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修繕管理の代行は、
誰の名前で発注するかで責任が変わります

老人ホームの修繕管理を外に任せたい。そう考えて代行の会社に話を聞くと、会社ごとに契約の説明が違い、比べにくいことがあります。違いの大もとは、工事を施設の名前で発注するのか、代行の会社が自社の名前で発注するのかです。それによって、不具合が出たときに誰に言うのか、お金がどう流れるのか、法人の決まりがどこにかかるのかが変わります。この記事では、2つの形の違いと、契約書で見ておく所を順に書きます。

構成:介護施設 修繕の窓口監修:鈴木貴行(介護施設営繕・修繕専門家)更新:読む時間:約19分

この記事が答える質問老人ホームの修繕管理を外注できますか?

老人ホームの修繕管理は外注できます。ただし営繕の代行には2つの形があり、工事が誰の名前で発注されるかで、施設の立場と責任が変わります。1つは、施設が工事の会社と直接契約し、代行は業者探し・見積の取りまとめ・日程の調整・記録を受け持つ形です。代行との契約は、事務を任せる準委任になります。もう1つは、代行の会社が元請として施設と工事の請負契約を結び、自社の名前で専門の会社に発注する形です。工事の不具合の責任は、前者では工事の会社に、後者では元請の代行の会社にあります。契約の前に、発注の名前、不具合の連絡先、支払いの流れ、代行の費用の形を書面で確かめます。

この記事の結論

  1. 老人ホームの修繕管理は外注できる。違いは誰の名前で発注するか
  2. 施設の名前で発注し、代行が取り次ぐ形(代行とは準委任)
  3. 代行の会社が元請になり、自社の名前で発注する形(請負)
  4. 不具合の責任・支払いの流れ・法人の決まりのかかり方が変わる
  5. 代行は丸投げと違い、承認と記録を施設が持つ

老人ホームの修繕管理は、外注できます

老人ホームの修繕管理は、外に任せられます。修理の受付、業者探し、見積の取りまとめ、工事の日程の調整、完了の確かめ、記録まで、多くを営繕の代行に頼めます。

ただ、代行の会社に話を聞くと、同じ「代行」でも、契約の中身が会社ごとに違います。いちばん大きな違いは、工事の契約を誰の名前で結ぶかです。施設の名前で工事を発注し、代行は手配と事務を受け持つ会社もあれば、代行の会社が元請になり、自社の名前で工事の会社に発注する会社もあります。

修繕管理の仕事と、契約の形ごとの受け持ち
仕事施設の名前で発注する形代行が元請になる形
不具合の受付代行が受けて整理する代行が受けて整理する
業者探しと見積代行が集め、施設が選ぶ代行が下請を選び、自社の見積を出す
工事の契約施設と工事の会社が結ぶ施設と代行の会社が結ぶ
工事の日程と立ち会い代行が調整し、施設が承認する代行が元請として段取りする
完了の確かめと支払い施設が工事の会社に払う施設が代行の会社に払う
記録と報告代行がまとめて施設に渡す代行がまとめて施設に渡す
施設から見ると同じ「代行」でも、工事の契約の相手が違う。同じ「代行」でも、発注の名前が違う施設の名前で発注代行の名前で発注工事の契約は施設と業者代行は手配と事務を担う代行の費用は別に払う工事の契約は施設と代行代行が下請に発注する費用は工事の代金に含む
図1 施設から見ると同じ「代行」でも、工事の契約の相手が違う。

施設から見ると、どちらも「代行に頼んだ」ことに変わりはありません。けれども、工事に不具合があったときに誰に言うか、請求書が誰から届くかが変わります。どこまでを外に任せ、何が施設に残るかは営繕を丸ごと外注しても、施設に残る仕事がありますで書いています。この記事では、任せるときの契約の形と、責任の分かれ方に絞ります。

契約の形は、施設が発注する形と、代行が元請になる形の2つです

営繕の代行の契約は、大きく2つの形に分かれます。施設が工事を発注し、代行が取り次ぐ形と、代行の会社が元請になる形です。発注者、責任、支払いを並べると、違いがはっきりします。

