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介護施設 修繕の窓口 介護施設専門の営繕・修繕窓口介護施設 修繕の窓口

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アンケート平均4.1(218件)

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基礎知識

営繕業務は、7つの領域と4種類の仕事。
地図にすると、抜けが見えます

営繕の担当になったものの、どこまでが自分の仕事なのかが分からない。前の担当者がしていた仕事が、引き継ぎの一覧に載っていない。営繕業務は、建物と設備のあらゆる所にまたがるので、全体を一度に見るのが難しい仕事です。この記事では、営繕業務を7つの領域と4種類の仕事に分けた地図を示します。あわせて、領域ごとに必要な業務、誰が担うか、小規模な施設の最小限の業務を説明します。

構成:介護施設 修繕の窓口監修:鈴木貴行(介護施設営繕・修繕専門家)更新:読む時間:約23分

この記事が答える質問介護施設の営繕業務には何が含まれますか?介護施設で必要な営繕業務を教えて

介護施設の営繕業務には、7つの領域の仕事が含まれます。建物の外まわり、建物の内まわり、給排水と給湯、電気と通信、空調と換気、法定の点検、防災と安全です。どの領域にも、点検、小さな修理、業者の手配、記録の4種類の仕事があり、表にすると28のマスで全体が見えます。必要な営繕業務とは、28のマスのそれぞれに、職員・営繕担当・業者の誰が担うかが決まっている状態です。営繕担当がいない小さな施設でも、法定の点検の手配と報告書の保管、不具合を報告する流れ、分野ごとの頼み先の一覧は欠かせません。

この記事の結論

  1. 営繕業務は、7つの領域と、点検・小さな修理・手配・記録の4種類の仕事でできている
  2. 7つの領域と4種類の仕事を1枚の表にすると、28のマスで全体が見える
  3. 気づくのは職員、手配は営繕担当か事務長、資格の要る作業と法定の点検は業者が担う
  4. 法定の点検は、日程・立ち会い・指摘の直し・報告書の保管が施設の仕事
  5. 小規模な施設は、7つの領域ごとに1つずつの最小限の業務から始める

営繕業務は、7つの領域と4種類の仕事でできています

介護施設の営繕業務は、7つの領域に分かれます。建物の外まわり、建物の内まわり、給排水と給湯、電気と通信、空調と換気、法定の点検、防災と安全です。どの領域にも、点検、小さな修理、業者の手配、記録の4種類の仕事があります。営繕業務とは、この7つの領域で4種類の仕事を回し続けることです。

7つの領域のそれぞれで、点検・小さな修理・手配・記録の4種類の仕事を回す。営繕業務の7つの領域と、4種類の仕事建物の外まわり建物の内まわり給排水と給湯電気と通信空調と換気法定の点検防災と安全どの領域にも点検・修理・手配・記録
図1 7つの領域のそれぞれで、点検・小さな修理・手配・記録の4種類の仕事を回す。
7つの領域と、含まれる主な場所・設備
領域含まれる主な場所・設備
建物の外まわり屋根・屋上の防水、外壁、雨どい、門扉・フェンス、通路と駐車場
建物の内まわり床・壁・天井、ドアや引き戸などの建具、手すり、居室の内装
給排水と給湯受水槽とポンプ、配管、トイレ、浴室と特殊浴槽、給湯器、厨房の排水
電気と通信受変電設備、分電盤、照明とコンセント、ナースコール、電話・Wi-Fi・見守り機器
空調と換気業務用エアコン、換気扇、厨房の排気、加湿の設備
法定の点検消防用設備、建物と建築設備、昇降機、受水槽、電気、フロンなどの、法律で決まった点検
防災と安全避難経路と非常口、防火戸、非常用の照明と発電機、出入口の見守り、転落や転倒の防止

7つの領域に分けるのは、領域ごとに、見る人と頼む先が変わるからです。外壁のひびは防水や外壁の業者、ナースコールの不具合はメーカーや代理店、と頼み先が分かれます。領域で分けておくと、不具合が出たときに、どこに頼めばよいかの見当がすぐにつきます。

営繕という言葉そのものの意味や、修繕・改修・更新といった言葉の違いは営繕は、修繕を含む仕事の全体です。言葉で予算と補助が変わりますで書いています。この記事では、営繕業務に何が含まれるかの範囲を扱います。

