごと・月額・件数ごとのどれか
含まれるもの移動・作業の手間・部品・処分・報告のどれが入るか
部品の扱い実費か、1件いくらまで含むか。よく使う部品を持ってくるか
承認の金額いくらを超える修理は、先に見積を出して施設が承認するか
急ぎの対応連絡先、来られるまでの目安、夜間・休日の割増
報告様式と、いつまでに受け取るか
期間と見直し契約の期間、見直しの時期、解約の申し出の期限
資格と保険電気・水道の資格を持つ人は誰か。賠償責任保険に入っているか

契約の期間は1年にして、件数と費用を見て見直せる形にしておくと、頻度や範囲を変えやすくなります。自動で更新される契約は、見直しの申し出が何か月前までかも確かめます。工事の契約書で確かめる点の全体は工事の契約書は、追加と事故の扱いから読みますにまとめています。

定期の巡回で直す小さな修理は、1件の請負代金が500万円に届かない工事なので、建設業の許可がない会社でも請け負えます。許可の有無よりも、資格の要る作業を誰がするかと、作業中の事故に備える保険に入っているかを確かめます。

モデルケース:都度の電話から、月2回の巡回に切り替えた特養

モデルケース:定員80名の特別養護老人ホーム(従来型)

小さな修理が、2週間以内に直るようになった

変わったこと(結果)

前の年の件数から割り出して、月2回の巡回に切り替えました。職員が気づいてから小さな修理が直るまでの日数は、3〜4週間から2週間以内になりました。事務長が業者に電話する回数も、月に15回ほどから、巡回の前に一覧を送る2回と、急ぎの連絡だけになりました。

背景と、困っていたこと

このホームでは、修理のたびに地元の工務店へ電話していました。工務店は大きな工事の合間にしか来られず、急がない修理は後回しになりがちでした。法人の本部から「定期で来てくれる業者を探すように」と言われ、3社に「月にいくらで来てもらえるか」と聞きました。返ってきたのは1回いくら、月額、1件いくらとばらばらの答えで、どれが安いのか比べられませんでした。

決めたこと

事務長は、前の年の請求書と申し送りのノートから修理を数えました。1年で約190件あり、その日に呼んだ急ぎのものが40件ほどでした。残りの150件、月にして12〜13件を巡回に回せると分かりました。毎週来てもらう案も出ました。けれども1回で7〜10件直せると聞いて割り算をすると、月2回で足ります。そこで、第1と第3の火曜日の9時半から15時に決めました。範囲は建具・水回り・照明・記録の4つにし、点検の立ち会いは施設に残しました。この条件を1枚に書き、2社から同じ形で見積を取り直して選びました。

進めてみて分かったこと

6月と11月は件数が増え、2回では終わらない月がありました。この2か月だけ臨時の1回を足す決まりにしています。また、一覧に写真と型番を添えるようにしてから、部品がなくてもう一度来てもらうことが減りました。

このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。

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定期契約で起きやすい行き違いと、防ぎ方

定期の契約は、始めて3か月ほどのあいだに行き違いが出やすくなります。多くは、決めたはずのことが職員や業者の担当者に伝わっていないことが原因です。起きやすいことと、先に打てる手を並べておきます。

定期契約で起きやすいことと、防ぎ方
起きやすいこと防ぎ方
巡回の日に直すものが少ない見回りや予防の作業を頼む。少ない月が続くなら頻度を下げる
一覧が多すぎて終わらない急ぐ順を付け、残りは次回に回す。続くなら頻度を上げる
部品がなく、もう一度来ることになる写真と型番を、巡回の1週間前に送る
急ぎの修理まで巡回の日に回される急ぎの線と連絡先を契約に書き、職員に伝える
職員が業者に直接頼んでしまう一覧に書く人と、業者に送る人を1人に決める
報告が届かず、何を直したか分からない報告の期限と様式を契約に書く
担当の職人が替わり、施設の決まりが伝わらない入館の手順や避ける時間帯を1枚にして渡す

行き違いが出たら、契約を替える前に、月ごとの報告をもとに業者と話し合います。件数、直るまでの日数、追加で払った額の3つを前の月と並べると、どこで止まっているかが分かります。

巡回を頼む前に、平常時にしておくこと

平常時にしておくこと

  • 前の年の請求書と記録から、修理の件数を数えておく
  • 急ぎの修理と、巡回まで待てる修理の線を職員と決める
  • 定期の範囲と、対象外の設備を1枚に書く
  • 巡回の日を、年間の行事の予定表に入れる
  • 急ぎの連絡先と保守の会社の連絡先を、詰所と事務室に貼る

巡回の日は、年度の初めに12か月分をまとめて決めておくと、行事と重なりにくくなります。

定期で来てくれる業者を探したい、条件書の書き方を相談したい、というときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。頻度・範囲・費用の形を書いた条件をお送りいただければ、同じ条件で最大3社の見積をそろえます。相談と見積は無料で、お断りもできます。