営繕の代行の、2つの契約の形
項目施設が発注し、代行が取り次ぐ代行の会社が元請になる
工事の発注者施設施設(代行の会社への発注)
工事の契約書の相手工事をする会社代行の会社
代行との契約手配と事務を任せる業務の委託(準委任)工事の請負(手配の手間は工事の代金に含む)
工事の不具合の責任工事をした会社元請の代行の会社
代行に建設業の許可が要るか手配と事務だけなら要らない1件500万円以上の工事なら要る(建築一式は1,500万円以上)
施設が払う先工事の会社と、代行の会社代行の会社だけ
代行の費用の見え方手数料や委託費として、別に見える工事の代金に含まれ、見えにくいことがある

2つの間にあたる形もあります。代行の会社が施設の代理人として、施設の名前で工事の会社と契約する形です。民法第99条により、代理人が権限の中で施設のためにした契約は、施設が結んだ契約として扱われます。この形では、代行に渡す権限を、1件いくらまで、どの分野までと書面で区切っておきます。

施工を1社にまとめる形と、相談と手配の受け口だけを1つにする形の違いは「一社にまとめる」には、二つの意味がありますで書いています。代行の2つの形も、この2つと重なっています。

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請負と準委任は、約束しているものが違います

2つの形の違いの大もとには、民法の「請負」と「準委任」の違いがあります。言葉はむずかしく聞こえますが、何を約束しているかで考えると分かりやすくなります。

請負は、仕事を完成させることを約束し、完成した結果に対して代金を払う契約です(民法第632条)。工事はこれにあたります。準委任は、法律行為でない事務を任せる契約です(第656条)。任された側は、注意を尽くして事務を行う義務を負います(第644条)。業者探しや日程の調整、記録の取りまとめは、こちらにあたります。

請負と準委任を、修繕の場面で言いかえると
項目請負(工事)準委任(手配と事務)
約束すること工事を完成させること手配と事務を、注意を尽くして行うこと
代金を払う対象完成した工事事務の手間(月ごと・件数ごとなど)
結果が悪かったとき手直しや代金を減らすことを求められる注意を怠っていたときに責任を問える
不具合を伝える期限知った時から1年以内に通知する(第637条)請負のような1年の通知の決まりはない
途中でやめるとき完成前なら、損害を払って解除できる(第641条)どちらからでも解除できる(第651条)
請負は結果を、準委任は手間を約束している。請負と準委任で、約束しているもの請負(工事)完成した仕事に払う準委任(手配と事務)尽くした手間に払う請負の責任不具合を直す準委任の責任注意を怠ったら負う
図2 請負は結果を、準委任は手間を約束している。

不具合を伝える期限は、工事の契約書で別に決めていることも多くあります。民法の決まりは、契約で決めていないときの原則と考えて、契約書の保証の欄を先に読みます。

ここで知っておきたいのが、建設業法第24条です。名前が「業務委託」でも、報酬を得て建設工事の完成を目的とする契約は、建設工事の請負契約とみなされます。代行の会社が「委託契約です」と言っても、工事の完成まで引き受けているなら、中身は請負です。どちらの形かは、契約書の名前ではなく、何を約束しているかで見分けます。

不具合が出たとき、誰に言うかは発注の名前で決まります

契約の形の違いがいちばんはっきり出るのは、工事のあとに不具合が出たときです。施設が工事の会社と直接契約していれば、手直しを求める相手は工事の会社です。代行の会社が元請なら、施設は代行の会社に求め、代行の会社が下請に直させます。

場面ごとの、施設が言う先と直す人
場面施設が発注する形代行が元請の形
直した所から、また水が漏れた工事をした会社に手直しを求める(代行は連絡を取り次ぐ)代行の会社に求める。代行が下請に直させる
見積と違う材料が使われた工事をした会社に言う代行の会社に言う
代行が日程の連絡を忘れ、入浴の時間に工事が始まった代行の会社に言う(事務の落ち度)代行の会社に言う
作業中に入居者の方の持ち物を壊した工事をした会社に言い、その会社の保険で対応する代行の会社に言う。どの保険を使うかを確かめる
工事をした会社が倒産した施設が別の会社を探して直す(代行が手伝う)元請の代行の会社が直す責任を負う

施設が発注する形では、施設は工事の会社ごとに責任を問う立場になります。頼む会社が多いほど、どの工事をどの会社がしたかの記録が欠かせません。代行の会社が元請なら、言う先は1つで済みますが、元請の会社の体力に頼ることになります。