7つの領域と4種類の仕事を、1枚の地図にします

営繕業務の全体は、7つの領域を縦に、4種類の仕事を横に並べた表で見ると分かりやすくなります。7×4で28のマスができ、それぞれのマスに、具体的な仕事が入ります。この表が、営繕業務の地図です。介護施設で必要な営繕業務とは、この28のマスが、どれも誰かに受け持たれている状態です。

どの領域でも、この4種類の仕事がそろって回る。4種類の仕事点検状態を見て、変化に気づく小さな修理その場でできる手当てをする手配業者を選び、見積と日程を決める記録修理と点検を残し、次につなぐ
図2 どの領域でも、この4種類の仕事がそろって回る。
営繕業務の地図(7つの領域×4種類の仕事)
領域点検小さな修理手配記録
建物の外まわり屋上の排水口、外壁のひびや浮き、雨どい排水口の落ち葉取り、門扉のねじ締め防水・外壁・外構の業者雨漏りの場所と日付、ひびの写真
建物の内まわり床の段差、建具の閉まり、手すりのぐらつき建具の調整、手すりのねじ締め内装・建具の業者、原状回復の工事居室ごとの修理の履歴
給排水と給湯水漏れ、詰まり、湯温、特殊浴槽の動きパッキンやシャワーホースの交換、詰まりの手当て設備業者、給湯器と特殊浴槽のメーカー詰まりの場所と回数、機器の型番
電気と通信照明の切れ、分電盤、ナースコールの呼び出しランプの交換、ワイヤレスの子機の電池交換電気工事業者、電気の保安の委託先、ナースコールの代理店回路の表、子機の場所の一覧
空調と換気冷え・暖まり、異音、フィルター、換気扇フィルターと換気扇の清掃冷媒を扱う登録のある空調の業者、ダクトの清掃機器ごとの簡易点検と修理の記録
法定の点検点検の日程と立ち会い指摘のうち軽いものの手配点検の会社、指摘を直す工事の見積報告書の控えと、指摘を直した日
防災と安全避難経路、防火戸の前、非常口の鍵、発電機防火戸の前の片付け、出入口のセンサーの電池交換防災設備の業者、発電機の点検訓練の記録と、発電機の運転の記録

表のマスに書いたのは、どの施設にもある仕事の例です。自分の施設の地図では、マスの中に、具体的な設備の名前と、担う人の役を書き込みます。設備が多い施設では、マスに入る仕事が増えます。いっぽう、マスの数は、施設の大きさにかかわらず28のままです。

地図にすると、営繕業務が「壊れたら直す」だけではないことが見えてきます。28のマスのうち、施設が手を動かす小さな修理は7マスで、残りの21マスは、点検と手配と記録です。営繕業務の多くは、壊れる前に気づくことと、頼むことと、残すことでできています。

相談・見積は無料|お断り可・理由は不要

建物の外まわりと内まわりで、必要な業務

建物の外まわりは、屋根・屋上、外壁、雨どい、外構です。外まわりの不具合は、大雨が降るまで、あるいは何かが落ちるまで、気づかれにくい領域です。屋上の排水口が落ち葉でふさがると、大雨のときに屋上に水がたまり、雨漏りにつながります。外壁のタイルの浮きは、落ちれば下を通る人にけがをさせます。

建物の内まわりは、床・壁・天井、建具、手すり、居室の内装です。入居者の方と職員が毎日手で触れる所が多く、小さな修理が出やすい領域です。ドアの閉まりが悪いと指を挟む事故につながり、手すりのぐらつきや床の段差は転倒につながります。

建物の外まわりと内まわりで、必要な業務
場所見るところ施設でできる手当て業者に頼むこと
屋上・屋根排水口の落ち葉、防水の膨れや破れ安全に上がれる所だけ、排水口まわりの落ち葉を取る防水の補修、雨漏りの調査
外壁ひび、タイルの浮き、目地の切れ写真を撮り、場所と日付を記録する浮きの調査、補修、落下の防止
雨どい・外構雨どいの詰まり、門扉の開閉、通路の段差門扉のねじ締め、段差に目印をつける雨どいの交換、舗装の補修
床・壁・天井床の浮きや段差、壁の穴、天井のしみ段差に目印をつけ、通り道を変える床材の張り替え、天井裏の水漏れの調査
建具ドアの閉まる速さ、引き戸の重さ、鍵のかかりドアクローザーの速さの調整戸車・クローザー・錠の交換
手すりぐらつき、ねじの緩み、端の引っかかりねじの締め直し下地からの付け直し、新しい設置
居室の内装退居後の壁・床・建具の傷み傷みの写真と一覧を作る原状回復の工事