よくある質問

老人ホームの営繕を、定期的に来て直してくれる業者はどこで探せますか

多能工の会社、地元の工務店、設備会社、施設管理の会社などが、定期の巡回を受けています。探す前に頻度・範囲・費用の形を1枚の条件書にし、同じ条件で2〜3社に聞くと比べられます。

くわしく:近くの業者は、市区町村の名前より着くまでの時間で選びます

定期の巡回は、月に何回来てもらえば足りますか

1年の修理の件数から急ぎを除き、1回の巡回で直せる件数で割って決めます。職人1人の1日で7〜10件ほど直せるとすると、月7〜8件なら月1回、月12〜15件なら月2回が目安です。

くわしく:小さな修繕は、月1回の巡回で1日7〜10件を直せます

修理の記録がなく、1年の件数が分かりません

まず3か月、職員が気づいた修理を1枚の表に書きためます。その間は月1回の巡回で始め、3か月分の件数で頻度を決め直します。

定期契約に入れる範囲は、どう決めればよいですか

建具・水回り・照明・点検の立ち会い・記録の5つから、施設で手が回っていないものを選びます。対象外の設備と、資格の要る作業を誰がするかも書いておきます。

定期の巡回の費用は、どんな形で請求されますか

巡回1回ごと、毎月同じ月額、直した件数ごとの3つの形があります。部品や処分は別の行になることが多いので、含まれるものを1行ずつ確かめてから比べます。

くわしく:営繕の外注費は、4つの料金の形で見え方が変わります

月額を払えば、修理も全部やってもらえますか

修理まで全部を月額に含めるのはむずかしいことです。件数・部品・時間が前もって読めないため、業者は上乗せするか対象を狭く書くことになります。巡回と受付は月額、修理は単価で精算、と分ける形が現実的です。

くわしく:営繕の定額契約は、読める仕事だけを定額にします

巡回の日以外に壊れたときは、どうなりますか

急ぎの修理は定期とは別の扱いにして、連絡先、来られるまでの目安、割増の額を契約に書いておきます。次の巡回まで待てる修理だけを一覧に回します。

くわしく:土日祝に修理を頼める業者は、平日のうちに決めておきます

巡回の曜日と時間は、どう決めればよいですか

食事と入浴の時間を避けた平日の時間帯に、曜日で固定します。「第1・第3火曜の9時半から」のように決めると、職員が一覧に書く締め切りと業者の予定がそろいます。

エレベーターや特殊浴槽も、定期の業者に直してもらえますか

保守契約のある設備は、保守の会社が直すのが基本です。定期の業者には、異音やエラーの表示に気づいたら写真を撮って伝える、見回りの役を頼みます。

くわしく:メンテナンス業者と修繕業者は、別のものです

定期の業者に、法定点検の立ち会いも任せられますか

任せられます。点検の日の案内、鍵の開け閉め、結果の受け取りまでが範囲です。点検そのものは、資格を持つ点検の会社が行います。

定期契約を結ぶ前に、何を確かめておけばよいですか

確かめるのは11の項目です。範囲、頻度と曜日、人数と時間、費用の形、含まれるもの、部品の扱いを確かめます。さらに承認の金額、急ぎの対応、報告、期間と見直し、資格と保険を書面に残します。

定期契約は、どのくらいの間隔で見直せばよいですか

1年ごとに、件数・直るまでの日数・費用を前の年と比べて見直します。終わらない月が続くなら頻度を上げ、直すものが少ない月が続くなら下げます。

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施設のよくある困りごとの一覧はよくある困りごと、頼み先の一覧は設備別の頼み先、ご相談の流れはご相談の流れにまとめています。

監修者

鈴木貴行|介護施設営繕・修繕専門家

  • 30年以上営繕・設備管理の経験
  • 1,000施設超関わった介護・高齢者施設
  • 3,000件超修繕・設備改善の案件

介護施設の営繕・設備管理に30年以上携わり、1,000施設を超える介護・高齢者施設の現場に関わってきました。老人ホームの営繕を定期的に頼むときの、頻度・範囲・費用の決め方と、契約の前に確かめる項目を監修しています。

経験した施設
特別養護老人ホーム有料老人ホームグループホームデイサービスサービス付き高齢者向け住宅
専門分野
給排水空調電気・照明トイレ・浴室床・壁扉・建具ナースコール
  • 建設業法第3条(建設業の許可)・建設業法施行令第1条の2(軽微な建設工事)
  • 電気工事士法(電気工事士でなければできない作業)
  • 水道法(指定給水装置工事事業者の制度)

制度や基準、費用の目安は変わることがあります。手続きや工事の前に、最新の資料と、現地を確かめた見積でご確認ください。

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