代行の会社自身の落ち度、たとえば日程の連絡もれや、頼んだ分野と違う業者の手配は、どちらの形でも代行の責任です。準委任の形なら、注意を尽くしていたかが問われます。どこまでが代行の受け持ちかは、契約書の業務の範囲で確かめます。工事の保証の種類と期間の管理は工事の保証は、3つに分けて部位ごとに控えますにまとめています。

代行が元請になるなら、許可と下請の段数を確かめます

代行の会社が元請になる形では、代行の会社は、工事を請け負う建設会社と同じ立場になります。そのため、確かめることが2つ増えます。建設業の許可と、下請の段数です。

元請になる代行には、建設会社と同じことを確かめる。代行が元請のときに確かめる順番1. 建設業の許可の業種と番号2. 自社でする工事と下請に出す工事3. 下請の会社の名前と段数4. 現場を管理する人の名前
図3 元請になる代行には、建設会社と同じことを確かめる。

1件の請負代金が500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事を請け負うには、その業種の建設業の許可が要ります。特殊浴槽の入替や浴室の改修は、この金額を超えることがあります。代行の会社が許可を持っているか、どの業種の許可かは、公的な記録で確かめられます。確かめ方は老人ホームの営繕業者は、公的な記録で確かめられますにあります。

もう1つは、下請の段数です。建設業法では、請け負った工事を丸ごと別の会社に請け負わせる一括下請負は、原則として禁じられています。民間の工事では、発注者が前もって書面で承諾した場合に限って認められます。代行の会社が工事をすべて1社に流すだけなら、施設はその承諾を求められる立場になります。

下請の先にさらに下請がつくと、そのたびに経費が重なり、誰が現場にいるのかも見えにくくなります。工事のたびに、実際に来る会社の名前を前もって知らせてもらう、と決めておくと、入居者の方への声かけや、居室に入る段取りも組みやすくなります。

お金の流れは、請求書が誰から届くかで分かります

契約の形は、請求書を見ると分かります。施設が発注する形では、工事の会社から工事の代金の請求書が、代行の会社から手数料や委託費の請求書が、別々に届きます。代行の会社が元請なら、請求書は代行の会社から1通にまとまります。

請求書が誰から届くかで、契約の形が分かる。2つの形の、お金の流れ施設が発注する形代行が元請の形工事の代金は工事の会社へ代行の費用は代行の会社へ請求書は2通以上になる代金はすべて代行の会社へ代行が下請に払う請求書は1通にまとまる
図4 請求書が誰から届くかで、契約の形が分かる。
請求と支払いで、契約の前に詰めておく項目
ことがら決めておくこと決めずにいると
請求書の宛名と通数誰が、何通、いつ送るか経理が毎月、請求書の出どころを調べることになる
代行の費用の出どころ施設が払うのか、工事の代金に含むのか、工事の会社が払うのか同じ費用を2回払っていても気づきにくい
立て替え代行が業者に立て替えて払うときの、精算の書類請求書の宛名と、払った先が合わなくなる
前払い大きな工事で前払いを求められたときの扱い代行の会社が倒れたとき、下請への支払いが止まるおそれ
支払いの時期完了を確かめてから何日以内に払うか手直しが終わる前に、全額を払ってしまう

とくに見落としやすいのが、代行の費用の出どころです。施設が手数料を払っていないように見えても、工事の会社が代行の会社に紹介料を払い、その分が工事の代金に含まれていることがあります。手数料の形と、誰が払っているかの確かめ方は営繕の代行の手数料は、誰が払っているかで見え方が変わりますにまとめています。

法人の契約の決まりは、法人が結ぶ契約にかかります

社会福祉法人の工事や、補助金を使う工事では、契約の結び方に決まりがあります。どちらの形で代行を使っても、決まりがかかるのは法人が結ぶ契約です。発注の名前がどこかで、どの契約に決まりがかかるかが変わります。

法人の決まりと、2つの形
決まり施設が発注する形代行が元請の形
相見積(見積合わせ)工事の会社との契約ごとに、決まりどおりの数の見積を取る代行の会社との工事の契約ごとに、比べる見積が要る
決裁の金額工事ごとに、法人の決裁を通す代行の会社との工事の契約ごとに、決裁を通す
補助金を使う工事法人が発注者として、補助の条件どおりに業者を選ぶ代行の会社の選び方も条件に合うかを、所管の担当課と相談する
代行の業務の委託委託の契約として、法人の決まりで選ぶ工事の契約の中に含まれる