天井のしみは、内まわりの不具合に見えて、上の階の配管や屋上の防水が原因のことがあります。しみを見つけたら、日付を書いた写真を撮り、雨の日に広がるかどうかを見ておくと、業者が原因を探しやすくなります。

手すりのぐらつきやドアの閉まりのように、金額の小さい修理は、どこに頼めばよいか迷いやすいものです。小さな修理を当窓口に初めて相談された、事務長の声です。

「こんな小さな修繕でも相談していいのかな」と最初は思いましたが、実際に相談してみると、内容を伝えるだけで話が進むので非常に助かりました。

ご利用者の声 埼玉県内・介護老人保健施設/事務長

取材にもとづき掲載しています(施設名は非公開)。内容はご本人の申告によるもので、個人の感想です。

介護施設で多い「ちょっとした修理」の種類と頼める先は「ちょっとした修理」は、職人の種類ごとに束ねて頼みますにまとめています。

給排水と給湯で、必要な業務

給排水と給湯は、水を送る給水、使った水を流す排水、お湯をつくる給湯、浴室の設備の4つでできています。介護施設では、入浴と排泄と食事に水を使い、使う時間も朝と入浴の時間に集まります。止まると暮らしがすぐに止まる領域なので、どこを閉めれば水が止まるかを、職員が知っておくことも業務に入ります。

給排水と給湯で、必要な業務
設備見るところ施設でできる手当て業者に頼むこと
受水槽・ポンプポンプの音、水槽まわりの水漏れ、警報の表示警報の内容を記録して連絡する清掃と検査、ポンプの修理
トイレ・排水流れの悪さ、においの変化、床の水ラバーカップで詰まりを解く、止水栓を閉める排水管の高圧洗浄、便器や配管の交換
厨房の排水グリーストラップの油、排水のにおいグリーストラップのかごの清掃たまった油の汲み取り、配管の洗浄
給湯器・貯湯槽湯の温度、エラーの表示、燃え方の音エラーの番号を控え、説明書の範囲でリセットする部品の交換、本体の更新
浴室・特殊浴槽シャワーの水漏れ、浴槽の上げ下げの動き、異音シャワーヘッドやホースの交換特殊浴槽の修理(メーカー・代理店)
配管・水栓水栓のしずく、壁や床のしみ、赤い水簡単な水栓のパッキンの交換配管の補修や更新、漏水の調査

受水槽のある施設では、受水槽の清掃と検査も、この領域の業務です。容量によって、水道法や自治体の条例で決まりが変わります。決まりの中身は受水槽は有効容量10㎥を超えると、清掃と検査が1年以内ごとの義務ですにまとめています。

給湯器と特殊浴槽は、型番と製造年、保守の契約先を、機械の近くと事務所の両方に貼っておきます。止まったときに、銘板を見に行かなくても、電話で型番を伝えられます。給湯器がガス会社の持ち物(リース)の場合は、頼み先がガス会社になるので、その旨も書いておきます。

  1. 止水栓の場所トイレごと、階ごと、建物全体の止水栓の場所を図に書き、職員の目に入る所に貼ります。
  2. 給湯器のリセットエラーのときに試してよい操作と、試してはいけない操作を、説明書から1枚に書き出します。
  3. 排水の詰まりやすい所詰まった場所と日付を記録すると、配管の洗浄の時期の目安になります。

電気と通信、空調と換気で、必要な業務

電気と通信は、受変電設備と分電盤、照明とコンセント、非常用の照明、ナースコール、電話・Wi-Fi・見守り機器です。空調と換気は、業務用エアコン、換気扇、厨房の排気です。どちらも、施設でできる手当ては少なく、業者に頼む割合が大きい領域です。

高圧で受電している施設、つまりキュービクルなどの受変電設備がある施設は、電気事業法の自家用電気工作物にあたります。保安規程を定め、電気主任技術者を選ぶか、外部の保安の委託先に点検を任せます。電気の工事の多くは電気工事士の資格が要り、施設でできるのは、ランプの交換のような資格の要らない作業までです。

業務用エアコンや厨房の冷凍冷蔵庫は、フロン排出抑制法で、管理する施設に簡易点検が求められています。簡易点検は、資格がなくても職員ができます。一定の大きさ以上の機器は、資格のある人による定期点検も要ります。

電気と通信、空調と換気で、必要な業務
設備見るところ施設でできる手当て業者に頼むこと
受変電設備・分電盤異音、におい、ブレーカーが落ちた回路落ちた回路と時刻を記録する保安の委託先の点検、電気工事
照明・コンセント切れた照明、焦げ跡、ぐらつくコンセントランプの交換(器具はそのまま)器具やコンセントの交換(電気工事士)
非常用の照明・発電機点灯の試験、発電機の運転の記録試験の立ち会いと記録電池や部品の交換、発電機の点検
ナースコール呼び出しと応答、表示の不具合ワイヤレスの子機の電池交換、表示の確かめ親機や配線の修理(メーカー・代理店)
通信・見守り機器Wi-Fiのつながり、見守り機器の通知機器の再起動配線や機器の修理、更新
業務用エアコン冷えない・暖まらない、水漏れ、異音フィルターの清掃、フロンの簡易点検修理、冷媒の補充、更新
換気扇・厨房の排気止まり、吸い込みの弱さ、油汚れ外せる部分の清掃モーターの交換、ダクトの清掃

ナースコールと見守り機器は、止まっても建物の見た目には何も出ません。呼び出しの試験をしない限り、不具合に気づけないことがあります。子機の場所と番号の一覧を作り、試験のたびに、鳴らなかった子機に印を付けます。

電気・空調・ナースコールは、分野ごとに頼む先が違います。分野ごとに強い業者と、確かめる資格や登録は設備修理に強い業者は、分野ごとに別の会社ですで書いています。

法定の点検と、防災と安全で、必要な業務

法定の点検は、法律で点検や検査、報告が決められている業務です。点検そのものは、資格を持つ会社や検査の機関が行うことがほとんどです。施設の仕事は、日程の調整、当日の立ち会い、指摘された不良を直す手配、報告書の保管の4つです。

介護施設に関わる主な法定の点検と、施設の仕事
点検もとになる法律点検する人施設の仕事
消防用設備等の点検消防法消防設備士などの資格者(建物の規模による)日程の調整と立ち会い、消防署への報告の控えの保管
建物と建築設備の定期調査・検査建築基準法第12条建築士や検査員などの資格者対象になるかを確かめ、指摘を直した記録を残す
昇降機の定期検査建築基準法第12条昇降機の検査の資格者検査の時間に使えなくなることを職員に伝える
受水槽の清掃と検査水道法・自治体の条例清掃の業者、登録された検査の機関断水する時間を、職員と厨房に伝える
自家用電気工作物の保安電気事業法電気主任技術者か、保安の委託先停電を伴う点検の日程を決める
フロンの点検フロン排出抑制法簡易点検は施設、定期点検は資格者機器ごとに点検の記録を保管する
浄化槽の保守点検・清掃・検査浄化槽法保守点検と清掃の業者、指定の検査機関記録を保管する(浄化槽のある施設)

どの点検が対象になるかは、建物の用途と規模、設備によって変わります。建物と建築設備の定期調査・検査の4つの種類は12条点検は4つに分かれ、防火設備の検査は別に受けますで書いています。点検ごとの周期と報告の期限は、チェックリストの一覧で確かめます。

法定の点検は外の資格者、日々の見回りは施設の中の人が担う。両方がそろって、点検の領域になる。点検の領域は、2つでできています法律で決まった点検施設が決める見回り資格者が行うことが多い周期と報告が決まっている報告書を保管する職員・営繕担当が行う場所と回数は施設で決める気づきを記録して伝える
図3 法定の点検は外の資格者、日々の見回りは施設の中の人が担う。両方がそろって、点検の領域になる。

防災と安全は、火事や地震、停電のときに、入居者の方を守るための業務です。設備の点検は法定の点検と重なりますが、ふだんの暮らしの中でしか守れないことが多くあります。