社会福祉法人の工事の請負では、令和8年4月から、2社の見積合わせで足りるのは400万円以下の工事です(それまでは250万円以下)。これを超えると、3社以上の見積が要ります。代行の会社が元請になる形でも、法人が結ぶ契約である以上、この決まりは代行の会社との契約にかかります。細かな運用は、法人の経理規程とあわせて確かめます。

補助金を使う工事では、発注者は補助を受ける法人です。業者の選び方にも条件がつくので、代行を使う場合は、代行の会社の選び方まで含めて、申請の前に、補助を所管する自治体の担当課と相談します。くわしくは補助を使う工事では、相見積か入札かを交付の条件で確かめますにあります。

建物を借りているホームでは、オーナーが発注する工事があります

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅には、建物をオーナーから借りて運営しているところもあります。この場合、修繕管理を外注する前に、もう1つの「誰の名前で発注するか」を決めます。オーナーが直す工事か、運営する側が直す工事か、です。

民法では、貸した側が、使うのに要る修繕をする義務を負うのが原則です(第606条)。オーナーに知らせても相当の期間直されないときや、急ぎのときは、借りている側が直せる場合もあります(第607条の2)。ただ、建物の賃貸借の契約では、修繕の区分を別に決めていることがふつうなので、まず契約書を読みます。

建物を借りているホームで、発注する側が分かれやすい工事
工事発注する側になりやすいのは確かめる書類
屋根・外壁・柱や梁などの構造オーナー賃貸借契約の修繕の区分
給排水の本管・受水槽・受変電設備契約で分かれる修繕の区分と、設備の持ち主の一覧
居室の内装と、退居のあとの原状回復運営する側入居契約と、原状回復の決まり
運営する側が入れた設備(ナースコール・特殊浴槽など)運営する側設備を入れたときの契約書
空調契約で分かれる(誰が入れた設備か)設備の持ち主の一覧

区分を確かめずに、代行の会社が運営する側の名前で発注を続けると、本来はオーナーが負う工事の代金を、運営する側が払い続けることがあります。代行の会社には、契約書の修繕の区分を渡しておきます。急ぎで直したときも、あとでオーナーと精算できるよう、写真と見積を残します。有料老人ホームで、外に出す範囲を決める考え方は有料老人ホームの営繕は、居室の回転と共用部で外注の範囲を決めますにあります。

代行の契約書では、発注の名前に関わる7つの項目を読みます

代行の契約書を受け取ったら、まず発注の名前に関わる項目を読みます。ここがあいまいだと、不具合や支払いのときに、施設と代行の会社の考えが食い違います。

代行の契約書で読む、発注の名前に関わる項目
項目見るところ
発注の名義工事の契約を、施設と工事の会社が結ぶのか、施設と代行の会社が結ぶのか
代理の権限施設の名前で発注できるなら、1件いくらまで、どの分野までか
工事の責任不具合の手直しを誰に求め、誰が直すか。保証書は誰が持つか
代行の責任代行の落ち度(連絡もれ・手配の誤り)があったときの扱い
再委託と下請代行の仕事や工事を、ほかの会社に出すときの了解の取り方
保険代行の会社と工事の会社が入っている賠償の保険と、その限度
支払い請求書の宛名、立て替え、前払い、支払いの時期

7つのうち、あとで直しにくいのは発注の名義と代理の権限です。始めてから変えると、進んでいる工事の契約をどちらの名前で終えるかで手間がかかります。最初の1件を発注するときに、書類が誰から誰へ動くかを確かめておくと、行き違いに早く気づけます。

業務の範囲、承認の金額、報告、解約のような、外注の契約に共通する注意点は営繕は外注してかまいません。デメリットは契約の前に手を打てますに書いています。1件ごとの工事の契約書で、追加・変更や事故の扱いを確かめる点は工事の契約書は、追加と事故の扱いから読みますにまとめています。

モデルケース:代行の形を選び直した介護付有料老人ホーム

モデルケース:定員48名の介護付有料老人ホーム(建物は賃借)

手直しの連絡が、1回で通るようになった

変わったこと(結果)