  1. 避難経路と非常口廊下や階段、非常口の前に物を置かず、非常口の鍵が中から開くかを見ます。
  2. 防火戸と防火シャッター閉まる所に、車いすや台車、物品を置かないようにします。
  3. 非常用の照明と発電機試験に立ち会い、発電機の燃料の量と運転の記録を残します。
  4. 出入口と窓外へ出る扉のセンサーや、窓の開く幅を止める金具が働くかを見ます。
  5. 転倒と転落の防止床の段差、濡れやすい床、手すりの切れ目を、見回りで探します。

4種類の仕事を、職員・営繕担当・業者で分けます

営繕業務を担うのは、職員、営繕担当、業者の3者です。営繕担当がいない施設では、事務長や施設長がその役を担います。分け方の基本は、気づくのは職員、手配して記録するのは営繕担当、資格の要る作業と法定の点検は業者です。

4種類の仕事を、誰が担うか
仕事職員(介護・看護・事務)営繕担当・事務長業者
点検暮らしの中で、音・水・におい・動きの変化に気づく見回りで確かめる。法定の点検に立ち会う法定の点検と、保守の点検をする
小さな修理ランプの交換や、詰まりの最初の手当て建具の調整、ねじ締め、パッキンの交換資格の要る作業、部品の交換
手配不具合を、決めた担当に報告する業者を選び、見積と日程を決める部品と職人をそろえる
記録場所・いつから・状態・写真で報告する修理の一覧と機器台帳を直す点検と工事の報告書を出す

表の「職員」の列は、人数がいちばん多い人たちの仕事です。営繕担当が1人で見回っても、28のマスのうち「気づく」ところは、職員全員の目がないと埋まりません。職員の仕事は、直すことではなく、気づいて伝えることです。伝える先を1つに決めておきます。

建物を借りて運営している施設では、4つ目の担い手として、建物の持ち主(貸主)がいます。外壁や屋上、建物の設備の一部は、貸主が直す約束になっていることがあります。賃貸借の契約書で修繕の負担の区分を確かめ、地図のマスに「貸主」と書き込みます。

職種ごと・時間帯ごとに、設備の管理の役割を分けた表の作り方は設備の管理は6つの役割に分け、職種と時間帯で受け持ちますにまとめています。外に出せる仕事と、施設に残る仕事の分け方は営繕を丸ごと外注しても、施設に残る仕事がありますにあります。

小規模な施設は、最小限の7つの業務から始めます

グループホーム、小規模多機能、デイサービスのような小規模な施設では、営繕担当がいないことがふつうです。管理者や事務の職員が、介護や事務と兼ねて営繕業務を担います。28のマスをすべて施設で埋めるのは難しいので、7つの領域ごとに1つずつ、最小限の業務から始めます。

担当者がいない施設は、最小限の業務と頼み先の一覧から始める。どこから始めるか施設に、営繕の担当者がいるかいない最小限の7つの業務と頼み先の一覧から始めるいる28のマスの地図を担当者が回す
図4 担当者がいない施設は、最小限の業務と頼み先の一覧から始める。
小規模な施設で、最小限残す7つの業務
領域最小限の業務担う人の例
建物の外まわり雨漏りやひびに気づいたら、写真と日付を残す管理者
建物の内まわり手すりと建具のぐらつきを、気づいた職員が報告する職員全員
給排水と給湯止水栓と給湯器のリセットの場所を、全員が知っておく管理者・職員
電気と通信分電盤の回路の表を貼り、ナースコールの不具合を報告する管理者
空調と換気フィルターの清掃と、業務用エアコンの簡易点検の記録職員の当番
法定の点検点検の会社と日程の一覧を作り、報告書を1か所に保管する管理者・事務
防災と安全避難経路と防火戸の前に、物を置かない職員全員

小規模な施設では、給湯器や特殊浴槽、エアコンが1台しかないことが多く、止まると代わりがありません。最小限の業務に、分野ごとの頼み先の一覧を加えておくと、止まったときに電話をかける先で迷いません。小規模な施設ならではの設備の事情と頼み先の見つけ方は木造2階の屋根や階段を作り直すなら、2025年4月から確認申請が要りますで書いています。