小さな修理はホームの名前で発注し、代行の会社は手配と記録を受け持つ形に変えてから、手直しの連絡が1回で通るようになりました。同じ所の水漏れの手直しは、以前は3週間ほど待っていたものが、4日ほどで終わるようになりました。1年分の工事を見直すと、本来はオーナーが負う工事が3件見つかり、オーナーと費用の分け方を話し合えました。

背景と、困っていたこと

このホームは、修繕管理を代行の会社に任せていました。代行の会社が元請となり、すべての工事を自社の名前で発注する形でした。浴室の水漏れが、直して1か月で再び起きたとき、代行の会社は下請の会社に連絡すると言ったまま、手直しの日がなかなか決まりませんでした。請求書は代行の会社から毎月1通で届き、どの工事をどの会社がしたのか、ホームの側では分かりませんでした。

決めたこと

ホームは、代行をやめることも考えましたが、事務長1人で手配まで抱えるのは難しいと判断しました。そこで、形を分けました。1件50万円までの修理は、ホームの名前で工事の会社と契約し、代行の会社は業者探し・見積の取りまとめ・日程・記録を受け持ちます。浴室の改修のように分野をまたぐ工事だけは、これまでどおり代行の会社を元請にしました。あわせて、建物の賃貸借の契約書を代行の会社に渡し、オーナーが直す工事を分けて記録してもらうことにしました。

進めてみて分かったこと

請求書は月に1通から4〜5通に増えました。それでも、工事の会社の名前と内訳が見えるようになり、本社への説明はかえって短く済むようになりました。手直しは、工事をした会社に直接言えるので、待つ日数が減りました。

このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。

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代行と丸投げは、承認と記録を施設が持つかで分かれます

代行に任せることと、丸投げは違います。代行は、手配と事務を外に任せても、どの工事をするか、いくらまでかけるかの承認と、記録を施設が持っている状態です。丸投げは、それも含めて手放してしまい、何が起きているかが施設から見えなくなった状態です。

代行と丸投げの違い
ことがら代行丸投げ
工事を決める人施設が承認する代行の会社が決め、施設はあとで知る
業者を選んだ理由見積の比較と選んだ理由が施設に届く誰がなぜ選ばれたかが分からない
費用の内訳工事ごとの内訳と、代行の費用が分かる「一式」の請求だけが届く
記録施設の手元に、月ごとに残る代行の会社の手元にしかない
やめるとき記録と業者の一覧を持って移れる一から業者を探し直すことになる
同じ契約でも、承認と記録を施設が持つかで中身が変わる。代行か、丸投げになっているか承認と記録を、施設が持っているか持っている代行として任せている業者を選んだ理由も分かる持っていない丸投げになっている費用も業者も見えない
図5 同じ契約でも、承認と記録を施設が持つかで中身が変わる。

丸投げになるのは、契約の形のせいだけではありません。代行の会社が元請でも、施設が承認と記録を持っていれば代行です。施設の名前で発注していても、見積を読まずに判を押すだけなら、丸投げに近づきます。

丸投げは、営繕の知識と判断が1人の担当者に偏る「属人化」が、施設の外に移った形ともいえます。偏りがどの経路で生まれるかは営繕の属人化は、4つの経路を決まった順にほどきますで確かめられます。

代行を頼む前に、手元でそろえておくこと

平常時にしておくこと

  • 今の修理を、誰の名前で発注しているかを書き出す
  • 請求書が、誰から何通届いているかを見る
  • 建物を借りているなら、修繕の区分を確かめる
  • 工事の会社ごとに、保証書の置き場所を決める
  • 代行に渡す権限の金額を、決裁の決まりと合わせる

頼んだ会社と金額の記録を、次の手配に生かす方法は修理業者を毎回探す手間は、業者台帳で消せますにあります。

修繕管理を外に任せたいけれど、どの形が合うか分からない、今の代行の契約を見直したい、というときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。今の契約書と、1年分の修理の内容を伺えば、合いそうな形と、契約で確かめる所を一緒に整理します。相談と見積は無料です。

よくある質問

老人ホームの修繕管理を、代行の会社に任せることはできますか

できます。修理の受付・業者探し・見積の取りまとめ・日程の調整・記録などを、営繕の代行に任せられます。任せる前に、工事を施設の名前で発注するのか、代行の会社が元請になるのかを確かめます。