最小限の7つは、どれも特別な道具や資格の要らないものです。ただし、誰の仕事かを決めておかないと、全員が「誰かがしている」と思って抜けます。表の右の列に、役の名前を書いておきます。

自分の施設の地図は、5つの手順で作ります

営繕業務の地図は、建物の図面と、今いる職員と、今の業者の一覧があれば作れます。はじめから完ぺきな表にする必要はありません。分かる範囲で埋め、空いたマスを見つけることが、地図を作るいちばんの目的です。

空いたマスを見つけて埋めるところに、いちばん時間をかける。営繕業務の地図を作る5つの手順1. 設備を書き出す(7つの領域ごと)2. 4種類の仕事を書く3. 担う人を書き込む4. 空いたマスを探す5. 頼み先を決めて貼り出す
図5 空いたマスを見つけて埋めるところに、いちばん時間をかける。
  1. 設備を書き出す竣工図の機器表や、機械の銘板を見て、7つの領域ごとに設備を並べます。機器台帳があれば、それを使います。
  2. 4種類の仕事を書く設備ごとに、点検・小さな修理・手配・記録で何をするかを1行ずつ書きます。
  3. 担う人を書き込む職員・営繕担当・業者のどれが担うかを、人の名前ではなく役の名前で書きます。
  4. 空いたマスを探す誰も書かれていないマスと、業者の名前が古いままのマスに印を付けます。
  5. 頼み先を決めて貼り出す空いたマスに担う人を決め、業者の連絡先とあわせて1枚にし、事務所に貼ります。

担う人を役の名前で書くのは、人が替わっても地図を使い続けるためです。「田中さん」ではなく「夜勤リーダー」「事務長」と書いておけば、異動や退職のたびに書き直さずに済みます。

設備の書き出しは、機器台帳を作る作業と同じです。台帳の作り方と項目は機器台帳は、竣工図と現地と保守の会社の3つで作りますにまとめています。

モデルケース:建物を借りて運営する、介護付有料老人ホーム

モデルケース:定員40名の介護付有料老人ホーム(建物は賃借・開設5年目)

どちらが直すかの問い合わせが、月5件ほどから1件ほどに

変わったこと(結果)

地図に「貸主」の列を加えてから半年で、どちらが直すかを確かめる問い合わせが、月に5件ほどから1件ほどに減りました。不具合に気づいてから業者に頼むまでの日数も、平均4日ほどから1日ほどになりました。地図を作る途中で、誰も受け持っていないマスが6つ見つかり、その月のうちにすべてに担う人を決めました。

背景と、困っていたこと

このホームは、建物を貸主から借りて運営しています。賃貸借の契約書には、修繕の負担の区分が大まかにしか書かれていませんでした。雨どいの外れや給湯器の故障のたびに、施設長が貸主の管理会社に問い合わせ、返事を待つ間、修理が止まりました。給湯器が止まったときは、どちらが費用を持つかが決まらず、3日間、入浴を清拭に替えました。

決めたこと

施設長が迷ったのは、区分を書面にしようと言い出すと、貸主との関係がぎくしゃくしないかという点でした。決め手は、給湯器の件のあと、貸主の管理会社の担当からも「先に決めておきたい」と言われたことです。ホームは、7つの領域と4種類の仕事の地図に「貸主」の列を加え、マスごとに施設・業者・貸主のどれかを書いた案を作りました。この案をもとに貸主と話し、外壁・屋上・受水槽は貸主、建具・照明・エアコンのフィルターは施設、と区分を書面にしました。

進めてみて分かったこと

見つかった6つの空いたマスのうち4つは、業者に頼めば済むものではなく、施設の中で誰が見るかを決めれば埋まるものでした。屋上の排水口の掃除、非常用の照明の試験の記録、エアコンの簡易点検の記録、退居後の居室の傷みの記録です。

このモデルケースは、介護施設でよく起きる流れをもとに組み立てた例です。実在の施設のお話ではありません。

相談・見積は無料|同じ条件で最大3社

このお問い合わせ1本で、
最大3社の見積がそろいます。

地図にすると、抜けやすい業務が見えてきます

地図を作ると、多くの施設で、同じような所にマスの空きが見つかります。抜けやすいのは、壊れるまで目に入らない所と、誰かがしていると思われている所です。自分の施設の地図と並べて、印が付いていないかを確かめます。