くわしく:営繕を丸ごと外注しても、施設に残る仕事があります

営繕の代行の会社と結ぶ契約は、請負ですか、委託ですか

手配と事務だけを任せるなら、事務を任せる準委任の委託契約です。代行の会社が工事の完成まで引き受けるなら請負です。名前が「業務委託」でも、工事の完成が目的なら、建設業法では工事の請負契約とみなされます。

代行の会社が元請になると、何が変わりますか

工事の契約の相手と、不具合の責任を負う相手が代行の会社になります。請求書は代行の会社から1通にまとまりますが、工事の会社の名前や内訳が見えにくくなることがあります。内訳を出してもらえるかを確かめておきます。

くわしく:「一社にまとめる」には、二つの意味があります

代行の会社が元請のとき、工事の保証は誰が負いますか

元請の代行の会社が負います。下請の会社が直す場合でも、施設が手直しを求める相手は代行の会社です。保証書が誰の名前で出ているかを、工事のたびに確かめます。

代行の会社にも、建設業の許可は要りますか

手配と事務だけなら要りません。代行の会社が元請として、1件500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事を請け負うなら、その業種の許可が要ります。許可の有無と業種は、公的な記録で確かめられます。

くわしく:老人ホームの営繕業者は、公的な記録で確かめられます

代行の会社に、施設の名前で発注してもらうことはできますか

できます。代行の会社が施設の代理人として契約する形です。代理人が権限の中でした契約は施設の契約として扱われるので、1件いくらまで、どの分野までという権限を書面で区切っておきます。

代行の費用は、どの請求書に載りますか

施設が発注する形では、工事の代金とは別に、代行の会社から手数料や委託費の請求書が届きます。代行の会社が元請なら、工事の代金の中に含まれます。工事の会社が代行に紹介料を払う形もあるので、出どころを聞いておきます。

くわしく:営繕の代行の手数料は、誰が払っているかで見え方が変わります

社会福祉法人ですが、代行を使うと相見積の決まりはどうなりますか

決まりは、法人が結ぶ契約にかかります。施設が発注する形では工事の会社との契約ごとに、代行の会社が元請なら代行の会社との工事の契約ごとに、決まりどおりの数の見積が要ります。令和8年4月から、2社で足りるのは400万円以下の工事です。

補助金を使う工事も、代行に任せられますか

手配の手伝いは任せられますが、発注者は補助を受ける法人で、業者の選び方にも条件がつきます。代行の会社を元請にする場合は、その選び方も条件に合うかを、申請の前に自治体の担当課と相談します。

くわしく:補助を使う工事では、相見積か入札かを交付の条件で確かめます

建物を借りて運営しているホームでも、修繕管理を外注できますか

できます。ただ、オーナーが直す工事と、運営する側が直す工事を先に分けておきます。賃貸借の契約書の修繕の区分を代行の会社に渡しておくと、オーナーが負う工事の代金を払い続けることを防げます。

代行の会社が倒産したら、工事はどうなりますか

施設が工事の会社と直接契約していれば、工事の契約はそのまま残り、手配と記録を別の会社か施設で引き継ぎます。代行の会社が元請だと、工事の責任や前払いのお金に響くおそれがあります。大きな工事の支払いは、工事の進み具合に合わせてもらいます。

代行に任せきりで、丸投げになっていないか心配です

承認と記録を施設が持っているかで見分けます。工事の承認を施設がしていて、見積の比較と月ごとの記録が手元に届いていれば代行です。どれも届いていないなら、受け取る形に契約を見直します。

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施設のよくある困りごとの一覧はよくある困りごと、頼み先の一覧は設備別の頼み先、ご相談の流れはご相談の流れにまとめています。

監修者

鈴木貴行|介護施設営繕・修繕専門家

  • 30年以上営繕・設備管理の経験
  • 1,000施設超関わった介護・高齢者施設
  • 3,000件超修繕・設備改善の案件

介護施設の営繕・設備管理に30年以上携わり、1,000施設を超える介護・高齢者施設の現場に関わってきました。老人ホームの修繕管理を外に任せるときの、契約の形と責任の分かれ方の整理を監修しています。

経験した施設
特別養護老人ホーム有料老人ホームグループホームデイサービスサービス付き高齢者向け住宅
専門分野
給排水空調電気・照明トイレ・浴室床・壁扉・建具ナースコール

制度や基準、費用の目安は変わることがあります。手続きや工事の前に、最新の資料と、現地を確かめた見積でご確認ください。

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