地図にすると見つかりやすい、抜けている業務
領域抜けやすい業務抜けると起きること
建物の外まわり屋上の排水口の落ち葉の掃除大雨のときに屋上に水がたまり、雨漏りになる
建物の内まわり退居後の居室の傷みの記録原状回復の範囲と費用で、行き違いが起きる
給排水と給湯詰まりやすい排水管の洗浄の手配夜間や休日に、詰まりと逆流が起きる
電気と通信非常用の照明の試験の記録停電のときに点かないことに、気づけない
空調と換気業務用エアコンの簡易点検の記録法令で求められる記録が残らない
法定の点検指摘された不良を直す手配次の点検で、同じ指摘が続く
防災と安全防火戸の前の物の片付け火事のときに防火戸が閉まらない

表の業務は、どれも1回の手間は小さいものです。抜けるのは、手間が大きいからではなく、担う人が決まっていないからです。地図のマスに役の名前が入れば、ほとんどの抜けは埋まります。

マスが埋まったら、それぞれの業務を、どの周期で、どの順番に回すかを決めます。営繕担当の仕事を毎日・毎週・毎月・毎年の周期で並べた表と、修繕の優先順位は営繕の仕事は4つの周期で回り、修繕は安全から順に直しますにまとめています。

地図を古くしないために、平常時にしておくこと

平常時にしておくこと

  • 7つの領域ごとに、設備と頼み先を1枚に書き出す
  • 4種類の仕事のマスに、担う人を役の名前で書き込む
  • 法定の点検の報告書を、1か所にまとめて保管する
  • 止水栓・分電盤・給湯器のリセットの場所を、職員に伝える
  • 修理や点検のたびに、地図と機器台帳を1行ずつ直す

職員が気づいた不具合を、施設の中で1か所に集める窓口の作り方は修繕の窓口は、外と中の両方を一本にして効果が出ますにあります。

地図の中で、施設では埋められないマスがあるときは、窓口にフォームかLINEでご相談ください。24時間受け付けています(お電話の受付はありません)。どの領域の、どんな仕事に困っているかを伺い、分野ごとの業者の見積を1回のご依頼で最大3社までそろえます。相談と見積は無料で、お断りもできます。法定の点検そのものは、今の点検の会社や保守の契約先にそのまま頼むほうが、日程も記録もつながります。

よくある質問

介護施設の営繕業務には、どんな仕事が含まれますか

介護施設の営繕業務は、7つの領域の、4種類の仕事でできています。7つの領域は、建物の外まわり・内まわり、給排水と給湯、電気と通信、空調と換気、法定の点検、防災と安全です。4種類の仕事は、点検・小さな修理・業者の手配・記録で、表にすると28のマスで全体が見えます。

介護施設で、最低限欠かせない営繕業務は何ですか

最低限欠かせないのは、法定の点検の手配と報告書の保管、不具合に気づいて報告する流れ、分野ごとの頼み先の一覧の3つです。これに、止水栓や分電盤の場所を職員が知っていることと、避難経路や防火戸の前を空けておくことを加えます。

法定の点検は、営繕業務のどこに入りますか

法定の点検は、営繕業務の7つの領域の1つで、点検そのものは資格を持つ会社や検査の機関が行います。施設の仕事は、日程の調整、立ち会い、指摘された不良を直す手配、報告書の保管の4つです。どの点検が対象かは、建物の用途と規模、設備で変わります。

くわしく:チェックリスト

営繕業務は、誰が担当するものですか

営繕業務は、職員・営繕担当・業者の3者で分けて担います。不具合に気づくのは職員、業者を選んで手配し記録するのは営繕担当、資格の要る作業と法定の点検は業者が基本です。営繕担当がいない施設では、事務長や施設長がその役を担います。

くわしく:設備の管理は6つの役割に分け、職種と時間帯で受け持ちます

営繕担当がいない小さな施設では、誰が営繕業務をしますか

小さな施設では、管理者や事務の職員が、介護や事務と兼ねて営繕業務を担うのがふつうです。7つの領域ごとに1つずつの最小限の業務に絞り、分野ごとの頼み先の一覧を作っておきます。誰の仕事かを役の名前で決めておくと、抜けが起きにくくなります。

くわしく:木造2階の屋根や階段を作り直すなら、2025年4月から確認申請が要ります

職員が気づいた設備の不具合は、誰にどう伝えればよいですか

職員が気づいた不具合は、施設の中で決めた1人の担当に、場所・いつから・どんな状態か・写真の4つで伝えます。伝える先が決まっていないと、同じ修理が二重に頼まれたり、誰にも伝わらなかったりします。夜勤の時間帯の伝え方も、あわせて決めておきます。

くわしく:修繕の窓口は、外と中の両方を一本にして効果が出ます

営繕業務の一覧は、どう作ればよいですか

営繕業務の一覧は、7つの領域ごとに設備を書き出し、点検・小さな修理・手配・記録の4種類の仕事を表のマスに書き込んで作ります。担う人を役の名前で書き、空いたマスに担当を決めれば一覧になります。機器台帳があると、設備の書き出しが早く済みます。

くわしく:機器台帳は、竣工図と現地と保守の会社の3つで作ります

ナースコールや見守り機器の不具合も、営繕業務に入りますか

ナースコールや見守り機器も、電気と通信の領域の営繕業務に入ります。呼び出しの試験や不具合の報告は施設、親機や配線の修理はメーカーや代理店が担います。止まっても見た目に出ないので、試験で気づく仕組みを作っておきます。

厨房の設備の不具合は、営繕業務ですか

厨房の給排水・ガス・換気・電気は、営繕業務に入ります。給食を外に委託している施設では、調理の機器の修理を誰が受け持つかが、委託の契約で決まっていることがあります。契約を読み、どこまでが委託先かを地図に書き込みます。

外構や駐車場の補修も、営繕業務に入りますか

門扉・フェンス・通路・駐車場・雨どいの補修は、建物の外まわりの領域の営繕業務に入ります。入居者の方や送迎の車が通る所は、段差やくぼみが転倒につながります。気づいたら写真と日付で記録し、目印をつけてから業者に頼みます。

建物を借りている施設でも、営繕業務は施設がするのですか

建物を借りている施設では、営繕業務の一部を貸主が受け持つことがあります。外壁や屋上、建物の設備の一部は貸主が直す約束になっていることがあるので、賃貸借の契約書で修繕の負担の区分を確かめます。区分を営繕業務の地図に書き込んでおくと、故障のたびの問い合わせが減ります。

営繕業務と、清掃や警備などの施設管理の委託は、どう分けますか

営繕業務は建物と設備を使える状態に保つ仕事で、清掃や警備は、ふつう営繕とは別の委託として扱います。ただ、施設管理の委託の中に、設備の点検や小さな修理が含まれていることがあります。委託の契約書で、どこまでが委託先の仕事かを確かめ、営繕業務の地図に書き込みます。

くわしく:ビルメンテナンスの委託費と、修理の費用は分けて見ます

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営繕と修繕の言葉の意味は用語集、頼み先の一覧は設備別の頼み先、ご相談の流れはご相談の流れにまとめています。

監修者

鈴木貴行|介護施設営繕・修繕専門家

  • 30年以上営繕・設備管理の経験
  • 1,000施設超関わった介護・高齢者施設
  • 3,000件超修繕・設備改善の案件

介護施設の営繕・設備管理に30年以上携わり、1,000施設を超える介護・高齢者施設の現場に関わってきました。介護施設の営繕業務の範囲を7つの領域と4種類の仕事で整理し、施設で担う業務と業者に頼む業務を分ける考え方を監修しています。

経験した施設
特別養護老人ホーム有料老人ホームグループホームデイサービスサービス付き高齢者向け住宅
専門分野
給排水空調電気・照明トイレ・浴室床・壁扉・建具ナースコール
  • 消防法 第17条の3の3(消防用設備等の点検及び報告)
  • 建築基準法 第12条(報告、検査等)
  • 水道法 第34条の2(簡易専用水道の管理と検査)
  • 電気事業法 第42条・第43条(保安規程、主任技術者)
  • フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(第一種特定製品の簡易点検・定期点検)
  • 浄化槽法 第10条・第11条(保守点検と清掃、定期検査)

制度や基準、費用の目安は変わることがあります。手続きや工事の前に、最新の資料と、現地を確かめた見積でご確認ください。

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